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FAA ATPL取得 海外エアライン 概要①

FAA ATPL取得までのフローを皆様のお役に立てればと思い参考までご紹介いたします。2020年の実体験に基づく最新情報です。後日公開予定の続編では詳細な申請方法や実地試験の口述試験の内容と対策までご紹介します!!

<目次>

1 WHAT IS ATPL?

2 WHY FAA?

3 WHO CAN APPLY?

4 WHERE?

5 HOW MUCH & DAYS?

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1、WHAT IS ATPL?

結論:海外で働くならほぼ必須。以下概要のため、既知の方は3項からどうぞ。

ATPLとはAirline Transport Pilot Licenseの略称で、日本では定期運送用操縦士。航空法上は次の通り。1、事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為。2、機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、その操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。3、機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと。

ざっくり言うと日本では、エアラインで機長。海外では副操縦士にも求められる国がことが多い資格です。つまり、海外の航空会社に就職するなら必須の資格です。一例としてカタール航空会社を見てみます。

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応募要件の1つ目にATPLと記載されております。カタール航空以外にもほとんどの海外の航空会社/飛行機運航会社は機長はもちろん副操縦士にもATPLの所有を求めています。各国の航空法で定められているところもあります。つまり、海外進出を考えておられるなら必須の資格であると言っても過言ではありません。

自衛隊パイロットの方も既に飛行時間1500時間以上など、一定の要件を満たしていれば、米国ATPLを取得し海外でエアラインに就職、時間と経験をある程度貯めて、日本の会社に就職するルートも現実的です。というか、国の2年縛りや計器飛行証明取得などの影響なく、海外進出する機動力があればこれが最も効率的だと思います。要件に関しては第3項に記載。


2、WHY FAA?

結論:今は最適解だから。実質150万円と2週間。
具体的に他の国と比較したわけではありませんが、FAAが最も効率よく取得でき、その後も有効であると考えます。

1、世界で通用するライセンス
 アメリカが先進国であることは周知の事実でありますが、航空業界においてもその権威が非常に強いと思います。企業価値、ICAO議決権、航空機製造、TCD発行、旅客数、便数など、どの側面から見ても世界のトップ5以内に必ずアメリカがいると言っても過言ではないのではないでしょうか。
 そんな航空先進国のライセンスを持っていれば、一部を除き非常に多くの国で通用すると考えられます。事実、先ほどのカタール航空もその他の多くのエアラインもICAO ATPLを要件にしており、米国も当然ICAO加盟国ですので要件を満足します。結論において”今は”と記したのは、EASAや一部地域、会社ではFAAライセンスでは受け付けないというところが出現する可能性もゼロではないためです。

2、効率的に取得できる
 おそらく、最も安く、早く取得できます。概算で150万円、渡米期間は2週間。費用と所用期間の詳細は第5項に記載。


3、WHO CAN APPLY?

結論:総飛行1500h,機長(PUS)250h,野外500h,夜間100h,計器75h

1、FARで最新の要件を確認
 航空機の種類、等級、型式により何の時間をATP要件の時間に加算できるかある程度細かく決められております。個人の印象としては、要件を厳しくしているというより、軍隊での経験などもある程度加算してもいいですよと、緩和している主旨の条文になっているような感じがいたします。

 米国の電子連邦法令集の該当ページ→ FAR CFR61.159
 くれぐれも最新の条文を公式サイトなどで確認の上行ってください。結構変わることもあるようです。〜以下一部抜粋と簡単解説〜 2020年2月現在。
 §61.159 Aeronautical experience: Airplane category rating.
(a) Except as provided in paragraphs (b), (c), and (d) of this section, a person who is applying for an airline transport pilot certificate with an airplane category and class rating must have at least 1,500 hours of total time as a pilot that includes at least:
飛行機のATP資格を申請しようとする者は、以下の項目を含む少なくとも1500hの総飛行時間が必要。ただし、(b)(c)(d)項を除く。
(1) 500 hours of cross-country flight time.
(2) 100 hours of night flight time.
(3) 50 hours of flight time in the class of airplane for the rating sought.
(4) 75 hours of instrument flight time,
(5) 250 hours of flight time in an airplane as a pilot in command, or when serving as a required second in command flightcrew member performing the duties of pilot in command while under the supervision of a pilot in command, or any combination thereof, which includes at least—
 (i) 100 hours of cross-country flight time; and
 (ii) 25 hours of night flight time.
だいたい大丈夫かと思いますが、(5)だけ解説しておきますと
「250hのPIC、もしくは次の(i)(ii)を含むPUSの時間」となっており、本邦エアラインの副操縦士の多くがCPLで従事しているかと思いますが、機長見習業務(PF duty)を行った時間はPUSとして加算し、250hの機長時間に加味できる旨記載されております。おそらく多くの本邦航空会社が、副操縦士がPUSをつけるには1年経過後などとしているかもしれませんが、米国ATPには全く関係ないものであり、独自に別のログを記録する方が早く要件を満足するのではないでしょうか。とくに機長の署名も必要ではないようです。私が受けた試験官は電子logでも紙logでも良いし、要件を確認できればサマリーでも良いとおっしゃってました。ログの様式も各国でまちまちだと思いますが、確認できれば様式も関係ないそうです。私はJCAB様式の電子ログをipad上で提示しました。特に指摘事項はありませんでした。アメリカの合理的なこういうところを日本の行政も見習うべきです。
以降、(b)~(f)まで続きますが、夜間の時間の緩和やフライトエンジニアの時間も考慮するなどと言った項目です、(a)をギリギリ満足しないと言った方は確認してみてください。

2、そんなに厳しい条件ではない
 改めて、要件を見ると総飛行1500h,機長(PUS)250h,野外500h,夜間100h,計器75hと、日本でATPをとるまで会社に属して数年〜十数年とかかかる現状に比べたらそんなに厳しい条件ではないと思います。何より自衛隊出身の方にも優しいのではないでしょうか。

3、ログブック問題
 1の項目で一部言及しましたが、ログに記載するための日本(会社)の要件と米国ATPの要件は全く異なるものです。海外進出しようとお考えの方は、独自に別のログを記録する方が早く要件を満足すると思います。副操縦士の方でも、とくに機長の署名は必要ありません。私がFAA試験官に聞いたところ、電子logでも紙logでも要件を確認できればサマリーでも良いとおっしゃってました。ログの様式も国や会社でまちまちですが、確認できれば様式も関係ないです。私はJCAB様式の電子ログをipad上で提示し、特に指摘事項はありませんでした。
 ただし、ログに関しては試験官の裁量によるかもしれませんので、フライトスクールに確認するなどして試験までに何かしら準備してください。

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