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マーケティングをやったことない僕が、何を考えてマーケティングを進めているか(全4部〜その2〜)

App Annieという世界最大手のモバイル市場データプロバイダーの日本法人代表として、マーケティングも見ることになり、そのてんやわんや具合を記録しておこうと思い立って4部作ブログを書くことにしました。

前回のパート1はこちらです。

当然、マーケティングマネージャー職は絶賛採用中で、色んな方々と面接をさせてもらっていますが、採用が決まってその方が自走してもらえるまでの間は少なくとも僕が見ないといけないと思っているので、マーケ経験ゼロの僕が何を考えてマーケティングと向き合っているのか、その一連の思考や行動は必ずしもマーケティングに限らずビジネスパーソンに広く共通するヒントになるんじゃないかな、と思うので、皆さんの一助になれば幸いです。

目次(ちょっと変えました)
【その1】(前回の内容)
- まず何をしたか?「違和感」の顕在化・言語化
- 妄想力を働かせる
【その2】(今回はここ)
- とりあえずいろいろやってみる
- PRは超大事
【その3】
- 広告はプロに任せるけど形骸化したKPIは無視
- コンテンツは目的に合わせてストーリーを作る
- オフライン(主催イベント、共催イベント、スピーキングオポチュニティ)は目的ごとに使い分ける
【その4】
- 売ってきたからこそできるマーケティング
- マーケティング経験や知識よりも重要なこと

とりあえずいろいろやってみる

僕にはいわゆる「マーケティング経験」というものがありませんでした。B2Bセールスはスペックセリングからソリューションセリング、バリューセリングと様々なセールス手法を身につけてきましたし、セールス職としてどこにいってもどんなプロダクトであっても実績を出す自信はあります。

でも実際マーケについては何を日々やっているのか知らないですし、言ってしまうと「良いリードをたくさんちょうだいね。あとはこっちで売上にするから」という程度の認識でした。

ところが2019年の1月からApp Annieの三代目に就任すると、小さいながらもビジネス全体を俯瞰して効率性を追求して収益を最大化させるという役割になり、マーケ→インサイドセールス→フィールドセールス→アカウントマネジメント&カスタマーサクセスの全体を見ながらARRを最大化させることが僕のミッションになったわけです。

就任時から始めたnoteでのブログですが、こちらも宜しければ是非。


で、今までは「リードよろしく」というくらいの見え方だったマーケティングについて、立場上ちゃんと把握する必要がでた、ということは前回のブログで書きましたが、さて何から手を付ければいいのかさっぱりわからないので、「とりあえず色々やってみよっか」というノリで臨んだというのが正直なところです。

色々やってみよう、と思うものの、何かをやるにはいろんなリソース(人、金、時間)が必要です。特に困ったのがマーケティング予算。B2Bセールスとして生きてきた僕は「予算」と聞くと「達成すべきターゲット」という認識が強く、お金を使うという事をいままでしてきたことがありませんでした。しかしマーケティングには予算というのものがあり、何かをやるにはお金を使わないといけないことが多く、いざお金を使おうと思うと心のどっかで「大丈夫か?」と思ってしまいました。自分のお金のほうがどんだけ気が楽なんだろうと笑

第3部でも触れますが、App Annieでは3-4ヶ月に1度のペースで大きめの主催イベントを行います。DECODEという名称でやってきまして、実は2015年のDECODEはNewsPicks編集長の佐々木さんがモデレーターだったんですよ。すごくないですか?正直、今やってもらいたかったなー!って思ってしまいます笑

このイベントは従来エクスクルーシブ感を出すように運営していました。つまり「参加してくれたら濃い話が聞けるから来てね」というやつです。イベント後のレポートも出したこともなかったですし、メディアたくさん入れて発信してもらう、ということも積極的にやってこなかったです。

でもまだまだApp Annieのことを知ってくれている人は少ないし、特に僕らがこれから接していかねば、と思っているGDPの大きい業界の上の人達に届ける為には、せっせとエクスクルーシブでやっててもダメなんだろうな、と。今思うと至極当然ですが、本質を見ると過去を否定しないといけないこともあるわけです。

とはいえDECODEの日程が決まっていたので、やれることは限られます。まずは登壇者。今までにない登壇者を呼び、今まで僕らと接点の持てなかった業界の人たちに来てもらうためのキーノートスピーチは意外性のある人にしようと思い、経済産業省の第四次産業革命推進室長、佐々木さんに直談判しました。次で触れますが、マーケティング活動を変えるために軸として作ったストーリー(仮説)があるのですが、それが幸い刺さり、二つ返事で快諾いただきました。

あとはPR代理店に依頼し、できるだけ多くのメディアを呼んでもらうことにもしました。それ以上に、僕としては「来場者が発信する」事を促せないかな、と思いました。今やあらゆるセミナー・イベントでハッシュタグが作られ、参加した人たちがSNSに投稿するという行為は一般的に見られますが、過去App AnnieのDECODEでは皆無でした。なんともったいない。

そこですぐにやったことは

ロゴ入りどら焼きを400個発注してSNS用ハッシュタグを用意

です。ハッシュタグつけてSNS投稿した人の中から抽選でパーカーをプレゼントするという企画を用意しました。どら焼き400個って企業のマーケティング予算からすると僅かなものですが、実質僕の判断で初めて「予算」を使ったのがコレでした。実際エクスペンスは毎月申請してますし、備品等は普通に発注しますし、何なら採用も予算を使っているわけなので会社のお金を使うというのは業務上ありますが、僕個人の判断で発注をベンダーさんに直接行い、請求書をもらい、支払い処理に回すという経験はこのどら焼きが初めてでした。

僕らが狙うマーケットを改めて定義し、コンテンツ(登壇者と全体のストーリーライン)を改めて考え、その対象セグメントに対してどうやって届けるか、という手法を工夫したイベントでした。

他にやったことは広告クリエイティブのABテストです。今まで(たぶん)やったことなくて、例えばDECODEであれば「DECODE!」という地味かつアテンションの取れないクリエイティブを回してただけでした。とはいえ会社にはデザイナーもクリエイターもいません。いつも素敵な提案書を作るセールスのメンバーにKeynoteで広告クリエイティブを何パターンか作ってもらい、それでイベント集客の広告を回し、効果検証をしたりもしましたが、恥ずかしながらもこういうことも当社では初めてのことでした。

あとは…コンテンツですね。もうここまで来ると何も恥ずかしくないので言っちゃいますが、ユースケースのようなコンテンツが皆無だったのです。つまりApp Annieを採用してよかったー!と言ってくれるお客様の声をマーケティングコンテンツとしてほぼ全く作ってこなかったのです。レポートに関してもUS本社が発行した英語のレポートを翻訳してローカライズするくらいしかやっておらず、僕が着手したのは以下です。

クライアントにユースケースのインタビューをしていく

当たり前にやってる人からしたら笑っちゃうようなことですが、これをやってこなかった理由とか知るのはこの際どうでもよくて、絶対コンテンツとしてあったほうがいいからやろう、という事でセールスメンバーにアポを依頼しました。

まさに一歩一歩、ちょっとずつ、という感じです。

PRは超大事

パート1でも書いたとおり、なるべくお金をかけずにメディアに出るというためにも、PRを頑張ろうと思いました。PRって何するべきものなのか無知だったし、何なら記事広告とPRの違いすらよくわからないレベルで、とりあえずメディアに露出するために必要な活動、という程度の理解力でした。

セールス職を長いことやってると、相手の目線、立場に立って考えることができるようになります。こちら目線ではなく、相手から見たときに何が良いのか、どういう視点でモノをみてるのかを想像しながら、対話しながら商談を進めていくわけです。

これってPRにものすごく活かせるんです。メディアって読者がいて成立するので、そのメディアからすると「この情報は読者のためになるのか」というのが判断基準になります。なので、メディアと接するときに「メディアの立場にたって会話をする・提案をする」と、接したすべてのメディアの編集長や記者の方々が積極的に取り上げてくれようとしてくれました。

とはいえ、今までApp Annieとして積極的にメディアリレーションを築いてきたわけではないので、まさにイチからのスタートです。ここの効率化を追求すべく、仲良くさせてもらっている経営者の方にとても良い仕事をするというPR代理店を紹介してもらい、PR活動を加速させることにしました。ちなみにこの代理店は、某大手PR代理店のエースだった方が設立した企業で、おそらくこれを読んでいるすべての人が知っている、著名なプロマーケッターの方に僕から紹介したところ、その方も認められて他のクライアントを紹介したという事からも信頼がおけると思っています。

僕のスタンスは「2019年は来るもの拒まず」です。PR代理店が繋いできてくれるメディアは100%取材をお受けします。何がどういうきっかけで広がるか予想できないし、そもそもそんな選べる立場でもないし、デジタルメディアが主な今、誰からどうやって広がるかなんてやってみないとわからないですからね。あとはもちろん自分自身でもメディアキャラバン(この単語を初めて聞いたとき「なにそれ」って言ったのを覚えています笑)を欠かしません。

App Annieのプロダクトはデータです。そのプロダクトを最終的には提供して対価をいただかないといけません。しかしデータであるが故に「こんなにたくさんのデータありますよ!」というようなスペックを訴求しても響くわけもないし、「このデータを買っただけで不思議と売上が15%上がるんです」みたいなわかりやすいROIなんて出ないし、もっと言ってしまうと契約したからって何一つ課題なんて解決できないので、ソリューションでもないわけです。なのでApp Annieのプロダクトって、とってもマーケティングがやりにくいのです。

でも足元のビジネスは堅調に成長してますので、まさに「話せば分かる」というプロダクトです。セールスが個別に価値訴求をすれば、ちゃんと売れますし、僕もちゃんと売ってきました。セールスがこの売りづらいプロダクトを売る際に最も大事なポイントは「仮説立案」と「価値訴求」です。このへんの細かいセールスの話は機会があれば別でお伝えしますが、何を言いたいかというと

「売ったことある人はちゃんとプロダクトの価値を発信できる」

ということなのです。

セールスとしていろんな業種業界の人たちにプロダクトの価値訴求をして対価を頂き結果を出してきたので、セールスとして仮説を作って価値訴求をしてきたストーリーをマーケティングに活かせばいいじゃん、ということです。これってPRを含めたマーケティング全般に非常に活かせます。なので、PR担当って当該企業でのビジネス経験ある人(更にいうとしっかり結果を出した人)がやったほうが絶対にいい、と思った次第です。

なので僕のPRの動き方は、メディアの読者の人たちにとって有用な「ストーリー」を「App Annieのプロダクトを用いて」お伝えしていくというのが具体的な内容です。読み手にとってどれだけ有用なのかどうかは正直なところわからないですけどね。

ただ僕の作っている仮説ベースのストーリが色々なセミナーで多くの企業の関心を呼び(そして商談化し)、著名なメディアから連載を依頼され、トラディショナルなメディアから寄稿を依頼され、まさかと思ったけどAdTech Tokyoの公式スピーカーに選んでいただき、TV制作会社のプロデューサーや大手出版社の統括編集長の方々が前のめりになって僕を助けてくれようとしているのを見ると、App Annieだからこそ言えるストーリーを作れたんだな、と思っていたりもします。

このストーリーテリングがPRにおいて最も重要なポイントだと信じていますが、この活動が花咲くのは来年以降だと思って手を抜かずに地道にやっていくことが大事なんだろうな、と思っています。


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向井俊介@App Annie

アメリカ本社の世界最大手のアプリ市場データプロバイダー、App Annieにて日本法人の代表を務めています。 ここに記載のある内容はあくまでも個人の意見や示唆であり、会社のオフィシャルなコメントやメッセージではありません。

良記事

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