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佐賀西高の答案改ざん、迷宮入りで幕引きを図る違和感


佐賀県の模擬試験、不正疑惑

先日、佐賀県の高校が実施している「県下一斉模擬試験」で答案の書き換えが発生した、という件がニュースになっていました。

これは採点済みの答案用紙が生徒に返却された際に、本人が書いたはずのない解答、もしくは訂正がなされており正解になったという怪事件です。

その後続報が入り、事件の全容は「不明」という何とも後味の悪い幕引きを事件の当事者である佐賀西高校、および佐賀県教育委員会は選択したようです。

事件の謎

この事件は生徒の手元に答案用紙が戻ってきた段階で発覚していますが、それまでは職員室のしかるべき場所で保管してあった、と記事にはあります。

教員の執務室ということですから、生徒個人が侵入したというのは考えづらいでしょう。

そもそも改ざんがあった本人が申告をしていること、それ以外にも複数の生徒が申し出ていることから生徒の中に犯人が存在するとは考えにくい状況のように見えます。

改ざんで利益を得るのは誰か

こうした答案用紙の改ざんで利益を得るのは、第一には試験を受けた当事者です。

もちろん模擬試験ですのでこの結果が良かったとしても実質的な利得は少ないのですが、学校内における名誉や進路指導上の優遇などの一部の利益が存在します。

次に利益を得るのは誰でしょうか。

これは担当教員です。こうした模擬試験の結果は県内の学校で共有されるケースは少なくなく、その得点によって指導教員の人事評価にも関わるでしょう。

特に佐賀西高校は県下随一の公立進学校ですので、その平均点は他校より高得点でなければならないというプレッシャーは存在したでしょう。

外部犯の可能性

もし仮に、内部の人間に犯行を行ったものがいないとするならば、校内に外部の人間が侵入し書類を改ざんしたということになります。

これはセキュリティ上も由々しき問題ですし、何よりも生徒の安全を考える上で不安要素を残すことになります。

外部犯の可能性を残す以上は警察に被害届を出し、しっかりとした捜査を行うべきでしょう。

法律に関しては門外漢ですが、今回の場合であれば私文書変造や模擬試験の信頼性を損ねるなどとした偽計業務妨害罪や信用棄損罪などが考えられるのではないでしょうか。

正直なところ、今回の事案の場合、複数の生徒が改ざんしていることを報告していることを考えると、生徒側に犯行を行うメリットはかなり小さく、生徒の犯行の可能性を考慮して控えめな判断をする必要性は低いように感じます。

そんな中で幕引きを「不明」としたのはどんな理由があるのか、まさに「不明」です。

信用を損ねる行為

実際にはこうした事例は方々で聞いたことがあります。

特に業者の模擬試験の校内受験の場合、定期試験よりも監督の監視や試験問題の管理は甘くなりがちです。

生徒がカンニングをして受験をしたり、逆に教員側が模擬試験をあらかじめ見た上で対策授業を行って受験させる(教員側の評価の為)ようなケースは両手では数えられないほどに見聞きしました。

こうした不正は模擬試験の公正性や正当性を毀損し、学力診断を狂わせ多くの受験生に少しずつ、総量としては大きな禍根を受験業界に残すことになります。

今回、明るみになったこの問題が「不明」で幕引きとなったことで類似の事件が増えないことを祈るばかりです。

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