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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ③

ロシアのウクライナ侵攻後、国連総会で3回目に行われた対ロシア決議では、140カ国が賛成していた前回・前々回と異なり、「賛成」が93カ国となり、約20カ国ずつが「反対」と「棄権」に回り、半数近くが「賛成しない」結果となった。

国連決議

広範な国際社会の連帯をつくれているか?

でも、私はこの数字よりも、その「国連人権理事会でのロシアの資格停止を決める」という決議内容におどろいた。今回のロシアの行動は明らかに異常である。その行為をやめさせるには、相手の話も聞きつつルールや事実を突きつけ合い、交渉するよりほかないのではないか。

なのに、まさに人権問題を議論する場からロシアを排除し、孤立させてどうなるのか。これでは、賛成しない国が増えるのはムリもない(広範な国際社会の連帯を構築するためのラインを読み違えているのではないか)と感じた。【関連記事

米国はロシアの残虐行為を即時に止め、停戦に持ち込むつもりがあるのか?

周知のとおり、ロシアの侵攻の背景には、NATO(北大西洋条約機構)の東欧拡大が深く関与している。その中心にいる米国の大統領の発言に注目すると、これもまた「異常」の域に入っていた。3月に訪問したポーランドのワルシャワで、米のバイデン氏がプーチン氏について、「この男は権力の座に居続けてはならない」と語ったのは有名な話だが、このほかにもバイデンはプーチンに対し、「a killer(殺人者)」「a war criminal(戦争犯罪人)」「a murderous dictator(人殺しの独裁者)」「a pure thug(純粋な凶悪犯)」「a butcher(屠殺者)」などといった“侮蔑的”な言葉を発しつづけていた。【関連記事

紛争を阻止しようとするリーダーの発言には、とても思えなかった。核大国同士が、「力」と「力」で対立することは、もはやおかしてはならないギャンブルだ。ロシアは、ウクライナ侵攻後、明確に核使用の可能性に言及している。核が使われるということは、人類が「集団自殺」の道を選ぶということであり、避けなければならない至上命題だ。それなのに、なぜ不必要にあおるのか。

戦況をエスカレートさせるのではなく、侵攻には断固反対し、その責任追及の手は緩めずとも、そこにいたったロシアの事情も斟酌しながら、国際社会が連帯し、ウクライナの主権を完全に保持したかたちでの停戦に向けた外交努力をするよりほかないのではないか。

しかしながら、米やNATO加盟国からは、ウクライナへの武器供与が続々となされていった。ウクライナ大統領のゼレンスキー氏が望んでいることとはいえ、それによって命を失うのは無辜の民と双方の兵士たちでしかない。いずれ、ウクライナの人々が欧米側の「人間の盾」になりかねない。

核の危機をめぐって日本には重要な役割がある

そこに日本は参加していいのか?

核の危機の前に、大局的に(複合的に)世界の情勢を見た上での外交判断が求められている。でなれば、日本も世界も第二次大戦から何も学ばなかったことになる。

日本は2.24以降、前のめりに米国やNATOという軍事同盟に追従し、その中で役割を果たすことに注力している。そこに日本独自の考えは見えてこない。このままでは東欧発の争いに巻き込まれ、気がついたら、思いもよらぬ敵をつくり、戦争に突き進んでいくことになりかねない。それは核戦争への道を選択するということだ。核の被害を二度と起こさないと77年の間訴え続けてきたヒロシマ・ナガサキの被爆者の思いを日本みずから、踏みにじる行為だ。

ロシアの隣国というだけでなく、戦争による被爆国の日本が、全力でロシアの核の脅しを無効化させる役割を果たすことが求められるのではないか?

日本は米国の防波堤であることから離れ、独自の外交をすべき

このあたりで、冒頭でのべた「緩衝国」や「中立国」であることの意義を考えたいと思うようになった。日本として、である。

日本はロシア、北朝鮮、中国と核保有国に囲まれているが、これらの国が対峙しているのは米国である。結局冷戦以降、日本は米国の防波堤として、その役割を担ってきた。しかし新たな危機を迎えた今、米国の防波堤であることからいったん離れ、独自の目で、隣国やアジア、世界の中での日本の立ち位置を見直し、自立した行動を取ることが、結局は、現在の人類の危機を救うことにつながるのではないか。

「ロシア・サハリンの石油天然ガス開発から撤退すべきかすべきでないか」という疑問をつきつめていくうちに、先の戦争や地政学上の問題、安全保障、国際的な立ち位置など、私の頭の中はどこまでも広がっていったが、結論として、欧米の動きにただついていく判断だけはすべきでないと考えるにいたった。では、日本はどのような行動をとることができるのか(④につづく)

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