これからの大学と入試制度について勝手に考える


1.共通試験の不思議な変化

近年の共通試験は解きたくない謎の問題に変化していっているように感じます。数学の問題も英語の問題も長い文章を読む力が要求されています。人間の脳の CPU 処理能力をテストすることに夢中なようです。

数学として教える内容は変わっていない(行列を抜いたり、微分方程式を抜いたり、良く分からない配置転換をしていますが。)のに、なぜこんな変な変化が起きるのかと言えば、「知識偏重」への批判に対応した結果だろうと思います。
「思考力」を問う良問を作りたい、現実で使用されているところも意識したい、簡単にしすぎると点を取られてしまって点数分布が無くなる等、こういったせめぎあいが意味の分からない方向へ向かってしまったんだろうと思います。

自然科学の分野であれば、自然は別にそんな変な難問を用意していません。シンプルだったり、考え方をそもそも変えないといけなかったり、人間の考えるこざかしい難しさとは違う難しさを用意しています。
文系の分野に対しても、多くの文章を処理できる能力なんて、一部の役人でいいでしょうし、それもAIの登場でどこまで必要かというところに来ていると思います。
これらのことから、私は現在の傾向を「無意味な難化」と捉えています。

そんなことをやっているうちに、「大学」や「大学入試」は「少子化」という大きな外部的な力を受けて本質的に変わらないといけなくなると思います。

2.現状の課題

1)少子化はどれくらいのペースか(試しに推測)

出生数について良く政府の予想よりも早いみたいなことを言っているので、以下のデータを参考に2023年以降は勝手に計算しました。
(ダウンロード可能なjs30-dl.xls を使って、1947-2016年までのデータを取り、それ以降(-2022年まで)は確定数の統計Excelから持ってきました。)


1947年-2022年の出生数

ここまでのデータでエイヤと線を引くと、毎年18035人の減少となります。
例えば2025年を予測すると、748633人でした。
[計算式:(出生数)=-18035×(西暦)+37269508]
ですが過去10年のデータで考えると以下のようになり、毎年29467人の減少となります。

過去10年分の出生数

2025年を予測すると、696509人となり、もう70万を切ることになります。
[計算式:(出生数)=-29467×(西暦)+60367184]
何が正しいかは神のみぞ知るですが、とりあえず減り方が増えていることが分かります。

2)確実なこと

現在大学受験しているのが大体2005年の子供なので、1062530人[百万人]はいた世代になります。
日本の大学進学率は57.7%のようです。
ですから約61万人の人が大学進学していることになります。

現在、国立大学86校、公立大学100校、私立大学622校あります。

国立大学で約9万6000人が募集されているので、1校当たり約1100人(=9万6千人/86)在籍していると計算できます。
1校1000人としても、国公立大学で18万6千人、私立大学だと62万人で既に受験生に対して多すぎることが分かります。
私立大学は450校くらいあればいいことになります。
(乱暴なように見えるかもしれませんが、少人数教育をうたっている大学でも800人程度募集しており、それ以上の大学も多く存在することから、1000人というのはそこそこ妥当な数字だと思います。)

そして確実なことは2022年の出生数が770759人ということです。
つまり2040年に大学希望を望むのは、6割だとすると約46万人になり、私立大学は300校くらいでよくなり、現状の半分位でよいだろうと思われます。

3)将来的に起こりそうなこと

生徒を「選ぶ立場」から「生徒数を確保する」ということがより大学のテーマになってきます。
その時に有効なのが推薦制度です。
学校でそこそこ優秀な人や一芸に秀でた人を確保するということが、より顕著になるのではないかなと感じます。
これは学生にとっては一発勝負のリスクを回避できるという利点があります。
そして大学は確実に学生を確保できます。
そのためより盛んになることが推測されます。
また私立大学は潰れると思います。助成金の観点からも減らすこと自体はそこまで反対ではないです。絞ってリソースを集中することで学費を下げることができるかもしれません。
潰れる大学の学校設備や教員等を、公立大学などが吸収するというのもいいのではないかと思います。

3.給料の良い仕事に就くために大学に行きたい人にとって検討しておいたほうがよさそうなこと

昔は一般入試しか考えられませんでしたが、そんなに遠くない未来この傾向は大きく変わるだろうと思います。
素人が考えても一般入試に加えて、以下のようにかなりやり方が増えていると思います。

(1)外国の大学に行く

かなり金銭的余裕があり、言語や文化による障害の可能性が低いなら良い方法だと思います。
ただ日本では一部の職種を除き正当に評価されないことがあります。給料のことも考えると、日本に帰らないで向こうで就職することをお勧めします。

(2)推薦の利用

私たちが学生の頃の感覚は通じなくなってきています。既に書いた通り今後より推薦というものは増えてくると思います。
大学推薦の枠も考えて高校を選んだ方がよいのでしょう。

(3)中堅大学に入って実務経験を積み、中途から給料の良い企業に入る

自分はこのパターンです。大学は研究職になりたいなと思い入り、化学メーカーで開発職をした後プログラマーになって、GAFAMの1つに入りました。(そして今は何か違うなと思い、ダラダラしています。)
中途採用の場合は経験が勝負になるので、いつまでも大学にこだわるよりこっちのほうがいいケースも多いと思います。

(4)高校卒業して就職

公務員に高卒でなった場合について書いてある記事もありました。

他の仕事でも実務重視の仕事では、早く実務経験を積んだ方がよいという可能性もあります。
自分が大学に行った方が幸せだったのではみたいな考えが入りそうなら、大学に行った方がいいかもしれません。
少し上の世代が就職氷河期、下の世代がリーマンショックだった私としては、時代の流れは学歴など簡単に吹き飛ばすことを感じています。
人生は「戦略・努力・運」で一番大きいのが「運」だと思っている自分には何が正解かは簡単に言うことができません。

4.勝手に考えるこんなんどうでしょう

(1)バカロレア風入試制度の導入

フランスでは高等学校教育の修了を認証する国家試験があり、その資格に受かれば基本的にどこの大学でも行ける仕組みになっています。
(Wikiより)
「1990年代に「教育の大衆化」を経験し、2019年の時点では18歳に達したフランス国民の80%(2005年時点では63%、1900年時点では1%)がバカロレアを取得している。フランスではバカロレアを取得することによって原則としてどの大学にも入学することができる」

この制度を導入すると大学のレベルの差ではなく、学校によって得意とする学問の分野に差が出るという結果になると思います。

私はテストをどんなに頑張っても思考力を試すとか、そういうことはできないと思っています。
開き直って大学の授業が分かる最低限の知識があれば、大学に行ってもらって、大学に行ってから頑張ってもらったほうがいいと思います。
また学習が早く進む人は1-2年早めに大学進学資格を得ても良いのではないかと思います。

(2)大学と企業の採用基準と授業単位

大学は本来学問のためにありますが、企業への登竜門となっていることも否定できません。企業としては良い大学名の学生を取ることができなくなり、困るかもしれませんが、その場合は大学の単位の中で自分たちの企業にとって有益なものを指定すればよいと思います。

上記のようにすると社会人が転職する際に、指定された資格を取るという流れができます。
このことが大学の収益にもつながり、企業も自分たちの必要な分野に興味や知識がある人が採用しやすくなるので良いのではないかと考えます。

そして学費を下げることができれば、少子化の一因を減らすことができるだろうと思います。

5.おまけ)サンプルコードとデータから感じること

○ Google colabo のコード
csvの保存先: drive/My Drive/Colab Notebooks/Analysis/Population.csv
<データの読み込みと変換>

from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')

import pandas as pd
data= pd.read_csv('drive/My Drive/Colab Notebooks/Analysis/Population.csv', sep='\t')

data['number_births']=data['number_births'].str.replace(' ','')
data['number_births']=data['number_births'].astype(int)

x = data[['Year']]
y = data[['number_births']]

<計算>

from sklearn.linear_model import LinearRegression
model = LinearRegression()
model.fit(x,y)

<グラフ表示>

import matplotlib.pyplot as plt
plt.plot(x,y,'o')
plt.plot(x,model.predict(x))
plt.show()

<傾きと切片の出力>

print('a = ', model.coef_)
print('b = ', model.intercept_)

<データを過去10年にする場合>

x_10=x[-10:]
y_10=y[-10:]

model = LinearRegression()
model.fit(x_10,y_10)
plt.plot(x_10,y_10,'o')
plt.plot(x_10,model.predict(x_10))
plt.show()

print('a = ', model.coef_)
print('b = ', model.intercept_)

○ データを見て思ったこと
1973-74年は戦後初のマイナス成長をした時です。ここが出生数のピークになっています。

日本列島改造論に起因したインフレも加わり、消費者物価指数は74年に23%上昇、「狂乱物価」と言われた。日本経済はこの年、戦後初めてマイナス1・2%というマイナス成長を記録、高度経済成長が終わった。

(1974年01月30日)【時事通信社】

ちなみに記事を見ると日本版「二人子政策」もあったようですね。
経済が悪くなっていくときにやらないほうがよかったのかもしれません。
誰も将来は見通せないことが分かると思います。

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