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回鍋肉

長くてわかりにくいレシピシリーズ。
今日も中華、回鍋肉です。キャベツと豚ロースを、醤油味ベースのタレで炒め合わせる、定番料理。
が、肉とキャベツを一生懸命炒めても、肉に火が通る頃にはキャベツが焦げていたり、お肉もパサパサになっていたり、異なる2つの素材を理想的な仕上がりにするには、少しコツがいります。(焦げたキャベツも美味しいですけどね)

ということで、今回も、下準備に工夫を。
中華といえば、火力だとか油だとかがクローズアップされがちですが、この3回ほど連続で書いている「下準備に一手間かけて、全て準備してから一気に仕上げる」という合理的な側面、もっと家庭料理に取り入れられても良いのにな!と思っています。家族の帰宅にタイミングを合わせて料理を仕上げる(しかも複数)って、なかなかの高度なワザでありますが、中華の手順は、一つのヒントになるのではないでしょうか。

まず、豚肉はブロックで用意します。余ったら別の料理にも使えるので、大きめ推奨。肩ロースが理想ですが、手に入らなければロースでも。
大きめの鍋に、豚肉と、豚肉がしっかりかぶるくらいの水を入れて火にかけます。灰汁が一通り浮いてきたら、一旦ざるにあけ、肉を水洗い、鍋も綺麗に洗います。
再び鍋に水を入れ、火にかけます。温まってきたら肉を戻し、沸騰するまでしばし。この時に、臭み取りのネギの青い部分と、生姜の薄切りも入れましょう。沸騰したらすぐに火を弱め(グラグラ煮立ててはだめです!)、極弱火で2−30分ほど茹でます。時間が来たら火を止め、そのまま冷まして置きましょう。
ここまでは、基本の茹で豚の作り方。極弱火で、表面から中心部まで均等に優しく熱を加えることで、柔らかな茹で豚ができます。茹で汁も良いスープになるので、献立に加えてしましましょう。
ちなみに、この、具材を茹でたときの茹で汁をそのままスープのベースにしてしまう作戦、私はよくやります。せっかく出てきた旨味や栄養分を捨ててしまうのは勿体無いし、手間も省けますから。このあたりも、いつか書いてみたいと思います。

次にキャベツ。キャベツは、大きめにカットします。火を通せばかさが減りますので、大きくても大丈夫。小さすぎると美味しくないので、大胆にいきましょう。カットするときは、何枚か重ねて、上から手のひらでグシャっと潰すのが良いです。葉脈の硬い部分に適当に亀裂がはいって、いい感じにラフになります。

タレを用意します。
生姜は千切り、ニンニクはお好きなら同じく千切り、臭い控えめが良ければ、大きいまま包丁で潰しておきます。ニンニクは、細かくするほど良く香りがでますので、その時の狙いで調整してください。
豆鼓は、包丁でみじん切りに。
フライパンを熱して油を敷き、生姜、ニンニク、豆鼓、それから鷹の爪一本を炒めて香りを出します。中国語だと、この工程を爆香といいます。
充分に香りが立ったら、酒、醤油、砂糖、みりんを入れて煮立てて味見。胡椒を振ってもいいですね。ええ感じの味になってますでしょうか。豆鼓は、醤油と味噌の親戚のような味ですが、これが入ることで、ぐぐっと旨味が締まり、ジューシーさが出ますね。これでタレの準備も終わりました。

ここまでで準備完了。時間があったら休んでください。仕上げは一気にいきます。

豚肉をスープから取り出し、回鍋肉っぽい薄切りにします。サイズが大きければ、薄切りにしたお肉をさらに1/2~1/3に。切り口が柔らかくて、うすピンク色の、いかにも美味しそうな感じの茹で豚になっていますか?
良く切れる包丁があるといいです。というか、うまく切れなかいとしたら、だいたいは腕のせいじゃなくて包丁のせいです。腕がないのに適当な道具でうまくいくはずありません。ちゃんと研がれた包丁は、料理のストレスを小さく、料理の仕上がりはぐんとアップさせてくれますよ。まな板も、ペラペラの100均のではなく、ある程度の厚みのある安定したものが良いです。

フライパンを熱し、キャベツを入れ、同時に水またはお湯を少し注いで蓋をします。蒸気でキャベツに火を入れます。蒸したキャベツは甘くて美味しいですからね。少ししたら蓋を開け、キャベツが少ししんなりしているのを確認したら、その上にお肉を、並べます。できたら重ならないように。
お肉を並べたら、お肉の上めがけて、先程のタレをかけましょう。仕上がりの味をイメージして、使うタレの量は加減してくださいね。
そして、火を強めて、木べら等で全体を大きくかき混ぜながら、タレを煮絡めていきます。この時にあまりに水分がじゃぶじゃぶしていたら、最初に入れた水が大きすぎるということ、次回からは減らしてみましょう。理想は、火を止めた時に、全ての水分がタレとなって具材に絡んでいることです。ここであまりに長く炒め続けると、せっかく柔らかく仕上げたお肉が固くなってしまいます。お肉を加えたら、なるべく短時間で仕上げることをイメージしてください。

さて、完成。
大きく切ったキャベツの甘さが、口いっぱいに広がり、程よいボリューム感の柔らかなお肉は、噛むと同時に、絡まったタレの深い旨味が溢れます…でしょうか!?
市販の薄切り肉と違い、自分でスライスしたお肉は、程よいボリュームがあります。キャベツは敢えて多めに準備し、量的にはキャベツ>お肉、食べた時の印象は半々、というのを狙うと、個人的にはとても良いバランスなのではないかなと思います。


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