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第46回読書会レポート:ディケンズ『クリスマス・キャロル』(感想・レビュー)

(レポートの性質上ネタバレを含みます)

12月2日に今年最後の読書会を開催しました。
課題本はディケンズの『クリスマス・キャロル』
満員御礼!定員オーバーの11名^^
初参加の方も素敵女子3名と、大変盛り上がりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

来年もさらにパワーアップして続けていきます♪
ぜひまたご参加くださいね~☆

ご参加の皆さんの感想

・子供向け教訓話
・スクルージはむしろ真面目
・村岡花子さん訳のほうが心に残った
・漫☆画太郎氏が漫画化したものは面白くオススメ
・市井の人に対する眼差しが優しい
・スクルージが悪すぎる
・クリスマスを祝う文化に馴染みがなく分からないところもあった
・プレゼントが出てこない
・ディズニーアニメで知っていた
・言葉遊びが多い:例「スピリッツ(Spirits)」→ 魂/蒸留酒
・当時のロンドンの時代背景を踏まえると分かりやすい
・情けは人の為ならず


それは、自己紹介タイムから予兆があった……(゚A゚;) 想定外の着地

いつも自己紹介は、私から提示するお題に沿ってお話していただくことにしています。

今回の自己紹介のお題は「クリスマスにサンタさんからもらった嬉しいプレゼントの思い出は?」としました。

ちなみに私の印象深いプレゼントは、小学校の4年生くらいに大きなフラフープをもらったときのことです。
当時二段ベッドの上の段に寝ていたのですが、夜中にふと目覚めたときに枠に引っ掛けてあるフラフープを見て、「おお!」と思ったのを覚えています。
うすうすサンタさんの正体に勘付き始めている年頃でしたので、こんな大きなものをどこに隠していたのか!と感動したものです。

そんな呑気な話を参加者さんからも期待していたのですが、
バレた途端、翌年からプレゼントが廃止になったとか、
神奈川県ご出身の方は「ダイクマで好きなものを買ってもらっていた、サンタはダイクマだった」
などと衝撃的な思い出を語ってくださる方もいて、
のっけからクリスマスに対する思い出の感覚が想定外過ぎて慌ててしまいました。

そんな中、お祖母様が外国の方という参加者さんが、「クリスマスは七面鳥を焼いて家族で厳かに過ごします」と、本来あるべきクリスマスの話をしていただき、あらためて、日本のクリスマスは商業的なもの以外のなにものでもないんだなと痛感しました。

初詣に外国の方が、場違いに派手な帽子をかぶってワイワイしている姿の違和感たるや、神様の前では脱帽してほしいと内心でイライラしたことがありましたが、きっと海外の方から見たら、日本のクリスマスもそれ以上にお話にならないのだなと身につまされました。

あらすじ

舞台はクリスマス前夜のロンドン。
主人公のスクルージは超ドケチな守銭奴で、書記のボブ・クラチットを薄給で働かせたり、歳末の寄付金集めには一切協力しなかったり、クリスマスディナーへの招待に来た甥を追い返したりする、犬にも嫌われるほど無慈悲な性分でした。

そんなスクルージが仕事を終えて帰宅すると、7年前に死んだはずの共同経営者のマーレイが現れ、続いて3人の幽霊が順々に現れました。

幽霊に過去・現在・未来の様子を見せられたスクルージは、自分のこれまでの行動を悔い改め改心し、誰からも愛される人物として周囲に影響を与えるようになったのです。

180年前に書かれた成功哲学 ”情けは人の為ならず”

要するにこのお話は ”情けは人の為ならず”、
つまり「ギバーであれ」ということを言いたいのだと思いますし、私はそう結論づけて読書会に臨みました。

「ギバー」とは、最近脚光を浴びている成功哲学に出てくる用語です。

アダム・グラント著『GIVE & TAKE: 「与える人」こそ成功する時代』で提唱されていて、
・ギバー(人に惜しみなく与える人)こそ真の成功者になりうるとされています。
・その反対がテイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)であり、とにかくテイカーから逃げることが肝要だとしています。

『GIVE&TAKE』で組織心理学者が説いている生き方の指針を、子供向けの物語としてディケンズは180年前にすでに説いていた、と読めるのではないでしょうか。

テイカーは最終的には社会から追放されるということも科学的に分析されていて、これについても違和感なく『クリスマス・キャロル』で示されています。

ギバーは人に惜しみなく与えることで、良い影響力を自然と構築するがゆえに、存在としての力強さが備わり、生き生きと生きることにつながっているのですが、その様子もスクルージの変貌ぶりから読み取れます。

一年に一度は読んで自分の振る舞いを客観視したい。
そんな作品ですね!


成功哲学・大団円!のはずが……想定外(・_・;) 

と、こんな感じで読書会は終わるのかなと想定していたのですが、

蓋を開けてみると、なんとまぁびっくり!

「スクルージはそんなに悪いことはしていないのではないか。
むしろ仕事を全うしている意味で真面目な人物だ」
などといった、男性サラリーマンの参加者さんを中心に、
守銭奴スクルージ擁護派が複数人出現したのですΣ(゚∀゚ノ)ノキャー

なんということでしょーーー
えええええええええええ! まじっすかぁぁぁぁぁぁ

仕事のためならテイカーも致し方なし。
情に流されず、自分の職務を全うすることこそ、組織や社会への貢献だということらしいのです汗。

私が読んできた成功哲学とは違う視点のご意見で、頭の中がパニックに、、、笑

いや~本当に色んな意見があるのだなと、改めて考えさせられました。

日本ではスクルージの振る舞いを擁護する風潮があるのは、なんとなくわかります。

むしろテイカーをそんな視点で尊重できるなんて、それこそ物凄い超ギバーなのでは? と色々とまだまだ考えがまとめられません。

日本と西洋という文化の違い、宗教の違いも影響しているのかもしれまんせん。

(もしや、幼い頃に辛かったクリスマスの思い出を持つスクルージと共感しているのかしら?)

子供向けとはいえ、やはり奥深いディケンズでした。


来年も宜しくお願いします^^

こんな形で一年の幕を閉じることになろうとは!

改めて独りよがりにならなず、色んな結論が聞ける、課題本形式の読書会の有用性を噛みしめることができました。

そして私もお陰様で成長することができました。

来年も辰年にあやかって、この勢いのまま昇っていきます!

引き続きご愛顧賜りますようお願いいたします。


(2023年12月2日土曜日開催)

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【第46回課題本】


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