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読書感想文:紙の動物園

欲しい本があるときはネットで購入する方が早いけど、ランダムに本を手に取りたいときは本屋に足を運ぶようにしています。

ぴぴっと気になる本を見つけられるときもあれば、文庫本の棚を3周くらいしても全然食指が動かないときもあって、そういう時は仕方なしに著名な作家のまだ読んだことがない作品を選ぶんだけど、ちなみに最近"とりあえず買った"『高い城』の男はいまひとつで・・。

同じ日に、ケン・リュウの『紙の動物園』も目に止まったものの、センチメンタルに寄り過ぎた本は避けているので買わなかったんです。

結局、後日違う本屋に立ち寄ったときも目に止まり又吉推薦の帯も強く訴えかけてきたので手に取ってみました。


ちなみに、作家としての又吉は読んだことがないのだけど読書好き芸人としての又吉には妙な期待感があります。好きな本は?と聞いたら人間失格とかドグラ・マグラを挙げてきそうな面倒くささも匂わせつつ(勝手な妄想)、『紙の動物園』みたいなノスタルジックなのにも弱いんでしょ?わかるわかる、と頷いてしまうチョイスがにくいですよね。


『高い城の男』然り、一時期の西洋文学はいきなり妙な東洋文化が持ち込まれていることがあって、いわく「然」みたいな思想のブームが当時はあったらしいんですが、個人的にはどうにも文化の盗用のような違和感が拭えないです。

筆者は中国系アメリカ人ということもあり、『紙の動物園』では西洋と東洋、文化の対立が描かれています。異なる文化の間で生まれる孤独、不協和音を詩的に表現するとこんな作品になるのかなぁと読んでいて感じました。

孤独や喪失感をSF小説として描く表現方法はロマッチンックの極みでありどうやったら嫌いになれるんだよ!ってところですね。

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