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屋久島滞在記

日本の離島はあらゆる場所をいってきた。
奄美大島、種子島、八丈島。
ただ一番印象に残った離島は屋久島だ。

屋久島へは船でいった。
上陸したことがある人はわかるだろう。屋久島の植物は生命力を感じる。

どうやら島が硬い岩盤でできており、植物が育つにはあまり適さない島らしい。長い年月をかけて木の根が島の養分を探すため、うようよとのびている。

しかし、屋久島にはそういう自然林のほか、人間がだいぶ近年になってから植えた人工林がある。
根がうようよしているものが自然林であり、うようよしていないのが人工林である。

屋久島には何千年も生きている屋久杉がある。
ただ、屋久杉は豊臣秀吉が天下をおさめていた時代にだいぶ切られてしまったんだとか。

いま屋久島でみられる大きな大木は豊臣秀吉の時代に切られなかった木だ。

私は島に何日滞在したか忘れてしまった。
なにしろ7年ほど前の話である。
島に降りたったら民家がすぐあり、そこでおばあちゃんが洗濯物を干していた。

私はそのおばあちゃんがとても趣きがあり、深みがある人物のように思えて、
「ごめんください。カメラマンをやっている松田章吾と申します。東京からきました。」
「ポートレートを撮らせていただけないでしょうか?」
と話しかけた。

が、3秒で断られた。
恥ずかしいらしい。
あまりしつこいくするのは苦手だったのであきらめた。
いま思えば、もうちょっと褒めながらお願いすればよかった。

屋久島は雨が多い地域で有名だ。
2、3日滞在すると1日は雨になる。

私は仕事で屋久島にきたわけだが、回らなきゃいけないコースがあり、その通り回っていった。
その間、屋久島にいる子どもたちと何度もすれちがったが、みんな「こんにちは」と挨拶してくる。
都内近郊に住んでる人は子どもたちが挨拶してくることに驚くかもしれない。
島の子どもは外からくる人間にとても優しく、そして親切心がある。

私は有名な縄文杉やウィルソン株をみにいかなかった。どうやら縄文杉は、トレッキングシューズと相当な装備をし、何キロも歩かないとたどりつけないらしい。

私がみたのは紀元杉と三本足杉というやつだ。
紀元杉と三本足杉は縄文杉ほどではないが、樹齢何千年レベルだ。

大木は素晴らしい生命力を感じる。
なんていうか、社会とか経済とか大衆とかマクロレベルのことがとても小さなものに感じられる。

ただただそこに立っている、佇んでいるってことは簡単なことのように思えて難しいことなのだ。

私は心の中で小さく「こんにちは」と唱えたすぐあと「さようなら」と唱えた。
滞在時間は紀元杉も三本足杉も20分ほどだ。

また来たい島、屋久島。
次にくるときは縄文杉にいける体力が時代にきたい。

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