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世界史の知識は世間の常識か

先日Twitterでそこそこバズっていたツイートに関して、世間一般の人々の世界史の知識に関して、個人的に思うところをまとめたいと思います。

このツイートやblogによると、ツイ主はある陰謀論者と討論になったが、その人は世界史の基礎知識が欠けていて、偏った思考が顕著であった旨が書かれていました。

ツイート自体は若者を馬鹿にするニュアンスが感じられて、リツイートがやや炎上気味でしたが、今回はそこではなく世界史の知識をいつ身に着けるかについて考えてみたいと思います。

世界史的な教養はいつ身に着けるか

世界史の知識をいつ身に着けているかというと、主に高校時代の選択の地理歴史教科の授業や学習の時です。

中学校の歴史ではほとんど世界史を扱うことはありません。

もちろん近代になれば話は別ですが、最初に出てくるのがルネサンス時代を軽く触るぐらいで、ほとんど世界史と呼ばれる内容に触れることはないでしょう。

したがって世界史的な知識や教養に最初に触れるのは、ほとんどの場合が高校時代ということになります。

旧課程までの世界史の取り扱い

現行過程は日本史と世界史を混ぜた「歴史総合」という科目を必修で学習しますが、現高校2年生までは旧課程の「世界史A」または「世界史B」という科目を必修として学習していました。

「世界史A」は教科書の分量も少なく、扱う時代や用語、知識を限定的にした科目で、週に2時間の授業で単位を修得します。

「世界史B」は分量が多く、主に大学受験で社会を使う場合に選択する科目です。

世界史をきちんと学んだと言えるのは、少なくとも今回のツイートにある知識をきちんと得るとなると、「世界史B」を学習している必要があるでしょう。

そして、実業系の学校のほとんどは「世界史A」のみを受講しています。また、進学校では「世界史B」、「日本史B」、「地理B」のどれかを主科目にして、Aのつく科目は必履修のために最低単位数しか受講していないことがほとんどです。
(難関大学を受験するためにはB科目を受講する必要がある)

実際、高校時代に世界史をしっかりと学習していない人は多く、織田信長が何をしたか何となく言えても、カエサルの功績を話せる人はそれほど多くはないでしょう。

受験で不人気な「世界史B」

さらに、実際の受験者数を見ると「日本史B」や「地理B」を選んでいる人が半数を超えます。

令和4年度の大学入学共通テストの場合、「日本史B」は約15万人、「地理B」は約14万人の受験者がいます。一方で「世界史B」の受験者は8万人です。

ここからわかることは、「世界史B」をしっかりと学習したと言える高校生は、共通テストを受験する学習意欲が比較的高い人達の中でも約20%ということになります。

つまり、世界史の教養がある人は日本全体の中でも非常に少数派だということは明らかです。

世界史の知識がないことは悪いことか

世界史の知識の基本的な部分を知らないことは悪いのか、と問われれば当然ながら「悪」ではありません。

しかし、決して良いことではありませんし、勧められるようなことでもないでしょう。

国際化の進む現代において、多様な国々の人たちがどのようなバックボーンを抱えているのか、文化とその背景を知っておくことは重要でないはずがないのです。

とはいえ、歴史好きなどの人に見られる傾向ですが、マウントの臭いが強い言い回しは、専門分野などのことを話す際の自分自身へのよい戒めになりました。

世界史、特にローマ史やユダヤ史などは欧米人にとってインテリ層の共通言語に近い意味合いを持つという話を聞いたことがあります。

映画やドラマなど、欧米作品のテーマや背景にはそうしたヨーロッパ史の知識を前提にした設定も多く、世界史の知識を深めることは実利だけでなく、楽しみを増やすという側面もあるのではないでしょうか。

そういったことからも、世界史を大人になってから学びなおすということには大きな価値があります。

大人の世界史の学びなおし

無料で授業を受けられるユーテラというYouTubeのチャンネルに世界史の授業動画があります。

講師は代ゼミの世界史講師として有名な佐藤幸夫氏が担当しています。

大人の振り返り世界史というイメージで作られた授業ですので、気軽に学びを得ることができるでしょう。

また、書籍であればライフネット生命保険株式会社の創業者であり、現在は立命館アジア太平洋大学の学長を務めている出口治明氏の書籍はおすすめです。

大人になったからこそ、歴史の意味や時代の転換点の理解が深まるということもあり、いまだに世間の常識とはなっていない世界史学習こそ、社会人の方にはおすすめできる教養ではないでしょうか。

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