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シャーロック・ホームズについての愛ある誤解

有名なものからコアなものまで、シャーロック・ホームズ原作と世間認知のズレはいくつかある。
決してそれは悪いものではなく、面白い豆知識と解釈になりえる齟齬だと思う。

あなたが想像するシャーロック・ホームズはどんな服装で、どんな風貌の人だろう。
既に原作を読破したシャーロキアンの方には退屈な話かもしれないけれど、そこはご容赦頂けると有難い。
もしかしたら、茶系のケープつきコートに鹿撃ち帽を着た姿を想像したり、ちょっとダンディなおじさんを想像した人もいるかも知れない。
これは私の周りの人に実際に聞いたホームズのイメージ。
色んなタイプがあってとても面白い。私も原作にどっぷりハマるまでは、ホームズのイメージと言えば前者の姿で認知していた。

こんな例を持ち出すという事は、この認知も誤解なのか。
結論から言うと誤解ではないけれど、作中でホームズがこの格好をした事は一度もない。今ではデフォルトとも言えるホームズの姿は実は後付けで、挿絵作家がイメージを膨らませて描いたもの。作者のコナン・ドイルの発案ではなかった。
作中のホームズは、主にフロックコートを着用している。割とシンプルな恰好だ。

この他の誤解といえば、ワトソンは太ってなかったり(途中ちょっと幸せ太りするタイミングはあるけれども人並み)、アイリーンアドラーはホームズの恋人ではなかったり、宿敵モリアーティ教授はシリーズ中に度々現れるような定番の黒幕ではなかったり(大きな事件だけで言うと登場回数は2件くらい。その内1件は手紙のみの登場)、もっとマニアックな事を言うとモリアーティ教授が天然ハーブ系のコロンを愛用する描写も原作にはない。

こんな風に、後年のパスティーシュ(模倣して作った作品)やその他のオマージュ作品で時折出てくる設定と少し違うところがある。
冒頭でも言った通り、これは悪いというわけではなく、それだけホームズの解釈が多く、豪華な作家陣達による二次創作が潤沢という事。
100年以上、多くの作家達が様々な可能性に夢を馳せた探偵。それがシャーロック・ホームズである、という証明になっているんじゃないだろうか。

ホームズに巨悪と言わしめたヴィランの活躍はもっとあるはず。
ホームズに一目置かれる女性とのロマンスがあったって良い。
原作からの供給が有りながら、描かれていない所謂美味しい要素。
それを辻褄を合わせながら、時にはifとして、深掘りし物語やその他の読み物、コンテンツとして形にする。
その功績が、今のシャーロック・ホームズの世間的認知を形作ってきたのではないかと思う。
この誤解たちは、ホームズの愛された軌跡そのものという事で間違いないと勝手に私は納得している。

100年以上経過した今もなお、原作は楽しめるしその派生とも言える作品もたくさんある。ホームズワールドはこの先も無限に可能性が広がっていくに違いない。

やっぱり私は生涯、ホームズという探偵から目が離せないのだと妙に納得した空腹の22時。
今日はこんな所でオタク語りを締めておく。


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