Shogo Ishida

EMURGO中東アフリカ・共同CEO 慶應義塾大学大学院国際ビジネス創成センター客員研…

Shogo Ishida

EMURGO中東アフリカ・共同CEO 慶應義塾大学大学院国際ビジネス創成センター客員研究員 VCとして過去2年間で中東アフリカを中心に65のスタートアップに投資 ダボス会議パネリスト

最近の記事

混沌と繁栄のナイジェリア vol.1 言語、ローカライズと面倒な空港(2)

昨年末、ラゴス国際空港での出来事を収めた1本の動画が、瞬く間にアフリカ大陸内のSNSを席巻した。それは、空港内の税関職員が乗客の通関作業を行う際に、5,000ナイラ(ナイジェリアの通貨。公式レートで約5.5ドル)の賄賂を請求したというものだ。 一連のやり取りの動画はSNSに晒され瞬時に拡散された。現地メディアは後追いでこの模様を次々に報道し、ナイジェリア税関は当該職員を特定の上、すぐに調査を開始したと発表している。 少額賄賂の請求は、ナイジェリア最大の都市ラゴスの玄関口で

    • 混沌と繁栄のナイジェリア vol.1 言語、ローカライズと面倒な空港(1)

      「急げ若者よ。彼の地で、それは君を待っている」ー 1982年にアメリカのロックバンドTotoが歌った名曲「アフリカ」の一節にこうある。「それ」は、人にとっては具体的な何かを指し、またある人には、アフリカが持つ蠱惑的な響きに内包される未知の具体性を持たない何かだ。最初にアフリカの地を踏んだのは20年も前のことだが、ここ6年は深くアフリカで事業に携わっていることもあり、僕の中での「それ」は、かつてのぼんやりとした憧れから、より明確な意味を物に変容している。 54カ国あるアフリカ

      • 新しいアフリカ経済論 no.4 : ダボス会議

        毎年1月第3週といえば、スイスのダボスで世界経済フォーラムが年次総会を開催します。日本では、ダボス会議の名称で知られており、毎年この時期には、各国首脳クラスから民間代表まで2,700人のスピーカーと代表団が約1週間、チューリッヒから電車で2時間のスキーリゾートに集まり、世界規模課題に取り組む会談や会議が早朝から深夜まで実施されます。 私は、2023年のダボス会議に初めて参加しました。スイス連邦外務省直轄のHouse of Switzerland主導のパネルの一つ、「Unba

        • 新しいアフリカ経済論 no.3 : 国際送金

          トークン化されたクロスボーダー決済に渇望するアフリカ 要点 1. アフリカにおける暗号化クロスボーダー決済は、より多くの需要を記録する可能性が高く、暗号化新興企業は2024年に事業を拡大すると予想される。 2. Web3決済サービスは、従来の銀行や送金会社に対し、アフリカでの取引手数料の引き下げを求める圧力をかける。 高い取引コストが暗号送金の需要を高める 世界銀行の2022年12月のデータによると、アフリカの送金コストは世界平均の6.8%に対し、平均8%と世界で最も高

        混沌と繁栄のナイジェリア vol.1 言語、ローカライズと面倒な空港(2)

          新しいアフリカ経済論 no.2 : SME融資市場

          アフリカの中小企業融資市場は、現在進行中のWeb3の動向と密接に結びついています。以下は、その主要なポイントを取りまとめたものです。 Web3がもたらすアフリカの中小企業融資への変革 アフリカの中小企業は、経済的な課題に直面していますが、ブロックチェーン技術を活用した新しいアプローチが注目を浴びています。これにより、融資市場が急速に進化し、中小企業がより柔軟で手ごろな金利で資金調達できるようになっています。 1. 競争激化と金利の魅力 ブロックチェーンプロジェクトによる

          新しいアフリカ経済論 no.2 : SME融資市場

          新しいアフリカ経済論 no.1:金融包摂(Financial Inclusion)

          金融包摂(Financial Inclusion):アフリカの経済エンパワーメントの起爆剤 金融包摂は、貧困を軽減し、不平等を縮める可能性を秘めた極めて重要な解決策であり、世界銀行がその定義を示しています。将来に投資し、消費パターンを均等化し、金融リスクを管理する手段を提供することで、このコンセプトはより公平な社会を構築する可能性があるとして、SGDsにおいても重要なテーマとしてのポジションを占めています。 しかし、アフリカでは人口の40%以上が銀行口座を持たず、金融取引の

          新しいアフリカ経済論 no.1:金融包摂(Financial Inclusion)