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1,000人の取材から身につけた「使えるメモ」のとりかた

こんにちは!

会議、商談、セミナー、研修、勉強会、タスク整理……仕事をしていると、メモをとるシーンは幾度となくあります。

ぼくは過去に一人だけ、「いっさいメモを取らない(=必要な情報はすべて記憶できる)」という人に会ったことがあるのですが、そんな人はごくひと握り。大多数の人にとってメモは欠かせない存在だと思います。

とはいえ、「要点を絞ってメモするのが苦手」「せっかくメモをとってもとりっぱなしで、活用できていない」「メモをとるのに時間がかかって、必要なポイントを書ききれない」という人も多いはず。

そこで今回は、これまで編集者として1,000人以上に取材をするなかで身につけた「使えるメモをとる4つのポイント」を紹介します。


1. 「メモのメモ」を用意しておく


真っ白なメモに、大切だと思ったことを書く。

これは企画など創造的なことを考える際にはいいのですが、通常の業務ではおすすめできません。

思いつくままにメモしていると、あとから見返したときに「なんでこれをメモしたんだろう?」「どういう文脈で出てきた話だっけ?」となりがちです。

会議や商談など「メモをとる可能性が高い場面」では、事前に「メモのメモ」を用意しておく。これだけで「使えるメモ」を効率的に残せます。

「メモのメモ」といっても、簡単なものでOKです。ぼくの場合、以下のようなことを書いています。

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  • 上部に「日付、相手」を書く

  • 「議題」「確認ポイント」「締め切り」「次回アクション」などの見出しを書く

  • その見出し内で埋められる部分は埋めておく(「事前情報」や「前回の会議内容」など)

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「メモのメモ」をあらかじめ作っておくことで、議論したいポイントが可視化されるので、抜け漏れが出にくくなります。

また、きちんと整理されたメモが簡単に作れるので、読み返したときも、すぐに理解しやすくなります。

2. その場で「調べる・解決する」


情報の取捨選択ができず、とにかく全部書き留めた。結果、ぐちゃぐちゃのメモができあがる――。これも、あるあるですよね。

こういう人は、その場で調べたり解決したりして必要な情報を絞る、つまり「メモを減らす」ことを意識してみるのはどうでしょうか。

たとえば、会議中に見知らぬ情報が出てきたとき、その場で簡単なリサーチする、もしくは直接聞いてみる。とくに初めて耳にする言葉だと、聞き間違いをしたまま覚えてしまい、後から調べるのに苦労したり、間違って使って恥をかいたりすることも(ぼくも経験あります)。

取材をしていると、そもそも相手が言っている情報が間違っていることもあります。その場で調べて「これですね」と確認しながら進めたほうが、余計なメモが減りますし、その後のやりとりもなくなるのでおすすめです。

3. 視覚的にわかりやすく


とくに重要な内容は、色をつけたり太字にしたりする。

これは実践している人も多いと思います。

ぼくはパソコン派なので、重要度の高い内容は「太字」に、確認事項や決定事項は「赤字」にしています。あとは「箇条書き」や「番号付きリスト」で情報をポイントごとに整理し、視覚的に理解しやすい形でまとめることもあります。

絵を描くのが得意な人なら、イラストをつけるのもいいでしょう。絵が苦手でも、簡単なマークや絵文字をつけておくだけで、情報に「エピソード」を付与することができて、記憶に定着しやすくなります。

ちなみに、情報を視覚的にまとめるのに有効とされる思考ツールもあります。

以下の図は、上から「キャンディーチャート」「バタフライチャート」「フィッシュボーン」です。手書きのメモやノートを使っている人は、こういうものを使ってまとめるのもいいかもしれませんね。

『努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』(アスコム)より

4. すぐに整理する


「メモをとったのはいいものの、しばらく後に見返したら解読不能」という経験はありませんか?

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが「忘却曲線」で示しているように、人間はすぐに忘れる生き物です。

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  • 学習後の約20分で、約42%の情報を忘れる

  • 1時間後には約56%忘れる

  • 1日後には約66%忘れる

  • 1カ月後には約75〜80%忘れる

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メモは、できるだけ早く整理する。後回ししない。

面倒かもしれませんが、これが結果的に時間効率をよくする方法です。

整理するときは、パラグラフごとにまとめる、日本語として整える、順序を入れ替えるなどをして、自分が見やすい形にまとめるのがいいでしょう。

加えて、「感情の振り返り」も重要だと思います。

ぼくの場合、取材時には感情が昂って「おもしろい!」と思っていても、あとからメモを見返して「そこまでじゃないな」と気づいたり、逆に「こっちのほうが読者に刺さるな」と思ったりすることもしばしばあります。

とくに何かしらのアウトプットのためにメモをしている人は、感情の振り返りをしておくことで、「受け手の心の動き」を予測する際のヒントにもなるはずです。

まとめ:「パフォーマンス」としてのメモ


メモというのはおもしろいもので、「相手の気分を良くする効果」もあります。

「そうなんですか。初めて聞きました」などと言いながら一生懸命メモをとる姿を見せると、たくさん話してもらえることが多いんです。

ある取材でのできごと。同席していたライターさんが、取材相手の目をじいっと見て話しながら、ずっと手を動かしてノートにメモをとっていました。「ブラインドタッチ」ならぬ「ブラインドライティング」です。

ぼくは「よくそんなことができるなあ」と感心しながら、その様子を見ていました。

取材後、ふとそのノートに目を向けると、驚きました。そこに書かれた文字は、どう見ても日本語ではありません。まるでアラビア語のような、謎の文字の羅列です。「これは何かの暗号だろうか?」と思いました。

そのライターさんとはその後も何回か仕事をしたのですが、結局、謎の文字羅列の意味は聞けませんでした。もしかしたら本当にアラビア語なのかもしれません。

いつか、その謎の文字がぎっしり並んだノートをぜひ一度読んでみたいものです。今度会うことがあったら、勇気を出してお願いしてみようと思います。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

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