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『望郷太郎』を読んだ

会社の代表に「望郷太郎」という漫画を勧められました。
曰く、

『望郷太郎』、名作ですので是非どうぞ。(『サピエンス全史』を読んで面白いと思った人は間違いなくハマりますよ!)
狩猟採集~農耕への流れ、富、宗教、文化、集落・都市・国家の興り、リーダー論、法律論、貨幣経済・利息とは、貿易、人の欲の本質、幸福論・・・
すべてが盛り込まれている異色で稀有な作品です。
まだ連載中なんですが、エンディングがものすごく楽しみで恐ろしい。
見たいけど見たくない。戦々恐々としながら待ち遠しいです。

とのこと!これは気になる!

現在、第6巻まで発行されています。
第6巻まで読んだ感想を書いていきます。

あらすじ

赴任先のイラク共和国で、世界的な大寒波から逃れるため人工冬眠に入った商社マンの舞鶴太郎は、それから500年後の世界で目を覚ます。文明が崩壊した世界で、故郷の日本を目指して旅する男を描いたSFサバイバル。

マンガペディア

感想

人間の歴史を早送りで見ているような気がしました。
読み始めたらもう止まらなくて、1日で一気読みしてしまいました!
感想を一言で言うなら「怖い!でも気になる!」

なによりもまず「怖い」という感想が来ます。
そもそも目覚めたら500年後で、家族は全員死んでいて、それどころかどこにも人がいない状況って、、、ちょっと想像を絶する絶望です。
そして人に出会えたと思ったら今度は「死、あるいは生への価値観」がまったく異なっています。
・死んだら家族でも食べる(弔いの意味で)
・金の発行権を持つ、すなわち強大な力を持つ国家の人間の、人とは思えない残忍残虐な仕打ち(吐き気を催したレベル)
今の私の感覚からすると「ひどい!ありえない!こわい!」感じるような強烈な場面が随所で描かれます。

そうした言わば「素朴な恐怖」に加えて、
憎しみが憎しみを生み、マウントが更なるマウントを生む様子も読んでいて残念な気持ちになります。
不条理を受け入れられないとか、見栄とかの人間らしい部分が、人間が増えるほどに複雑化し、命の奪い合いに繋がっています。
「そこらへんでやめとけばいいのに」と思ってしまいます。

一方で、なんかこの「怖い」「残念」って、自分の価値観を嫌でも見つめるきっかけになっているとも感じます。
価値観て、ある程度は時代の流れで醸成されたものだと思うんです。時代が違えば私は「戦争は素晴らしい」と簡単に思い込まされていたと思います。
「望郷太郎」の描写を読んで無意識に「普通じゃない、おかしい」と思ってしまうことによって、「あ、わたしって時代の流れとか時代の価値観とかにきっちり影響されてるな」と認識できました。

さて。笑
怖い怖い言ってますが、物語の中では太郎が人間の歴史を知っていることが希望にもなっています。
イラク支社長だった太郎さん、判断力と行動力を持ったビジネスマンであるようで、より良い方向に世界を動かすために東奔西走(主に東方向へ)しています。
これからどんな風に500年後の世界と関わっていくのか、とても楽しみです!

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