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Zoomの観察で肩の可動域を測定できるのか?

少し間が空いてしまいました。
学校業務に戻ったら、怒涛のごとく情報が入りタスクを組むのに苦労…
昨日は家にたどり着いたら12時前と記事まとめるどころではない
…という言い訳を加えて、はじめていきたいと思います。
肩の可動域評価をZoom越しに行えないかという面白い研究です。


抄読文献

Tozawa R, Ishii N, et al.
The reliability and validity of joint range of motion measurement using zoom and a smartphone application.
J Phys Ther Sci. 2023 Jul;35(7):538-541.
PMID: 37405179; PubMed. DOI: 10.1589/jpts.35.538.
Zoomとスマートフォンアプリを使用した関節可動域測定の信頼性と妥当性
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要点

【はじめに・目的】

昨今、特にZoomなどを用いた遠隔リハビリテーションの報告が多く見られる。
それに対する効果の報告も見られるようになり、一定の認識、見解が得られてきている。
治療展開を行なっていくには、治療効果の判定として評価が必要になってくるが、その評価方法についての報告は少ない。

本研究では、その点に着目し、肩関節の関節可動域(ROM)をZoom越しにスマートフォン(スマホ)アプリを用いて、測定することができないかという試みを検討している。

【方法】

肩ROMの測定として、2つの方法が用いられた。
一つは、正確性が担保された評価として、三次元モーションキャプチャーを用いた評価方法である。
そして、もう一つが本研究の課題である、Zoomを通して行う評価になる。

三次元で測定したものと同様の位置で、それをパソコンにてZoomでWeb会議をつなぐ。
そして、それをスマホで受信し、アプリに反映される。

アプリはグリッド線撮影アプリProfessional (Naradewa Inc.)を用いている。どうやらフリーソフトのようである。

そのアプリを用いて、肩関節屈曲ROMを測定し、検者内・検者間信頼性を求め、アプリで測定することの信頼性をだしている。

また、三次元の測定結果と相関を見て、信頼性の担保として判断している。

【結果】

結果として、検者内・検者間信頼性ともに0.9以上と高い数値を示した。
また、Zoom測定と三次元測定の相関も0.95以上とどちらの検者も高い相関を示した。

【考察】

今回の結果はZoom越しでアプリで測定した関節可動域であっても再現性が高く、三次元の測定と比べても信頼性が保たれているものとなった。
このように評価が可能になってくると、関節可動域の拡大に関して、遠隔リハビリテーションの効果を判定することができ、さらに遠隔リハビリテーションが発展してくる可能性がある。

一方、研究限界として、この測定は肩の屈曲のみであるということがある。外転など他の運動に関しては、誤差が大きくなる可能性も秘めている。また、マーカーをつけて測定しているため、実際遠隔で行う場合は、そのようなシチュエーションを作ることは難しく、マーカーがない場合には誤差が生じる可能性もある。

このような点を考慮しながら活用していくことが必要になる。

どのように活用するか

本研究はとても面白い視点を持ったものになる。
我ら日本の理学療法士が誇るPhysical therapyに投稿された論文である。

普通に撮った静止画で角度を測定するということは、以前からある代表的なimage Jなどによって多く行われてきた。
しかし、本研究はZoomを介して撮影した映像からアプリを通すという点が新しい。
このシチュエーションで測定が可能であれば、遠隔リハビリテーションの有効性にグッと近づく可能性がある。

以前紹介した↓

こちらの記事のような内容を活用していくと、セットで治療体系が成り立つのではないか。

リハビリテーションを一般化し、さまざまな方に提供できるようになる一助となるかと思う。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます!

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