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「正当な理由」次第で犯罪になることと、当然犯罪だと思っていたけど罪にはならないこと

普通に暮らしているぶんにはあまり関係はありませんが、実はいろいろとややこしいことは存在します。

軽犯罪法の微妙なところ

軽犯罪法という法律がありますが、この法律には「正当な理由」という判断基準が主観的な文言があります。
そのため、警察が別件逮捕のツールとして使うことはままあるようですね。まぁ、普通に暮らしてる方、真っ当に暮らしている方には、あまり関係ないとは思いますが…。

ということで、以下は犯罪になります。

•「正当な理由」がなく、刃物、鉄棒、その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

•「正当な理由」がなく、合鍵、のみ、ガラス切り、その他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

• 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの

「器具を隠して携帯」がいけないことなので、公然と持っていればOKという理屈も成り立ちそうですが、さすがに刃物を公然と持ってたらねぇ(笑)。まぁ合鍵なら…。

以下は裁判で無罪になった例ですが、無罪とはならなかったこともあるようです。いろいろ条件が重なりますとね。

• カッターを所持していたので逮捕
• 懐中電灯を所持していたので逮捕
• 就職活動中の(生計の途がない)人を逮捕

「100均で、台所で使う包丁とか大き目のカッターを買って、たまたま車のシートのところの毛布の下とかに入れて外からは見えないように置いてた」なんてところを警察官の目に触れて、それが「正当な理由」によるものではない、隠してたと警察官が主張して捕まっちゃったら、裁判で争わなくちゃいけなくなるという可能性もゼロではないということですね。

「無銭飲食」について

法律を学びはじめた方の多くが割と驚くことかもしれないのですが、いわゆる「食い逃げ」というやつですね。
これ、最初からお金を払う気など一切なく飲食してしまうと詐欺罪ってことになりかねませんが、飲食中に気が変わって支払いをせずに逃げ出してしまっても、刑法上では罪になりません。

もっとも、民事上の責任はありますから、もちろん最終的にお金は払わないといけませんね。
でも、店主が警察官に訴えたところで、「警察は民事不介入ですから」と言われておしまい、なんてことも起こり得るわけです。一応刑法上では罪になりませんので…。

いまや昔のことですが…

かつては偽造テレホンカードで公衆電話を利用しても罪にはなりませんでした。

• 詐欺罪 >>> 人を騙してないので成立しません。
• 窃盗罪 >>> 通話は「財物」ではないので成立しません。電気代も発生しませんし…。
• 有価証券偽造罪 >>> 当時テレホンカードを有価証券とする判例はありませんでした。

その後、こうした犯罪に対応するため、「電子計算機使用詐欺罪」が設定されまして、付則に「支払用カード電磁的記録に関する罪」が追加され、いまや立派な犯罪となりました。だいぶ後手にはまわったようですが…。


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