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生きること、死ぬこと、自然や社会など、こころがおもむくままに書いています。
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記事一覧

【詩】私

たしかに私がここにいる だけれど私は私を生きる実感を生きながら どうしようもない広大な広がりの一部だと思い出す 食べ物を食べる それは命を取り込むこと それは私を取り払うこと 排泄をする それは命を取り出すこと それは私を取り払うこと 広がりの中の連綿とつらなる私を生きる時に 私の実感は大きな私を邪魔しない 命が私を生きるのだ

【詩】0

モノはあつまり 放たれて ヒトはあつまり 放たれて ゆうらゆうら 踊るように 生きる 海や大地や星のすきまに ほろほろ崩れて 包まれて ゆうらゆうら だれかに巡る ひかりとなる 0は世界をながめる 無色の窓 0は世界がはじまる 小さな合図

【詩】 ホットコーヒー

飛ぶように時間が過ぎていくらしい 師走の時 コンロにかけていたやかんは シュボシュボと音を立てて湯気が躍っている 走り去る時間に乗らずに ただ、ただ、時間をかけて ホットコーヒーをちびちび飲む 冬の醍醐味は 温かい飲み物を携えて 時間に置いていかれることだ 時の流れが止まったところに あたたかみが生まれる

[詩]ゆうら、ゆうら

旅のおわりには、日常がまたたいている あぁ、日常にやってきたのだ 非日常は終わり、日常を彩っていく のきしたから見える庭の草木が ゆうらゆうらと、ゆれている 日がゆったりと青空をよじのぼる 蜂があっちへこっちへ音を立てながら、そよぐ わたがしのようなモコモコした雲よ なんとおいしそうなことか 風がそよいで、こころも泳ぎ出す ゆうら、ゆうら 草木のように 私の身体も、 私の心も 心地よく、ゆれている ふと気づくと、旅の始まりがすぐそこまできていた あぁ、非日常がやってき

【詩】 Dance on the Earth

Dance on the Earth ! 私を踊れ! Dance on the Earth ! 命を踊れ! 私とあなた Dance on the Earth ! 月は見ている 私とあなた、私たちを クルクルと踊る 優雅に舞う 手がなめらかに 足が滑らかに パッと光を当てると無数の糸が 手足に絡まっているのを まざまざと見て そのたびに Dance, Dance, Dance. はかなくも舞う つたなくても舞う 命の躍動を止めてくれるな 私は踊る あなたは踊る

【詩】夏模様、終わり

ドッシリとした空模様。 ふわふわの綿菓子の上には 新しい国が出来上がっている そんなことを想像させてしまう 雲の彼方に想いを馳せる お盆明けの空に ドッカリと居座って 君は何を想う? 私は、 夏を生きていることを思い出す   それは はかなさへの一方通行の小径 それは 夏を生きてきた命たちの名残 お盆明けの空に 今年も夏が過ぎていくことの安堵が広が お盆にだけ帰ってくる 亡き者たち 彼らは何を想う? そんなこと聞かれても 僕にはさっぱり わからない 私は、 夏

【詩】巡る。

水面に映る 影をみつめ 流れゆく空と出逢う   吹き抜ける風 空からの声 祈りの雨が祝う 巡りて 巡りて 巡りて 生きてゆく 巡りて 巡りて 巡りて 生きてゆく 揺れる木漏れ日 まどろみの中 太陽がふわり笑う 星のカケラ 拾い集めて 記憶を紡ぐように 巡りて 巡りて 巡りて 生きてゆく 巡りて 巡りて 巡りて 生きていこう

2022年7月7日ー8月7日滞在型パフォーマンス『巡礼生活』を実施(構想段階)/21年8月10日更新

こんにちは。全国巡礼中のしょうけいです。こんな感じの1年間を過ごしています。 2022年7月7日から8月7日にこんなことしたいな、というアイデアを書き残します。 奈良県の天川村にて、新暦の七夕から旧暦の七夕の間、滞在型パフォーマンス『巡礼生活』を実施します。 私はこの一年、全国巡礼を通して多くの方々に出会うと思うのですが、出会った方々にお声がけし、さらには、これまでお会いした方々にも呼びかけ、皆さんに天川村にやってきてもらえたらと思っています。 巡礼生活の主体は、やっ

【詩】 解消などできぬままに

あの景色を見た その景色を見た私はもういない 床に転がったビールの缶 日焼けしたおじいちゃんの肌 恵まれていると感じている私 そして負い目 あの香りがやってきた 何かが焼けたような香り その香りをかいだ私はもういない しょうべんがかけられた壁 ブワッと広がる不潔な匂い 清潔におさまろうとしている私 そして差別意識 相手と自分を切り分ける癖よ 我が身を焦がしながら通り過ぎる ひたすらに区別して ひたすらにおごっている 私自身を許しておくれと思うたびに 力になれないかとちいさ

【詩】 ぼんやりとはじまる

雲がかった目 カーテンが閉じた部屋 ぼんやりとした光が 透過されて床にぶつかり ひろがる 今日は心にメロディが浮かばない 浮かばないものが うごめいている それは空っぽではなく 在る カチコチという時計の振子が左手の方に 規則正しいリズムが ひびく あぁ、そうだ 一日の始まり 起きていたのに 寝ぼけていたよ まなこを開いて 庭を見る ありありとそれが見えるか? 育てている植物が空に伸び あっちこっちへ飛んでいる それを受け取り わたしは色付く 浮かんでこないものた

【詩】 歩く

歩くこと 僕は今日も歩く ジリジリとした空気を身にまといながら 風が通り抜けていく 風の流れをかき分けながら 少しずつ 進む 僕は今日も歩く 橋の上を抜ける時 川のそばの小道を見つけた ジョギングする人 歩く人 犬を散歩してる人 みんなの日常の一コマを上から覗きながら 少しずつ 進む 僕は今日も歩く いつも使っていた電車やバス こんなに速いのに 乗らない日々を送っている 乗りすぎると いつのまにか便利な魔法に 取り憑かれてしまいそうな気がして 僕は自分の身体を感じたい

【詩】エスカレーター

みんなは当然のように歩いていた 僕からみると、それは自動で動くエスカレーター そこに乗ることが怖くて 恐ろしくて それでも身体は動かなかった   みんなが当然のようにできること それができなかったから 僕はできることを望んで 努力しようと思った   僕にとって努力することは そのエスカレーターの自動運転への抵抗 どこかほつれたところを探して 破綻している穴から 降りたかった   何度も 何度も降りようとして 僕はまたエスカレーターに乗ってしまっていることを 自覚せずにはいられ

【詩】涙止まらなくとも

ドーピングのような そんな温かさは時々でいい 身体のうちから温まる じんわりとした生きた心地を たった今は噛みしめたい どこかに取りこぼしてきた やさしさの記憶 満たされなくなった わたしへの追憶 その断片をかき集めるようにして 自らを焚きしめる 生きた心地よ あふれんばかりに流れでて 命よ 温かくなれ 涙が止まらなくとも 霧散して まとまりがなくとも 息づいた記憶は 私を焚き付ける準備ができている すり抜けてきた やさしさの気配 彼方から聞こえる 鼓動が 己に

【詩】 止めてくれるな

後を追ってくるようにザワザワと 洗い流すようにサワサワと 誠に遺憾な木々の会話に 混ぜてもらおうと身体を揺らしてみる 吉野山に通っていく 吐息を混ぜて 掠れゆくままに、喉をすぼめて 僕も風の通り道に スュイ、シュッスススス 通り道を邪魔するものよ 止めてくれるな 己よ 止めてくれるな スュイ、シュッススス