日常会話のこなし方 3

会話って難しいですよね。
積極的にお喋りする方も、友人がその場からいなくなると急に無口に。人見知りと誤魔化すより最低限の言葉のやり取り、心掛けたいですよね。

休日の新幹線内、隣の席に田村正和が

正和「失礼します」

良夫「あ、どうぞ」

正和「荷物失礼します」

良夫「どうぞ」

正和「はぁー」

良夫「……」

正和「混みあってますね」

良夫「ええ、そうですね」

正和「……失礼、お弁当食べます」

良夫「どうぞ」

田村正和さんとだとこの程度が無難かもしれませんが、せっかくですし、失礼のないぐらいに会話を続けてみたいですよね。

一言付け加えてみましょう

正和「失礼します」

良夫「あ、どうぞ」

正和「荷物失礼します」

良夫「どうぞ」

正和「はぁー」

良夫「……」

正和「混みあってますね」

良夫「ええ、そうですね、この時期はやっぱり凄い人の数です」

正和「ご旅行ですか?」

良夫「ええ、宛のないやつです」

正和「そいつは素敵な」

良夫「そんな大したものでは」

正和「お弁当食べながらですけど、伺ってもよろしいですか?」

良夫「では、私も腹ごしらえを」

正和「まあ、おはぎ、美味しそう」

良夫「朝近所のスーパーで買って来たんです」

正和「6つも、食べるんですか?」

良夫「いま3つで、夜食に2つ」

正和「残りは?」

良夫「食べます?」

正和「いいんですか?」

良夫「どうぞ」

正和「じゃあ、代わりに割り箸を一本差し上げましょう」

良夫「あ、どうも、ありがとうございます」

正和「手掴みでは手がベタベタになりますからね」

良夫「割り箸2本も持ってるんですね」

正和「ええ」

良夫「いつも2本?」

正和「いえ、素敵な割り箸だったので、使わずに」

良夫「しかし、これは普通の割り箸みたいな」

正和「袋のデザインが」

良夫「んー、言われてみれば」

正和「あれ?ピーンと、きません?」

良夫「まあ、人それぞれですからね」

正和「ハ、おはぎと一緒だ、あなたの」

良夫「いやあ、まいったな」

正和「でもこれ、美味しいね」

良夫「なかなかでしょう」

正和「で、これからどちらへ?」

良夫「んー、とりあえずは人のあんまり降りない所で降りてみようかと」

正和「いやあ、いいな風情があって」

良夫「そうですか、しかし」

正和「ん?」

良夫「風情ってなんでしょうね」

正和「んん、風情、風に情と書きますよね」

良夫「吹く風に、情が宿る。遠くからの思いが風に乗ってやって来るんですかね」

正和「んー、なんと言いましょうか」

良夫「はい」

正和「これですね」

良夫「ん?」

正和「新幹線のおはぎ」

良夫「なるほど」

正和「しっくりきますね」

良夫「この割り箸の袋よりは」

正和「ハッ、まいったな」

良夫「さて、食べます、風情を」

正和「どうぞ召し上がれ」

良夫「これ私のおはぎですよ」

正和「ああ、そうだった失礼」

良夫「では、いただきます」

いかがでしたでしょう。

あんなによそよそしかった初対面の二人が、一言付け加えたことにより冗談を交えて弾む会話を愉しんでいましたね。

行楽シーズン、偶然居合わせた人とも程よい会話を心掛けて素敵な休日を過ごしましょう。

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