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雑記3(最近聴いた音楽について)

最近聴いた音楽

3月後半から約2週間で何回も聴いた音楽の感想を残したいと思います。
新譜というよりは旧作、そしていわゆる名盤を多く聴きました。

前回前々回同様、各項目の分量にバラツキがあり、レビューや解説などでもなく、音楽をやってる20代後半の個人としての感想です。
自分にとって、この音楽のここが素敵だったという部分が少しでも伝わって、それぞれの音楽へ興味を持っていただくことに繋がれたのなら幸いです。

佐藤博『Awakening』(1982)

佐藤博さんのことは、細野さん周りの音源や、関連書籍などを聴くなり読むなりしていると頻繁に名前が登場するキーボーディストで、そのぐらいの認識でした。
ある時、細野さんの作品についてのwikiを読んでいて、ザッピングでこのアルバムにたどり着きました。
Linn Drumと言うリズムマシンがとても好きなのもあり、アルバムで重要な位置にあるとのことで聴いてみたら、めちゃ最高すぎました。

80〜90年代初頭のAORやシティポップが、時代をあまりに感じ過ぎてしまいどうにも古臭いと感じて、あまり好きでは無かった人間なのですが、このアルバムはすんと入り込んできました。
名盤と言うのは、そう言う雑念を取り払ってくれる魔力があるのだなと改めて思いました。

そして、キーボードの名手(その他の楽器においても)というのは技術力ではなく、トータルでどれだけ楽曲を見れていた上で、同アプローチをしていくか、と言う次元にいるのだろうと思いました。
楽曲の素晴らしさは当然のことながら、シンセベースの音の一つ一つの処理(音価、フレーズのチョイス)の仕方が、最高に気持ちが良いです。
ほとんどの演奏を一人で行ったという、宅録音源としての完成形が1982年にもうできていたのだと思うと、音楽制作を頑張ろうと思う人間から見ると絶望に近いものを感じます。
同時に音楽としての希望も感じさせるアルバムなので、ここ最近で一番リピートしてます。

インストであるM1「AWAKENING(覚醒)」から始まるからか、アルバムを通して聴きたくなります。
ジャズなのかクラシックなのか、どちらとも取れる和声や音を積み上げていき、一体どう言う雰囲気・ジャンルのアルバムなのか、毎回忘れさせるという魅力があります。
単体でも充分効く機会はありますが、頭から通して聴いた方が、良さが何倍も膨れる、と僕個人はそう感じました。

ただその中でも、お気に入りの楽曲を選ぶとしたらM11「BLUE AND MOODY MUSIC(WENDY'S VERSION)」です。
M2のアレンジ、バージョン違いではあるトラックではありますが、テンポが上がったことにより、抜け感のあるサビのメロディーが際立って聞こえるため、好きです。

そして、ビートルズのカバーであるM6「FROM ME TO YOU」は、まさかの方向性のアレンジで、YMOのカバーした「Day Tripper」ぐらい驚きました。

Aphex Twin『Collapse EP』(2018)

何回聴いたかわからないEP。
一時期はこれを1日の何処かで聴かないと、気が休まらないほど自分にとって好みすぎるEPでした。

自分の電子音楽の遍歴としては、電気グルーヴから卓球さんのソロ、その後にAphex Twinが大まかな流れでした。
Aphex Twinのどこにもない音世界にハマり狂ったように聴いて、エレクトロ、テクノ、電子音楽に、それまでより一層魅了されました。
そのずいぶん聴いてた頃が、ちょうど今やっている音楽ユニット"Anisonin"を始める1年前からで、そこから2020年ぐらいまでの2年間ほどは沼にズブズブにハマっていました。

その後、本格的にそのジャンルを聴く、作るようになってからは、むしろAphex Twinは聴かなくなっていました。
なんというか自分の中でクラシックになったというか、もっと色々な世界を見てみようということで親離れ的な感じで距離を取ってました。
ここ2~3年ぐらいは、たま〜に聴く程度で、意識的にはそこまで聴いてなかったのですが、最近この数日で電撃が走るぐらいAphex Twinを聴きたくなって、このEPを聴いてみましたら、またぶっ飛びました。
音の一つ一つ、音響効果の異質さがもう彼にしか作れない音でしかなく、唯一無二の声を欲しいままにしてました。

このEPを聴いていた当時はM1「T69 collapse」、M2「1st 44」が大好きでしたが、今回久しぶりに聴いたらM3〜5にやられました。
特にM4の「abundance10edit[2 R8's, FZ20m & a 909]」の、パッド的なシンセの音の広がりとそれにこれを複合しちゃうの?と思うエグいリズムトラック。
今聴いている音楽の嗜好が割と近いのか、とても大好きな曲になりました。
恥ずかしながら盤は持ってないため、機材リストが解説に載っているらしいので近々手に入れたいです。
どうせだったらEPで欲しい。。。

Radiohead『KID A MNESIA』(2020)

ただただ、ド名盤です。
Radioheadの中で1番好きなアルバムが『Kid A』なので、このリイシューはとても興奮したことを覚えています。
こうして過去作に焦点が当たることで、特に発売当時から触れていたわけではないので、話題に上がっているのをリアルタイムに感じられて嬉しかったです。

肌感覚で「難解」と感じる人がこのアルバムに至っては多いイメージがあります。
そんな人に普段聴く音楽を尋ねると、割とシンプルなギターロックであったり、ポップよりな曲を多く聴く人が多いです。
ということは、そんなマニアックな音楽を聞かない人でも、このアルバムやRadioheadにはとりあえず一度触れるものだと思うと、規模感の大きさに驚かされます。
そのため、自分にとって『Kid A』はエレクトロミュージックやポップミュージック以外のジャンルの音楽への窓口になる、そんな度量の深いアルバムという位置付けです。

そして、自分の中で同時に好きな曲を単体で選ぶことができないアルバムでもあります。
まず、普段生活していて、このアルバムからこの一曲を一つ選んで聴こうとも思わないし、プレイリストに一曲だけ選んで入れるようと思わないです。
聴くなら頭から聴きたいし、プレイリストに入れるのならアルバム収録曲丸ごと入れたいと思えるアルバムです。
そんな人も多いような気がします。
苦渋の選択で選ぶのなら、この曲が抜群に綺麗なので、この曲にします。

『Amnesiac』は、自分はまだ掴みきれてないので、割愛します。

Nirvana『In Utero』(1993)

これもまた、死ぬほど名盤なので別に自分が今更語ることはないのですが、アルビニ自身で再ミックスした2013バージョンがとても聴きやすくてすごく好きです。
このアルバムを聴くと、気持ちがどうしても重く暗い気持ちになりがちなので、この動画を合わせて聴くともう少し純粋に音楽だけを楽しめるのでおすすめです。

Aphex Twin『...I Care Because You Do』(1995)

『Collapse EP』を聴き直して、Aphex Twin熱が再来し、最近はこのアルバムもよく聴いてます。
どうしてこのアルバムなのかというと、ここ最近Youtubeのおすすめ動画で、このアルバムに収録されている名曲「Alberto Balsalm」関連の動画がよく上がるのです。
(↓この動画がおすすめの動画の中で最高にくだらなくて好きでした。)

このアルバムに初めて触れたのは、ある程度他の作品も聴いてからだったので、最初に持ったイメージは『暗くて地味』と言う印象でした。
当時は、電子音楽には触れたてで、特にダンスミュージックのようなある程度の定型があるものばかりを聴いていたので、ここまで定型から外れた楽曲ばかりのこのアルバムは少し苦手でした。
単一のビートで構成されるテクノやハウス寄りの曲が好きなので、そこの好みは一聴時より変わりませんが、メロディーや和音展開を重視した楽曲主体な音源の作られ方がとても興味深く、今では一番聴いてるアルバムです。
どこかのレビューで読みましたが、「音楽表現にあたり、テクノをあくまで技法として使用している」と言うのがまさに当てはまるな、と感じました。

そして昔も今も変わらず、M5「Ventolin(Video Edit)」は最後まで聴けない自分がいます。。
克服したいのに、身体がこの高音のノイズを拒否しちゃうので、己の聴力などの老化を待とうと思います。

Frank Zappa『Hot Rats』(1969)

ザッパ自体は絶対好きだけど、作品群が多い&沼がめちゃくちゃ深くて中々踏み入れてない、それが僕の現状です。

このアルバムが入門編として一番入りやすいかと思うのですが、そうであるのにさえ何十回も聴いて、ようやく全曲好き(音楽的理解がちょっとできた)になってきました。
M1である「Peaches En Regalia」に関しては、その軽快さと、数十秒ごとに現れる新たな展開にワクワクできたので、最初に聴いた時からすごく好きでした。
ただ、それ以降の楽曲が技巧派ロックバンドのジャムセッション的な感じだったので、最後まであくびをしないで聴くことが中々できませんでした。

ここ数日で、このアルバムの良さもわかるようになってきて、ザッパのギタリストとしての魅力が半端ないことに気づけました。
超絶に上手いことは知ってましたが、いろんな角度からぶつけてくるフレーズの多彩さに気づいてから、聴き方がちょっとわかってきた気がします。

最初は見向きしなかったM6「It Must Be A Camel」が今ではめちゃくちゃ好きです。
つかみどころが全くないコード展開や曲ですが、フレーズの幾何学さであったり、メロディーのリズムの面白さが現代音楽の要素が大きく、楽しいです。


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