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『ほんのり暗い』試し読み

文学フリマ札幌(2023/07/09)に頒布する日記・エッセイ・掌編小説集の試し読みになります。

積読ゾンビな話

 哲学的ゾンビという言葉がある。

 文字からわかるように哲学分野での言葉であり、ものすごく端的に言うと、普通の人間と区別がつかないが、実際は意識を持たずに行動する人間(ゾンビ)のことを表す。なんだか某ホラーゲームの屍人が思い出される。

 哲学的ゾンビから取って、今の自分は積読ゾンビのようなものなのではないかと思う日がある。

 高校の頃、いわゆる「病んでる」状態だった私は、小さな積読本の山を作っては何度も雪崩を起こしている。

 もともと本が好きだったが、高校の頃からは出席ギリギリ、まともに学校に通うのもままならない状態で、本を読もうとしても目が滑るくらいに集中力がなくなっていた。

 しかし、身体は本が好きで週に何冊も読んでいた頃のことを覚えているようで、折に触れては書店へ足を向けて、自分の好みであろう本を購入して、部屋に積んでいた。
 ほとんど何も考えずに行動していたような気がする。

 何も考えずに行動していたため、何を買ったのか覚えておらず、中には自分が買わないようなあらすじが書かれている本もあった。普段読まなかったジャンルを攻めたのだと思う。

 図書館でも同じように、興味は惹かれる本を借りて読まずに返す行動を繰り返していた。

 本が好きな人間は、たぶん、ゾンビになると積読本をため込むのだろうなと思いをはせながら、今日も何も考えずに、なんとなく本を買う。


こんな感じの日記やエッセイ、掌編小説をまとめたコピー本になります。
ちなみに『積読ゾンビな話』は別垢で挙げたものを書き直した話だったり。
文学フリマ札幌(2023/07/09)サークル名「むらさきいろ」え-11にて頒布します。
ぜひ遊びに来てください。

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