日米半導体摩擦と訂正する力(エンジニア達へのレクイエム)


1.現在の半導体熱

現在、株式市場では半導体株が盛り上がっています。(2024/2/20)
日本の国策として、「世界で大きな存在感を示せるように、日本の半導体産業の再興に向けて取り組んでいきたい」とのことです。

半導体の需要も今後増え、生産もさかんになるかもしれません。
ただここに書いてある「再興」という言葉についてもう少し考えるべきだと思います。

2.私の個人的な違和感

私は半導体関連企業で化学薬品の開発をしていました。私が働いている時点で、ロジックはTSMC、メモリーは三星電子が強く、そこに半導体関連材料を売っていました。
上司は転職してくる人が多く、もともと半導体メーカーで働いていた人も多くいました。私は単純に国内メーカーがもう少し強ければ外国語勉強しなくていいのになーと思っていました。
国内メーカーがなぜ衰退したのか興味を持ち、そこで日米半導体摩擦を知りました。
全て書くのは私の能力では難しいので、AIさんに依頼してみます。

<日米半導体摩擦について教えてください>

日米半導体摩擦は、1986年に日本政府と米国政府の間で締結された半導体に関する条約です。この協定は、日本の半導体のダンピング防止と日本の半導体市場の開放を目的としており、第一次日米半導体協定(1986年~1991年)と第二次日米半導体協定(1991年~1996年)の合計10年間にわたって有効でした。

背景として、1970年代後半から日本の半導体の対米輸出が増加し、アメリカ国内で「日本脅威論」が強まっていたことがあります。1981年には日本の半導体産業が世界の市場の70%のシェアを誇っていたものの、1990年代以降には国際競争力を失いました3 。この半導体を巡る対立は「日米半導体摩擦」とも呼ばれました。

協定の締結により、日本の半導体産業は急速に国際競争力を失ったとされています。この歴史的な出来事は、現在の米中半導体対立と重ね合わせられることが多いです。

Copilot

ここで大事なのが第二次日米半導体協定です。
<第二次日米半導体協定の内容について教えてください>

主な内容は以下の点です:

日本の半導体市場の海外メーカーへの解放: 日本政府は国内ユーザーに対して外国製半導体の活用を奨励しました。
ダンピングの防止: 日本の半導体メーカーは、米国が独自に算出した「公正市場価格 (Fair Market Value:FMV)」以下で半導体を販売することを避けるために監視されました.

Copilot

この第二次日米半導体協定については、以下のサイトの方が役に立つと思います。

新協定では、パソコンやテレビ、電動工具に対する100%の報復関税が解除されたものの、日本市場における外国半導体シェアを20%以上にするという具体的な数値目標が設定された。

電子デバイス産業新聞

簡単に言うとどんなに頑張ってもある程度を超えることはできないという、無気力のキャップを付けられたわけです。

確実に政治として失敗しているにもかかわらず、政府に半導体の復興と言われることに私は違和感しか感じなかったのです。

3.訂正する力について

私はあまり現代の哲学者には明るくないですが、過去に本を読んだことがあった東浩紀さんがYoutubeで「訂正する力」について話しているのを聞きました。

過去に読んだ本

訂正する力についての書籍は以下のものです。

私の勝手な解釈だと「リセットしてやり直すのではなく、本来こうだったのだけど過ちでこういった状況になってしまった。だからもう一度本来あるべき姿に戻ろう」というものだと解釈しました。(私はアホなので間違っているかもしれません。)

本来こうだったというものという勇気づける物語と、過ちという事実を混ぜる考え方はなるほどなと思いました。

今回の半導体復興の話もこの考え方がいいのかもしれません。
ただ大事なことは、過ちを認めて立ち上がるための力であり、過ちをきちんと明記して受け入れるということなしに成立しないと思っています。

今の半導体熱は過ちが無かったことにしていると思います。
痛みから立ち上がるのではなく、痛みが無かったことにしているように思います。
それではまた同じ過ちを起こします。
5-10年くらいして本当に復活した場合、もう一度米国から抑制が入る可能性を勘案しているのだろうかという懸念があります。
選挙の時の労働者の突き上げによっては、どうとでも変化するという点は認識するべきだと思います。

4.過ちを認め、前に進むために

優しく何も言わずに消えていったエンジニア達のためにレクイエムが必要だと思います。
それは「過ちを認め反省していることを声にだす」ことだと思います。
そしてこれからを生きる人には、そこから学んで訂正し復活させる力のある物語が必要だと思います。
政治家でも歴史家でもジャーナリストでもいいから、全ての事情を勘案し説得力のある重い言葉を発してほしいと思っています。

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