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竜攘虎搏の遊戯

みながすなる 会話劇といふものを われもしてみむとて するなり

「よろしいですか? よろしいですか、皆さまッ! 同意が成ったと見做してよろしいですか、皆さまッ!?」

「はッはッ! 当然だッ!」
「同じく。ふふ。なんであれ、結果は変わらないもの」
「ワシも……うん。別にその遊戯(ゲーム)でかまわんよ」
「……同意する」
「はは。ま、皆さんそう言うなら。僕もそれでいいです(バカどもが)」

「同意が成りましたッ! でーはではでは、この遊戯の戯律(ルール)をご説明いたしますッ! 札は全部で52枚ッ! 皆様に配られた10枚の札を除き、残り2枚をこのハオめが所持しておりますッ! そして! 札にはそれぞれ属性がございます。それは金! 木! 水! 火! ……のぉ、四大元素でございますッ! 今からわたくしが出した札と同じ元素の札を、順番に皆様の手札から出していただきます。そして、一番大きな数字が記された札を出した方が、その手番の勝者ですッ! しかししかしィ!」

「はッ! 黙れいッ! やかましいわッ!」
「……え?」
「はは。そうですね。うざったい(お前もだけどな)」
「えーッと?」
「俺は! もう待てんのだッ。さっさと遊戯を始めんかッ!」
「いやいやしかししかし、まだ戯律の説明が……」
「黙れぃ。御託はもうよいわッ!」
「うん。戯律など言われんでもわかる……この場にいる者であれば、当然のこと」
「ふふふ。あーらあら。本当にそうかしら? そこの無口なお兄さんとか大丈夫?」
「……俺は、構わん」
「ふふ。やーだ、照れちゃって。かーわいい」
「ぬぅー。もうよいッ! もうよいわッ! 早く! 始めんかッ!」
「あらあら」
「ねぇ、ハオさん。ガジャさんが暴れだす前に、さっさと始めちゃってくれません?(早く帰りたいし)」
「はぁー……。本当にいいんですね? 皆さま、後悔しませんね?」
「当然だッ!」
「うん。良いよ」
「ふふ。もちろん」
「……同意する」
「ふーむ。本当に、ほんとぉーに、よろしいですね? …………はぁー……。いいでしょう。では、始めます」
「はッはッ! 滾るッ! 滾るぞぉッ!」
「ふぅ……。わたくしめの持つ1枚目の札は……これでございますッ!」
「ふふふ。水の5」
「はい。左様です。では……ガジャ様からお願いします」
「はッはあ! 俺の手札は……これよッ!」
「ガジャさん、元気だなぁ(札出すのにいちいちうるせーよ)」
「水の13。では続いて、カラス様、お願いします」
「うん」
「水の2。ではアイリ様」
「ふふふ。私はパス」
「ほぅ。よろしいのですか?」
「えぇ。お次へどうぞ」
「……わかりました。では、イレイ様」
「はは。ではこれで(あいつ、死んだかな)」
「水の10。では最後にクロガネ様」
「……」
「ふふ。無口。かーわいー」
「水の8。出そろいました。この手番の勝者は……ガジャ様!」
「はッはッはッ! 当然よぉッ!」
「ではガジャ様。続いて、手札からお好きな札を場にお出しください」
「はッ! 次は……これだぁッ! ……ゴボッ!?」
「あーらあらあら。ふふふ」
「ゴボッ……ゴボバ!?」
「うん。当然そうなる」
「ゴレバ……ゴレブバッ……!?」
「ガジャさん、溺れそう。水属性の戯罰(ペナルティ)はしんどいなー。最後まで持つかな? (バーカ)」
「うん。クロガネとやら。これは狙ってやったのかの?」
「……」
「あーらやだ。ここでもだんまり。かーわいい」
「うん。でもこれで静かになるの」
「はぁ……戯律の説明を最後まで聞かないから……。わたくし、善意で忠告申し上げましたのにッ!」
「うん。でもガジャ以外は皆、言われんでもわかっておるよ」
「そうね。見えない絆……」
「はは。遊戯開始から、僕らはこの場にいる誰かと魔術的に繋がった。そしてその連鎖によって戯罰の対象が決まっていく……そういうことでしょ? (全員死ね!)」
「絆の見極めが大切。ふふ……素敵ね」
「……」
「ゴボッ……ゴボボババッ!」

(続かない)

これはなに?

バールさんの記事をきっかけに「1000文字前後の会話劇に挑戦する」ムーブメントが発生していたので僕もやってみた! というやつです。なんとなく「これって会話劇なのか?」という感じになりましたが、気にしない。

バールさんからは「未公開作品」という指定もあったので、題材としては「逆噴射小説大賞2019」に応募したこれにしてみました。

即興で書いたので、遊戯のルールは適当です。あと本編はもっと乾いて殺伐とした感じにするつもりです。

【おしまい】

きっと励みになります。