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1週間に6,000足も売れた靴の話

私が金久保さんと仕事をしていたときに、一番、印象に残っているのは、某大手GMSさんの衣料事業部とのお付き合いで、「流行の芽」を見つけるマーケットリサーチの仕事です。

この仕事は、たぶん、3年くらいは続いたと思います。

この仕事が入って、割と収入が安定して、当時は助かったです。

某大手GMSのチーフマーチャンダイザーの方から、リサーチの依頼が、毎月5本くらい、金久保さんに入ってきました。

多い時は10本くらい。

それをいち早くこなして行くのですが、予算は全然ないので、図書館で調べたり、繊維系の新聞でデータを押さえたり。

最も役に立ったのは、毎月、裏原宿と原宿ラフォーレを定点観測し、写真を100枚以上とっていた生データです。

それらを駆使して、毎月5本から10本のデータを集めて、金久保さんにパスして、金久保さんがまとめる、、というような仕事をしました。


一番反響が出かかったのが、レディスシューズでした。

大手のGMSで、OLが買える靴の商品開発のリサーチのお題がきまして、「GMSでOLが靴を買わないよ、、、。」という先入観はあったのですが、いろいろと調べました。

当時は、今みたいに、何でもインターネットで調べられる感じではなかったので、図書館にいったり、OLさんに聞いたりして、OLさんの靴事情を調べました。流行とか、買っている場所とか。


なかないい情報がなかったのですが、いろいろと調べているうちに、OLは、会社で靴を履き替えるという情報を見つけて、これなら使えると思い、レポートにまとめました。


そして、金久保さんが簡潔に企画書を書いて提出すると、これは行けるかもしれないということで、チーフマーチャンダイザーさんが、靴担当のバイヤーさんを説得して、「OLの履き替え靴」を作られました。

「蒸れない」「コツコツ音がしない」「疲れづらい」「少し流行も入っている」「お客さんの前に出ても恥ずかしくない」などを要素入れて、ナースシューズの機能をベースにパンプスを作られました。

そうしたところ、、、、、某GMSさんは店舗数が多いので、物凄い数が動き出し、チーフマーチャンダイザーさん曰く、「毎週6,000足売れている」とのことでした。


ほんと、役に立てて良かったなと思えた瞬間です。


その他ににも、「締めやすいネクタイ」であるとか、スニーカーの要素を付加した「ランニングパンプス」などのヒントをリサーチでつかみました。


こうして、このころから、流行というよりも、「機能」優先の衣料が作られていきました。ユニクロが機能を優先させていったのもこのころです。


こういう風なのが、3年間続いてのですが、途中、チーフマーチャンダイザーさんと金久保さんと3人で飲みに行って時、なぜか、チーフマーチャンダイザーさんが怒り始めて、途中で帰ってしまいまして、私が焦って追いかけて、涙ながらに説得して、飲み直したこともありました。あれはなんだったんだろうと思います。思い起こすといろんな過去、苦労はありますね。


当時は、こういう、いい筋の仕事が出来ていたのですが、ある時、その大手GMSさんに有名なファッションのバイヤーさんが入って、そこから、方向性が変わり、仕事がなくなりました。時代はどんどん変わっていく。

多分、私がまだ40歳代になったころの出来事で、この辺から、私の仕事のやり方も変わっていくきっかけになった出来事でした。

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