日常会話のこなし方 4

会話って難しいですよね。
職場などでは特に、ちょっとした会話でも気を遣ってしまいがち。軟式テニスの穏やかなラリーのように、言葉を落ち着いて返してあげましょう。

社員食堂で上司とお食事

鞠子「どう?少しは馴れた?」

良夫「いや、まだ、なかなか」

鞠子「焦らなくてもいいけど、分からないことがあったら自分が納得できるまでしつこく質問していいからね」

良夫「はい」

鞠子「下手な遠慮は回り道、分かった?」

良夫「はい、分かりました」

鞠子「今のうちに何でも聞いてね」

良夫「はい……」

鞠子「……じゃ、食べましょうか」

若干お説教じみた上司の言葉に緊張してしまいました。しかし、せっかく上司と会話できるチャンス、もう少し頑張ってみたいですね。

一言付け加えてみましょう

鞠子「どう?少しは馴れた?」

良夫「いや、まだ、なかなか」

鞠子「焦らなくてもいいけど、分からないことがあったら自分が納得できるまでしつこく質問していいからね」

良夫「はい」

鞠子「下手な遠慮は回り道、分かった?」

良夫「はい、分かりました」

鞠子「今のうちに何でも聞いてね」

良夫「はい……、じゃあ、そうですね、何から聞こうかな」

鞠子「何でもどうぞ」

良夫「謝罪するときの菓子折なんですけど」

鞠子「え、なんかやったの?」

良夫「いえ、そうではなく、あれは、自腹なのかどうか」

鞠子「自腹よ、勿論」

良夫「え?本当ですか?」

鞠子「フフ、嘘よ。でも、何度もやらかしたら自腹かもね、フフフ」

良夫「そうですか、何度も、やらかしたら、か」

鞠子「まだ、何もないのよね?」

良夫「ええ、しかし、僕はそのうち何度も菓子折を手に……、そういう気がしてならないんです」

鞠子「なに、今からそんなこと」

良夫「すみません、ですが僕は、常に最悪の状況を考えようと心に決めて」

鞠子「それは、どうして?」

良夫「危機管理が大事だと、ビジネス本で読んだりしまして」

鞠子「うん、それは大事なことだと思うけど」

良夫「最悪のときの菓子折はどこで買えばいいんですか?」

鞠子「ちょっと、考えすぎかな」

良夫「そうでしょうか」

鞠子「最悪の状況を常に考えて行動してたら、そんな大きなミスは起こさない、大丈夫よ」

良夫「いや、僕が考える一番最悪な状況は」

鞠子「ん?」

良夫「最悪な状況を常に考えることを、忘れる、という、最悪な状況なので」

鞠子「ん、それはもう、仕方ないわね」

良夫「ですかね」

鞠子「でもよ」

良夫「はい」

鞠子「ということは、どっちにしたって最悪な事態は避けられないってことよね、貴方の心の持ちようでは」

良夫「そうなんです」

鞠子「困ったわね」

良夫「はい」

鞠子「でもね、失敗を恐れててはいい仕事はできないと思う、私の経験では」

良夫「そうですかね」

鞠子「そうよ、絶対そう」

良夫「しかし、失敗を恐れないということを忘れ、更に、失敗を恐れることを忘れたら、どうなってしまうのか」

鞠子「んん、それもそうね」

良夫「しばらくは忘れないですけど、そのうち、やはり」

鞠子「そっか、困ったわね」

良夫「ええ」

鞠子「でもね、とりあえず食べましょ」

良夫「はいっ」

どうでしょう、一言加えることによって上司と実りある会話ができ、職業での円滑なコミュニケーションがこれからも期待できますね。

それではまた。

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