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VOL.3 価値観の変化

出向期間の延長

 わずかな自信が芽生えた頃は、コロナの真っ只中。これまでの当たり前の日常が当たり前でなくなる日々。そうした中、当初の出向期間が満了を
迎え、出向元に帰任すると思っていた。
 自信も芽生えてきたし、何よりいい仲間に恵まれ、やりがいと楽しさを
感じる充実した日々、期間満了で帰任するのも、どこか後ろ髪引かれる。
そんな思いを巡らせていたら、なんと出向期間の延期!コロナ禍でもあったこともあるかもしれない。理由はさておき、正直これまで取り組んだことがなかったことにも挑戦し、新たな発見ができるかもと楽しみな気持ちが強かった。
 しかし、出向の間は単身赴任、家族への負担は自分が思う以上に重かった。家族に負担を強いる中で、自分は仕事している、仕事させてもらっているのか…
 想定外の出向延期は、支えてくれている人がいて、仕事ができていることを思い起こすこととなった。

自信とともにやるべき事の芽生え

 家族に負担をかけてしまっている、だからこそ仕事頑張らなければと、今思えば、自分勝手な解釈で邁進していた。自信は芽生えてきたと同時に、いろんなことに取り組んだ、結果にもつなげてきた。結果につなげてきたことが、目にとまったのか、となる大企業の社内の講演会に、講師として登壇することにも。この講演は、準備の段階から信頼できる仲間たちと本当に楽しく取り組むことができた。実際の講演も、緊張することなくでき、事後のアンケート見る限り、聴衆も満足されていたようだ。人に伝えること、伝える中で一緒に考えることってこんなに楽しいんだと。
 また、コロナ禍で世の中の常識も変化していく中、今後の将来を見据えた社会課題解決への関心とやるべき事も明確にしている自分がいることにも気づいていた。残り少ないビジネスマンとしての人生、やるべき事が見つかったならば、それに取り組むのも悪くないと。
 不思議なもので、そうしたタイミングで、外の会社からアプローチが
来た。うちの会社どうですか?と。しかも社会課題解決に取り組むコンサルティング会社。どこかで、自分が社会課題解決に関心が強くなっていること、盗聴されているのか?と思うくらいのタイミング。
 でも、自分は関心はあれど、今の会社に残って頑張ってみようという思いがまだ強く、即断即決なんてできない。それに出向先の会社の任期を満了しなければ、出向先だけでなく出向元にも迷惑をかけてしまう。世の中はつながっている。非礼は必ず自分に返ってくるものだから、アプローチに対して、きちんと状況説明し理解をしてもらった。

帰任するが、単身赴任

 延長となった出向期間も、さすがに終わりを迎え、出向元に帰任することとなる。コロナ禍であったけど、本当にいい仲間に恵まれたし、いい仕事ができたと思う。出向先は、出向元より所帯が小さく、始動したばかりの会社であったのでいろんなことに取り組むことができた。SNSに疎かった自分が、SNSを活用した施策に取り組み結果を残せたのも、本当に優秀で信頼できる仲間と楽しくできたから。この仲間は、最高の財産。本当に感謝しかないし、今後もいろんな形で関わっていきたいと思っている。
 しかし、出向元に帰任となるが、勤務地の都合で、引き続き単身赴任となってしまう… 自分以上に家族は、いつまで続くのか不安と負担が強くなっていた。サラリーマンである以上やむを得ない。これまではそう自分に言い聞かせていたが、その頃から、やむを得ないと自分に言い聞かせることが
本当に良いのか?と考えるように。また、父が他界後離れた場所で暮らす
母に何かあったら、単身赴任の身ではすぐに対応できず、ますます家族に
負担を強いてしまうことになってしまう。
 芽生えた自信と実際に置かれている自分の現在地との乖離を感じる日々を、新たな単身赴任先で悶々と考えるように。

仕事の価値観とは何か

 仕事の価値観は、人それぞれ、人生のステージ毎に変化もする。収入、
待遇、やりがい等々。自分もより大きな仕事、責任のある立場でやってみたいという、ありがちな価値観に立脚していたと思う。でも、芽生えた自信と現在地の乖離の中、身近な人への負担を強いることが本当に良いのか?それは、本当に大切なものを見失っていないか? 結果、自分もやむを得ないと納得させるとともに乖離していることに蓋をしめるだけでなく、家族にも
負担を強いていては、何も意味がないのではないか。
 ありがちな価値観に漠然と立脚していた自分が、仕事における価値観を
考え、自分に正直に生きる、そして今の状況を少しでも変えるために、やらない後悔よりもやって失敗した時の後悔の方が納得いくのではないかと思うようになっていた。
 出向期間の延期、自信とともにやるべき事への芽生え、引き続きの単身赴任が重なり合い、仕事への価値観の変化が、選択肢の一つであった「転職」することへの背中を押すことになっていた。

***次回に続く***

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