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学習効果の高い勉強とは、「できない」を「できる」にするのではなく、「多分できる」を「必ずできる」にすること


模擬試験の反省

先日、勤務校では大学受験を対象とする生徒が大学受験の模擬試験を受けました。(毎月受験してはいるのですが)

こうした模擬試験の後は必ず自己採点をさせ、その反省を書かせることにしています。

ところがこうした受験した模試や反省、やり直しを上手く活用できていない生徒が実際には大半で、そのたびに指摘や注意、アドバイスをしています。

反省を感想にしてしまう

もっとも多いのは反省を書くように言っても感想を書く生徒です。

  • 取れそうな問題がとれず悔しかったです

  • 分からない問題がたくさんだったのでもっと勉強したいと思います

こんな反省を書く生徒は決して少なくありません。

こうした「感想」に意味はほとんどありません。これを書いたからといって次回の試験の得点が上がったり自分の学習に生かす要素が含まれたりすることは一切ないからです。

そこでこうした生徒には「分析」と「対策」を書くように個別に面談をしていきます。

  • どこまでできたか、どこから不確かになったか

  • その問題や分野のどの知識が不足していたか

  • 具体的にどんな行動(問題集のどこ、教科書該当範囲、いつ、どの程度の期間)を行うかを示す

もちろん試験後のその場で書かせるものなので粗削りな部分は多いでしょう。しかし、その場で試験を受けた後の感覚を学習にフィードバックするという意味では効果が高いのではないでしょうか。

「できない」を「できる」にしようとする学習

模擬試験の最も重要な効果の一つは「できない」部分を可視化することです。

「できない」部分が不正解となるため、明らかに自分が「できない」部分が浮かび上がることになります。

そのため模擬試験の反省を書いて「できない」部分を見つけた生徒の多く(模範的な、という形容詞が付きますが)はさっそく「できない」部分の学習をスタートします。

とうぜんながらそれが全く間違っているわけではありません。しかし、実はそれではなかなか成績が上がらないことがほとんどです。

なぜならば、彼らが案違っている部分の周囲には間違っていない部分も存在し、そこがたまたま正解した、というケースが少なくないからです。

そのような不確かで正解したり不正解になったりする、少し目先を変えると解けなくなる、こうした「多分できる問題」をまずしっかりと洗い出していくことが実は極めて重要です。

それを軽視すると、結局のところその先の「できない」問題の「できない」原因の根本を無視して勉強することになり、不確かな理解の上に答えや解法の丸暗記を行ってしまうことになるでしょう。

したがって確実に学力を高める最もシンプルな手法は「多分できる」を「必ずできる」することなのです。

抽象論を具体論に落としていくのが面談

「必ずできる」部分が「できる」部分を埋め尽くすと、自然と「できない」部分を開拓していき、そこが「多分できる」に変わっていくはずです。

この繰り返しこそがまさに勉強であり、最も効果的な学習スタイルではないでしょうか。

当然ながらこうした抽象的な説明では生徒は具体的な学習を進めることは難しいでしょう。

そのために私はホームルームなどの全体指導の中でこうした抽象論を話します。そしてその後、面談の中で詳しく具体的な学習のアドバイスを行っていくことになります。

もちろんこうした学習法が必ずしも唯一解であるとは限らないでしょう。むしろより優れた手法もあるでしょう。

とはいえ、経験的にそれなりに効果がある手法であるためにここに備忘録として残しておきたいと思います。


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