がん治療患者における運動負荷試験は重要であり、心臓リハビリテーションは効果的に働く
抄読文献
抄録
がん患者における心血管疾患(CVD)は、罹患率および死亡率の主要な競合原因となっている。短期および長期にわたるがん治療は、心血管への有害な影響を及ぼす可能性がある。さらに、がん治療中および治療後に、がん患者は重要なCVDリスクファクターである心肺機能を顕著に低下させる場合がある。
運動は、がん患者におけるフィットネスの向上とCVDのリスク低減のための潜在的な介入となっている。
このレビューでは、心肺機能ががんおよびCVDの結果を予測する役割となると言うこと、そして運動ががん患者におけるフィットネスとその他の重要な結果の改善に与える影響について論述する。
また、心臓ー腫瘍リハビリテーションの役割についても論述する。
要点
米国では心血管疾患とがんがそれぞれ死亡原因の第1位と2位となっている
がんサバイバーは心血管疾患の罹患率が1.7〜18.5倍高い
その中でも心肺機能(CRF)の低下が見られる
最大心肺運動負荷試験(CPET)はゴールドスタンダードとして用いられ、がん患者における心血管疾患に対する評価として有効である
CPETにより心血管疾患の状態を把握して運動療法を行なっていくことが重要
Scootらのメタアナリシスでは、がん多剤併用療法を受けている成人患者に対して、48のランダム化比較試験が同定され、運動療法を行うことで、通常ケアと比較してCRFの有意な増加を示した。
レジスタンストレーニングにおいても、下肢筋力の増加、除脂肪体重の増加などの効果が認められた
ACSM主催のがん生存者のための運動ガイドラインでは、運動は安全であり、すべての生存者は最低限運動不足をを避けるべきであると結論づけている
どのように活用するか
日本では、がんの治療後にリハビリテーションとして関わることができる機会は少ない
特に術後においては短期間で退院し、外来でリハビリテーションを継続していくことは難しい状況にある。
その中で、米国ではこのように数ヶ月にわたるリハビリテーションプログラムが優遇され、実践されている。
がん治療中には様々な薬剤の使用や外科的侵襲などが加わり、がんそのものの炎症性サイトカインの要素も合わせて、衰弱する要因が多くある
そこに心血管疾患が併存してくることになるという動向が加わり、さらに心肺機能を低下させる要因になる
それらに対して運動療法は効果的であり、機能の向上に結びつくとともに、安全性も十分備えているものとして、考えることができると言うことを示している
日本においても、このような治療を提供できる環境が整うことが望まれるとともに、各施設で行うことができる対応を可能な限り行なっていく必要がある
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