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2020年の読んでよかった本まとめ

今年読んでよかった本の書評(読書メーターの感想)をまとめておきます。今年は1年で166冊の本を読みました。私に出会ってくれた本たちに感謝です。

●小説部門

1位 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。/青柳碧人

【あらすじ】
赤ずきんちゃんが旅の途中で事件に遭遇する物語。かぼちゃの馬車にひかれた死体、お菓子の家で見つかった死体など有名な童話の中で起きる殺人事件を赤ずきんちゃんが解決していきます。
 【感想】
前回の昔話×ミステリーに続いて、童話×ミステリー。今作も原作のアレンジが最高に光っています。登場人物に隠された殺意が、長年親しまれる物語に新たな面白さを加えます。童話をミステリーにするなら…という視点で考えると、こんな解釈もできるのだと世界が広がりました。

2位 完・ヒーローズ㈱!!!/北川恵海

【あらすじ】
ヒーローを作る会社「ヒーローズ(株)」の完結編。今回はある登場人物が新たな一歩を踏み出すお話。
【感想】
自分が他と比べて秀でているところが何もないとか、自分はこの仕事をするのにふさわしくないとかっていう思いは多くの人が感じたことがあることだと思います。今作ではそういう人物に、周りが自分なりの人生や仕事、夢について語りかけます。 様々な人物が語りかけるそれは、読者の私たちにも響いてくるものだと思います。ちょっと生きるのに疲れてしまった人、人生の岐路に立っている人におすすめしたい優しい作品でした。

3位 凍りのくじら/辻村深月

【あらすじ】
高校生の主人公は、ある夏の日に少年から写真のモデルを依頼される。ドラえもんの道具やお話とともに、主人公が成長していく物語。
【感想】
この本の参考資料が、ドラえもん全巻と映画のドラえもん。そして、そこに流れる哲学と優しさの全てとのこと。本書を読むと、子どもの頃に見ていたドラえもんは本当にたくさんのメッセージを伝えてくれていたんだと思います。文庫版の解説も最高です。解説の言を借りれば、ドラえもんの映画のように、主人公が痛みや涙とともにちょっぴり成長するというのがこの物語のテーマなのかなと思います。

4位 クーデター/楡周平

【あらすじ】
ある日、能登半島で軍事兵器を持った一団によって開始された攻撃。近くには原発があり、日本に緊張が走る。様々な憶測が飛び交う中、戦場カメラマンの川瀬が現地へと向かう。
【感想】
本編の日本の危機は武力行為ですが、日本に何かしらの危機が生じた時と置き換えて読むこともできます。今コロナウイルスが騒がれている中では、危機に対する政府の対応、メディアが持つ力、不安に煽られた国民の行動がよりリアルに感じられます。日本国民が持つ危機意識について、本当に考えさせられる一冊です。

5位 かがみの孤城/辻村深月

【あらすじ】
ある出来事がきっかけで学校に行けなくなった中学生の主人公。ある日、家の鏡が光り出し、お城へと誘われる。そこには、主人公と同じ学校に行っていない子どもたちがいた。
【感想】
子どもたちがお城で過ごす様子だけを見ると、不登校だということを感じられません。学校じゃないから、知らない者どうしだからという気安さがそう見せるのかもしれませんが、それぞれの悩みは深く、読んでいて辛くなる部分もあります。 子どもにとって避難できる場所があること、信じられる誰かがいることが大切で、そういう人でありたいと思いました。

●小説以外部門

1位 もしアドラーが上司だったら/小倉広

タイトルそのままに、自分の職場の上司がアドラー心理学を使って仕事に関する様々な悩みを解決してくれるストーリー。 ずいぶん前に「嫌われる勇気」を読んだのが、アドラー心理学との関わりはじめですが、今あらためて読んでみると気づきがたくさんあると同時に、自分がやっていることがこれに通じているなぁということもありました。人の目を気にしがち、責任を抱えすぎな自分としては、もっとアドラー心理学について勉強していきたいと思います。
ー「不完全を認める勇気を持て」(ソフィー・ラザースフェルト)

2位 道は開ける/デール・カーネギー

デール・カーネギーの名著。原題が「How to Stop Worrying and Start Living」とあり、人生の悩みとの向き合い方について書かれています。 多くの事例とその解決法が書かれていますが、自分にとっては一番最初の項だけで事足りるくらいでした。「砂時計」の話はほんとに救われました。 本書では、結局そうなんだけど、なかなかできていないということが多々あります。それにしんどい時はそういうの当たり前のことも忘れてしまいがちです。何かに悩み始めたらまた、パラパラとめくってみたいと思います。

3位 世界は贈与でできている/近内悠太

この世界を「贈与」という視点から切り取り解説した一冊。 資本主義の「交換」とは違い、「贈与」というお金では買えないものがこの世界にどういう意味を与えているのかは、ものすごく面白いテーマです。 実際、私たちは多くのものを受け取って生きています。生活のインフラや先人たちの知識など、資本主義の等価交換という原理とはかけ離れ、あるものは無償で、あるものは実際よりもかなりの少額でそれらを受け取っています。 そのことに気づいた人たちがつないできてくれたからこそ、この世界はどんどん発展してきたのだと思います。

4位 共感資本社会を生きる/新井和博、高橋博之

「お金」と「食」。それぞれで社会を変えていく2人が、お金や働き方、幸せなどについて語り合った一冊。 お二人の幸せについての考え方がすごく興味深かった。昔は「今」を犠牲にすることで未来は収入が上がったり、いいポストにつけたりしたけど、現代はそうではない。明るい未来が約束されていない中、「今」を浪費していいのか?これはすごく大事な問いだと思います。「今」という貴重な時間を犠牲にすることを前提とした仕組みをどう変えていくのか。ここが自分の働き方や幸せについて考えるカギになるんじゃないかと思います。

5位 あの戦争はなんだったのか/保阪正康

日本が太平洋戦争へと向かっていった背景について、改めて捉え直す一冊。 以前、終戦に関する本を読んだ時に「どうしてこんなに無謀な戦いを続けていったのか」がずっと気になっていました。本書を読んで、そこには当時の軍の意識や意地の張り合い、そして「空気」というものがあったのではないかと思いました。破滅に向かう組織の一例としても学ぶことが多くあります。 また「大善」と「小善」という言葉が印象的です。現代にも「大善」というものを押し付けている人たちが多数いるように感じます。


毎度のことですが、10冊を選ぶというのはなかなか大変です、、、

皆さんのオススメの本とか、本の感想とかもらえたら嬉しいです!