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マーケティングをやったことない僕が、何を考えてマーケティングを進めているか(全4部〜その3〜)

世界最大手のモバイル市場データプロバイダーであるApp Annieの日本法人代表として、マーケティングも見ることになり、困惑しながらも脳みそ使って孤軍奮闘してきた(している)内容を忘れないうちに書き留めておこうと思い、4部作のブログにしました。

第1部はこちら

そして第2部はこちら


書いてて改めて思うのですが、やってきたことや考えてきたことって凄いことじゃないです。ビジネスを伸ばすための本質的なことを見て、実現可能なこと、実行可能なことから手を付けていったのです。

App Annieは外資系企業であるため、本社であるHQが経営をしています。マーケティングでいうと4PのうちProductとPriceはHQが決めるので、PlaceとPromotionの2つだけが日本法人である程度自由がきく、ということになりますので、この範囲でやれることをやろう、という発想です。

余談ですが、過去から多くのビジネスパーソンと接してきましたが、例えばProductとPriceの主導権が無いというケースでいうと、「無いこと」を嘆き、できない理由を言い訳にする人ってたくさんいると思います。つまり、できない言い訳・やらない言い訳を自分で用意している人です。

無いことを嘆くより、有るものをどう有効に使うか、という発想一つで行動が変わるはずですが、言い訳がましくなるのは人間の防衛本能なんでしょうかね?失敗しても死ぬわけじゃないですし。

閑話休題

本題に戻します。今回は僕が昔から個人的に「不要かつ邪魔でウザいもの」と思っていた広告について主に触れたいと思います。

目次(ちょっと変えました)
【その1】(第1部はこれ)
- まず何をしたか?「違和感」の顕在化・言語化
- 妄想力を働かせる
【その2】(第2部はこれ)
- とりあえずいろいろやってみる
- PRは超大事
【その3】(今回はここ:ちょっと変えました)
- 広告はプロに任せるけど形骸化したKPIは無視
- オフラインのイベントは「自分ごと化」と「拡散」を意識
【その4】
- 売ってきたからこそできるマーケティング
- マーケティング経験や知識よりも重要なこと

App Annieでのマーケティングチームは、主に以下の仕事をします。
- 戦略立案(とはいえグローバルの戦略や方針に沿う必要あり)
- 予算策定・予算管理(こちらもグローバルの予算からの分配)
- PR(代理店のディレクションとメディアリレーション構築・維持)
- 広告 (基本デジタル)の企画と管理
- コンテンツ(本社のコンテンツ+オリジナル)
- オフラインイベント(主催、共催、出展、登壇)企画運営
- リード育成プログラム運用
- リード管理

つまり、リード獲得からリード育成までが基本的な仕事内容です。

が、僕は以下を追加したいと考えています。
- コミュニティマーケティング企画運用
- 既存クライアント向けマーケティング
- 日本法人オリジナルのオウンドメディア運用

こうやってみると、業務量はとても幅が広く、優先順位付けを誤るとどれも中途半端になってしまって何も効果がでない、ということになり兼ねません。現在2名のマーケティングチームですが、来年2020年には1名追加する必要性をきちんと説明してヘッドカウントを1名用意してもらおうと企んでいます。

僕の優先順位付けの考え方はマーケティングに限らずですが、
- 短期にARRが最大化するかどうか×実行可能性の高さ
- 中長期にARRが最大化するかどうか×実行可能性の高さ

の2つです。

第1部でも述べましたが、リード獲得のCPAを最小化するとか、広告からのリード獲得CVRを最大化するとか、いわゆるマーケティング的なKPIはどうでも良い、というと語弊がありますが、3割くらいしか意識してません。残り7割は「で、それはビジネスになったんだっけ?」に向いています。

実行可能性の高さでいうと、実行しやすいところから着手しています。どれが最もARRを最大化させる活動かどうかはやってみないとわからないし、今までやってこなかったことをやってるので社内にデータはありません。実はグローバル全体でみても同様なので、科学的な根拠に基づいた建設的かつロジカルなアドバイスをもらえるわけではないので、マーケのグローバルトップに好きなようにやらせてもらっています。これがとてもラッキーです。

ちょっと甘えたことを言うと、実行難易度が高いものは正式にマーケティングマネージャーが入社してからその人に是非やってもらいたいなーなんて思っています。実際、僕のリソースの半分以上をマーケに割き続けるのは難しいので、できることからやるという優先順位付けになっています。

ちなみに、中長期のARRを狙っている活動がPRです。

さて、広告については上述したとおり、僕には苦手意識があるし3文字英単語の専門用語は意味不明だし、そもそも仕組みもよく理解していないので、社内のセールスメンバーでデジタルの著名代理店から来た者がいるので、彼に協力してもらい、広告代理店とのフェースや折衝、改善のリードをお願いすることにしました。彼らのミーティングに同席すると「ね、それどういう意味?」と僕がよく質問するので効率が悪くなってるはず。ごめんなさい。


広告はプロに任せるけど形骸化したKPIは無視

広告を打つ目的は新規リード獲得がメインです。グローバルでは「これからはABMやるからね」と言ってきた割には、特にコレと言ったABMの施策はほぼ何もしていない(つまり結果出てない)ように僕には見えています。とはいえ抜本的に日本法人でのマーケのやり方をABMにシフトさせるのは流石にちょっとしんどいので、「リード獲得して、育成して、案件化して、クローズする」という従来のB2Bマーケティングを改善していくことにしました。

その中で、主にリード獲得を担う広告については、色々と中を見てみると「取れやすいところ(CVRが上がりやすいところかつCPAが下がりやすいところ)」がセグメンテーションされ続けていたということがわかり、まずそれをやめました。正確にはそのセグメントから更に広げた、という表現が正しいですが。

セグメントを広げるにあたり、代理店は「CVRとCPAが悪くなると思いますけど」と心配そうでしたが、「全然OKです」と言いました。そしてなぜ全然OKと言うのか、僕の考えを全部お伝えしました。この「考えや目的をちゃんと伝える」というのは代理店と一緒に仕事をするにあたって絶対手を抜いたらダメだと思います。そうしないと同じ方向を向いて仕事できないです。

従来の広告配信のセグメントは取れやすいところ、つまりそれなりにモバイルの領域に興味関心がある人達でした。実は、この人達をセグメンテーションして広告配信していても、僕らの本当に狙いたい業界には届きません。

CVRを上げてCPAを下げる、というマーケ的なKPIを良くする(ように見せる)のであればこれでいいのでしょうけど、僕らはこの先「モバイルの領域に関心がなく他人事だと思ってる」人たちとビジネスをしていかないといけません。GDPのでかい産業ですね。しかもある一定以上の役職の方々です。

なので、マーケ的KPIを良くする事を追求することだけを考えると、例えるなら「陸上のバトンリレーで第一走者がバトン持って走り始めたけど明後日の方に走って行っちゃった」という感じでしょうか。これじゃゴールできない。

この「ビジネスの方向性」と「広告施策」がミスマッチだったので、ここを改善することにしました。

一方、ABMでいうと、ターゲットアカウントのIPアドレスを判別して広告を打てるという外部のサービスもかつて使いましたが、効果出ませんでした。ここについても今後、再度活用を検討したいのですが、

- 広告配信先(釣り場)が間違っていたのか
- コンテンツ(釣り方)が間違っていたのか


が検証できていません。なので今はここについて判断がしかねる状況です。

データが無いので、仮説ベースで進めるということをしていかないといけないのですが、僕の仮説は

刺さるコンテンツ(コピーとリード文とクリエイティブ)、つまりアテンションも取って興味も引かせて、行動変容を起こさせる事ができるコンテンツを作れば広告のビジネス効果は上がる(はず)

です。「釣り方」を改めるという点に注力しようと思い、まず第一歩目としてやり始めているのは

オリジナルコンテンツの作成

です。

外資系B2B企業あるあるですが、本社はホワイトペーパー的なものをちゃんと用意します。それを各国のマーケはせっせとローカライズします。そしてそれを広告に乗せてリード獲得の手段に使うわけです。

これ、会社がアセットとして用意したものなので、それを活用してビジネスに繋げる事ができれば美しいですが、そんな甘くありません。

ジレンマですが、営業色が強すぎるとただの宣伝広告になるので嫌悪されますし、営業色を薄くすればするほどただの読み物になって「あー参考になったわ」で終わります。

当社は後者のホワイトペーパーが多く、そのホワイトペーパー欲しさに名刺情報を入力してダウンロードをした人に対してせっせと営業活動しても効率が良くなりません。

わかりやすく例えると、100人声かけたら3人くらいが立ち止まって話聞いてくれる、程度の成功率ではナンパ師としては三流です。そこから飲み屋に一緒に行ってくれる人はさらに絞られるし、その先も…となると、何人に声かければいいのだ?と途方に暮れます。

なので、チラ見した時に「あらっ!?」と思わせて、ちょっと眺めて「ええーなにー何か素敵。興味でちゃうんだけどー」とさせて、足を止めてちょっと話したら「こんな人出会ったことない…もうちょっと一緒にいたい…」と思わせることが広告には求められるんじゃないか、と思ったわけです。

これが僕の作りたい広告コンテンツのイメージです。

第2部で述べましたが、当社のプロダクトはデータであるが故、そもそも興味関心のない人を「もうちょっと一緒にいたい…」と思わせるのは至難の業です。

しかし、半分以上のクライアントは最初は当社のことを知らなかった人たちです。その人たちにクライアントになってもらうプロセスにおいて、今まではセールスチームが関心度を上げて、自分ごと化させて、熱量を上げてきたわけで、言ってしまうと「会社としては全然できちゃう」んです。

セールスでやっていることを、マーケでやればいい


これは広告でも適用できるんじゃないか、というのが僕の仮説です。

日本企業は「事例」を好みます。
営業活動において、主に提案フェーズでは同業界での活用事例はあるのか、と非常に頻繁に聞かれます。これの是非はともかくとして、そういう事を気にする人たちが多くいるのであれば、相手の目線に合わせてコンテンツを用意してあげましょ、という事です。

ということで、第2部でも書きましたが、今せっせと作っているのが「ユースケース」というわけです。これが揃ってきたら広告として打っていこうと考えています。

ただこのユースケースは「リード文」なので、アイキャッチのためのクリエイティブや中身を見たくなるキャッチコピーは別で考えないといけないです。やることたくさんですね。

そしてさらに、僕がちゃんとやりたいのが「ABテスト」です。
クリエイティブの良し悪し、キャッチコピーの良し悪し、中身の良し悪し、を分析して次に繋げるという業務サイクルを回していかないと、やった分が蓄積されていかずにいつまで経っても経験と勘でやることになると思っています。

広告の目的
- 「ビジネスに繋がる」リードをたくさんとること
- ビジネスに繋げるためには直接的/間接的にプロダクトの価値を伝えること
- そして何かしらの行動に移してもらうために背中を押すこと

オフラインのイベントは「自分ごと化」と「拡散」を意識

オフラインイベントは主に3種類やっています。
- 自社主催のイベント
- 他社との共催イベント
- 外部イベントへのブース出展や登壇

これらのイベントの主な目的も「ビジネスに繋がる」リードをたくさん取ることです。言わば短期的なビジネス効果を期待して行っています。

ここ最近、リードの質が変わってきました。一言でいうと、ホットリードが取れるようになってきました。熱量が高い状態でインサイドセールスチームと会話をし、フィールドセールスとの商談に進むというケースが増えてきているのを見て、今年の後半はオフラインイベントへの投資を増やすことにしました。

その中で、まだ数件のイベントしかやっていないのでデータ上で何か言えることは無いのですが、定性的に見ると「自分ごと化」と「拡散」は重要かも?と思っています。これはあくまでも僕の仮説ですが。

自分ごと化、というのは文字通り「イベントでApp Annieが発信する内容が聴講者の企業にとってビジネスに関係あるように伝える」ことです。今までそういう視点を持っていなかったわけではないですが、よりメッセージ性を強く、ストーリーを工夫し、さらにデータプロバイダーならではの「ファクトフルネス」の文脈を入れ込んだところ、リードの質と量が良くなったのです。

2018年末までも幾度となくセミナーで登壇して様々なメッセージを発信してきましたが、「セールス」という立場でコンテンツを作るのと、「カンマネ(兼マーケティングマネージャー)」という立場で作るのとでは大きく視座が変わるのかな?と思っていたりもします。

このストーリーラインの1つを提示し、AdTech Tokyo 2019の公式スピーカーに選んで頂いたり、著名メディアや全国紙の新聞記者の方々にメディアリレーションを構築できたりしているので、広く関心を呼ぶことができているんだな、と思っています。

このストーリーの1部をコンテンツ化したのが以下です。後編は8月に配信されますのでお楽しみに。

拡散についてはかなり未知数です。根拠なく「絶対やったほうがいい」と信じてるだけですが、
- 来た人たちが自発的にSNSに拡散してもらうようにする
- メディアがたくさん来て記事化して発信してもらえるようにする
- 各イベント毎にブログやレポートを書いて発信するようにする


の3点を今後やっていきます。こちらは興味深い結果が出てきたら共有したいな、と思っています(覚えていれば)。


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向井俊介@App Annie

アメリカ本社の世界最大手のアプリ市場データプロバイダー、App Annieにて日本法人の代表を務めています。 ここに記載のある内容はあくまでも個人の意見や示唆であり、会社のオフィシャルなコメントやメッセージではありません。

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