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小胸筋に対する運動療法の「コツ」

どうも!しーご(@Hs041300)です。
STMマガジン、記念すべき第10段!!

前回はまつうらさん(@kotakota891)が

肩甲骨上角について解剖を加味した肩甲胸郭関節との関連性

をわかりやすく解説してくれています!

是非ご覧ください↓↓

今回は小胸筋への運動療法の「コツ」についてお伝えしたいと思います。

1.小胸筋の作用と肩関節挙上についての解釈

これをまず理解する事が重要と考えています!

また「小胸筋」の単独評価と介入について

を考える必要性もあると思っています。

これらを下記の記事で解説しているので
今回の記事を読む前に下記の記事を読み進めてもらえると理解が深まると思います!

それでは始めて行きたいと思います。

2.肩甲胸郭における運動療法のエビデンスについて

前回こんな記事を書きました。

この中で肩峰下インピンジメント症候群患者への運動療法の効果としては

疼痛減少と機能改善に効果がある事を紹介しています。

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このように解釈したときに運動療法…

”ストレッチ”はどうなの?と思った方は少なからずおられると思います。

臨床経験上、痛みのある患者さんは筋緊張がうまくコントロール出来ず、肩甲骨の位置異常がなかなか良くならない経験をした事がある方が大多数だと思います。

そこで今回は小胸筋に対する知見と私の考えを中心にお伝えしたいと思います。

3.小胸筋ストレッチに関する知見

小胸筋のストレッチに関しては様々な知見が報告されています。

先行研究によると…

⚫︎Murakiら(2009)は新鮮凍結遺体を対象とし、
筋の伸長量を計測することで
肩関節屈曲30°から肘関節を支点にして上腕骨長軸方向に圧を加える方法(Retraction)が小胸筋を最も伸長すると報告。

Muraki T, et al. Lengthening of the pectoralis minor muscle during passive shoulder motions and stretching techniques: a cadaveric biomechanical study. Phys Ther. 2009 Apr;89(4):333-41.


⚫︎Borstadら(2005)は健常者を対象とし、
烏口突起と第4胸肋関節の距離を計測することでストレッチング対象側の
肩関節外転90°、肘関節屈曲90°で前腕を壁に当て、肩関節水平外転を行うセルフ・ストレッチングが効果的なストレッチングであると報告した。

Borstad JD, et al. The effect of long versus short pectoralis minor resting length on scapular kinematics in healthy individuals. J Orthop Sports Phys Ther. 2005 Apr;35(4):227-38.


⚫︎梅原ら(2019)は
超音波診断装置せん断波エラストグラフィーを用いて肩甲骨異常運動の一因である小胸筋の伸張性と肩甲骨運動の関連を検討し、運動療法の一種であるストレッチングの重要性を提示した。
検討したストレッチ方法では
・水平外転90°
・水平外転150°

において小胸筋は最も伸長されることが示され、
・肩関節外転40°~120°における肩甲骨外旋
・肩関節外転30°~120°における肩甲骨後傾
が増加したと報告されている。

梅原ら,小胸筋の伸張性と肩甲骨運動の関連―せん断波エラストグラフィーの理学療法応用―日本基礎理学療法学雑誌 第22巻 1 号.2019


このように小胸筋ストレッチに関しては様々な研究が報告されていることがわかります。

これらをまとめると肩関節外転90°で水平外転することが有効なのでは?と理解できます。

その一方で

⚫︎Roseら(2016)は
肩関節外転90°、肘関節屈曲90°で前腕を壁に当て、肩関節水平外転を行うセルフ・ストレッチングを6週間実施したが小胸筋の長さ、
肩甲骨運動に変化はなく筋肉の再教育が必要と考察している。

Rosa DP, et al. Effects of a stretching protocol for the pectoralis minor on muscle length, function, and scapular kinematics in individuals with and without shoulder pain. J Hand Ther. 2016 Oct 18. pii: S0894-1130(16)30107-7.

このように長期目線で考えると

ストレッチだけでは肩甲骨運動に変化がないことを示しています。

知見をまとめると…

肩甲骨の運動療法とストレッチ

結局はストレッチと筋の再教育(小胸筋と相反する筋肉:前鋸筋や僧帽筋)を組み合わせるが重要であることがわかります。

それではどのように考え、エクササイズを組み合わせていく方が良いのでしょうか?

私は小胸筋と前鋸筋の関係性を考え、エクササイズを組み合わせていく事が重要と考えています。

4.小胸筋と前鋸筋の関係性

以前私はこのようなツイートをしました。

上記のように肋骨が過度に外旋する(以下リブフレア)場合は、肩甲骨が相対的に前傾位となる為に小胸筋が短縮してしまうことがわかります。

ここのポイントとしては実は「胸を開くこと」が重要ではなく、リブフレアを抑制し「肩甲骨の外転」という作用が鍵を握ります。

うん?胸を開く為の運動療法が重要じゃないの?と思った方が多いと思いますがリブフレアのまま胸を開くと小胸筋は伸びにくいことが分かると思います。

もちろん、リブフレアを抑制した状態で肩甲骨外旋を促すように胸を開くことも重要と考えています。しかしまずは肩甲骨の外転という機能から着目していくことが臨床上多いです。


そこでここからは小胸筋と前鋸筋の作用の違いについて考えていきます。

小胸筋の作用は
⚫︎下方回旋
⚫︎前傾
⚫︎内旋(外転)
に関与する

画像3


前鋸筋(下部線維)の作用は
⚫︎外転
<フォースカップル作用>
⚫︎上方回旋
⚫︎後傾
⚫︎外旋
に関与する

小胸筋と前鋸筋の働きの共通点は肩甲骨を外転させること

いわゆる肩鎖関節上で見掛け上の外転(内旋)を

小胸筋が代償的に働くことで補っている?可能性が考えられます。
だから硬くなるのではないでしょうか。

胸鎖関節上で肩甲骨外転作用する前鋸筋が働くと

肩甲骨外転


このように小胸筋が硬くなる理由は前鋸筋が弱くなっていることも原因として挙げられます。

5.因みにどんなエクササイズすればいいの?

このように疑問に思った方は

下記の動画をご参照ください!
もし良ければYoutubeもチャンネル登録よろしくお願いします。

⚫︎前鋸筋トレ

⚫︎小胸筋ストレッチ


最後に

タイトルではあえて胸を開く為の運動療法と表現しました。

がしかし!!!

小胸筋に対する運動療法の「コツ」は

実は胸を開くことが重要ではなく、「リブフレアを抑制」「肩甲骨の外転」という作用にどれだけ着目できるかが重要なんです!

以上になります。

理解できましたでしょうか??

少しややこしい部分も多かったと思いますので是非ご意見いただけますと幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事が皆様の臨床感に役立てれば幸いです!

それでは今回も沢山議論しましょう!ご質問やご意見お待ちしております。

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