タピ子

「バトル・オブ・ジユー・ガ・オーカ #05」 タピ子 Queen of the Sweets

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🍩🍩🍩

 人間界──。

 テレビに映る賑やかなバラエティ番組。

「きゃ~かわいい~」
「不気味ぃ~」
「不気味かわいぃ~」

 それが突如切り替わり、緊張した面持ちの女性アナウンサーが映し出された。

「番組の途中ですが、ここでニュースをお伝えします。汎世界人民議会は先ほど、超党派による『国際的な協力の下に規制甘味に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための甘味及び甘味を伴う料理等の規制に関する法律』、通称『甘味規制法』を圧倒的多数により可決しました。繰り返します。汎世界人民議会は先ほど、超党派による『国際的な協力の下に規制甘味に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための甘味及び甘味を伴う料理等の規制に関する法律』、通称『甘味規制法』を圧倒的多数により可決しました……」

 画面には議会壇上で手を挙げ議員たちの拍手に応える男が映し出されていく。彼こそは汎世界人民議会総統。神宮司タベタロウ

🍮🍮🍮

 再びスイーティア──。

「どすこい!!」


 タピ子に、巨大な力が激突した!

 しかし!

 その直前。パン斗は嗅いでいた。漂う麗しい茶葉の香りを。「なっ……?」パン斗は目を見開く。タピ子の流れるようなミルクティーの動き。それがパン斗のぶちかましを受け流していく。そしてタピオカの弾むような勁力が、その突進力をパン斗へとそのまま返していく!

「嘿呀!」

 パン斗の視界が回転する。「そんなバカなっ!?」

 ズンッ!

 パン斗の体は仰向けに大地へとめり込んだ! 「ぐぅっ!」その見上げる先。タピ子が涼しい眼差しで見下ろしている。「確かにお前は強いな……」ふっ、と笑うタピ子。「でも。まっすぐに突き進むことしかできない男では、わたしには勝てないよ」

 一方!

「でりゃああ!」

 ホユンのかかと落としが湯気をあげながらかき子に迫る! 「ふんっ」それをかき子は表情一つ変えずに炎の腕で無造作に弾いた。そして──

「凍れっ!」辺りに漂う豊かな果実の香り。マンゴー果汁を凍結した冷気の煌めきがホユンへと迫る!

「はっ! 舐めないで欲しいっすね!」

 ホユンは回転した。果実の香りを打ち消すような甘く香ばしい香り。熱気を伴う回転が蒸気を噴き上げ、冷気を弾いていく!

「ふっはは! やるじゃねぇか、小娘!」
「笑っていられるのも今のうちっすよ! どりゃあっ!」

 回転の勢いを載せ、ホユンは蹴りを放つ。その軌跡が熱気と蒸気によって陽炎のようにゆらいでいる! 「ふっはは!」迎え撃つかき子は炎の腕を振り上げる。その腕が燃え上がり、火炎を噴き上げた。激突! ドゥンッ! 噴き上がる熱気と突風!

「はー。なんかやってるしぃ」
「がはは! 汚物は消毒だぁ!」
「油断は……よくない……よ……」
「相手が誰であろうと……俺がたたっ斬るまでよ!」
(ばーか)

 タピ子たちの闘いを見下ろし、嘲笑う複数の影! それは恐るべき和スイーツ十傑たちであった!

(うわー、タピ子ちゃん、なんかやばいかも 😲)

🍬🍬🍬

 薄暗い部屋の中央。床には鎖が落ちている。そしてぽつんと、誰も座っていない椅子。モニターの明かりが明滅する中、それを眺めながら着ぐるみを着た少女が不気味に笑っていた。

「ぴぴ。野獣はついに放たれた……楽しいお祭りはここからでしよ……ぴぴぴ!」

続く

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