見出し画像

マーケティングをやったことない僕が、何を考えてマーケティングを進めているか(全4部〜その1〜)

僕は今、App Annie (アップアニーと呼びます) というアメリカに本社を持つモバイル市場データを提供する企業の日本法人で代表を努めています。いわゆるカンマネっていうポジションです。

カンマネというポジションは企業によって多少の役割の違いはあれど、言ってしまうと「当該国の法人の収益を最大化する」ことです。なのでセールスのキャリアが活かされる機会は多々あるかなと思っていますし、セールスのバッググラウンドがある人がこういったポジションに就くことが多いことも頷けます。

しかし、聞くところによると、多くの外資企業(特にまだ若いスタートアップ系)においては、マーケティングはカンマネのレポートラインになく、本社ないしはAPAC等リージョンにダイレクトレポートをしており、業務上国内ビジネスは繋がっているものなのに組織上は分かれています。

当社も同様でしたが、この春にマーケティングマネージャ(日本のマーケティング責任者)が退職したことにより、採用し自走してくれるまでの間は僕がマーケティングをみることになっています。というか、見ることにしました。

B2Bセールスのキャリアを主な強みにしてきた僕が初めてマーケティングもみることになり、本社含め本職のマーケティングメンバー達と話をし、外部の著名ないわゆる「マーケッター」と言われる人達と意見交換や相談をしてきましたが、僕のやってることや考えていることは間違っていないよ!というお墨付きを得つつあるので、それを今回自分の為にも整理をしておこうと思った次第です。

マーケティングの職種で仕事をしている人たちに、また外資系日本法人でカンマネもしくはマーケティングマネージャーの方々が、少しでもビジネスを進める参考になれば幸いです。

少しずつ書いていくので、目次を4部構成に分けて書いていければと思います。

目次
【その1】
- まず何をしたか?「違和感」の顕在化・言語化
- 妄想力を働かせる
【その2】
- とりあえずいろいろやってみる
- 戦略の真意は「戦を略すこと」を常に意識
- PRは超大事
【その3】
- 広告はプロに任せるけど形骸化したKPIは無視
- コンテンツは目的に合わせてストーリーを作る
- オフライン(主催イベント、共催イベント、スピーキングオポチュニティ)は目的ごとに使い分ける
【その4】
- 売ってきたからこそできるマーケティング
- マーケティング経験や知識よりも重要なこと

まず何をしたか?

後任が決まっていない中でマーケティングマネージャの退職となったことが、結果的に良い方向に進んでいるのかな、と思います。これ大事です。つまり「嘆いても憂いても物事は何も変わらないので、Look upして前向きに考えようぜ」ということです。マインドセットの話ですね。この辺どのようにマインドセットを自分でコントロールしているかは過去のブログをご覧ください。

マインドセット次第で大抵のことはどうにでもなる|向井俊介@App Annie @Shun_Mukai0718|note(ノート)https://note.mu/shun0718/n/n346204ffa618

カンマネという立場上、あらゆる業務の隙間・グレーゾーンは僕がやるべき事の1つなので、マーケティングについても「後任が決まって自走するまでは俺がやらんと!」とすぐに思いました。加えて「やったことないけど、マーケティングやると俺のスペック上がるやん」という前向きな下心が働いたことは、隠さずにお伝えしておきますし、根拠のない自信もなぜかありました。

で、短い期間で業務内容及びタスクを引き継ぐ必要があったので、まずは「何をやってきたのか・やっているのか?」だけではなく、「それは何のためなのか?」を自分なりにビジネス視点で整理して理解するようにしました。

業務内容やタスクを聞いていると、「こんなに細かくてたくさんの業務量だったのか!」と思う一方で、何となく感じる違和感がありました。結果その違和感は言語化できましたが、最初は何となくおかしくね?という雰囲気でした。でもその違和感を感じられないと、改善していくきっかけを得られないことになるので、実は自分の感じる違和感を大事にしていたりします。

何に違和感を感じたかというと、いわゆるマーケティング的KPIの数値です。セールスにいて「CVRが○○%で、CPA○○円でした」とマーケから報告を受けていましたが、いざその数字に向き合うと、その数値の違和感を強く感じたのです。

例えば何らかのマーケ施策で1,000件の新規リードをCPA2,000円で取れたというのは「マーケ的には成功」なんでしょうけど、じゃあそのリードが何件の案件に繋がり、幾らの成約(つまりビジネス効果)に繋がったのか、という視点で見ると、驚くことに3ヶ月経っても案件化したリードはゼロ、なんて事があったりしました。

僕の立場から言うと「このマーケ施策は失敗」となります。だって1円にもならない施策に200万円も費やしたことになりますからね。でもマーケ的には「すげー!」ってなってたわけです。もちろんリードの案件化はセールスの責任でもありますが、それにしても1,000のリードから案件化ゼロ、というのは「違和感」でした。

この「ビジネスの視点でマーケ施策を見る」というのは本質的な事だと思いますし、そもそも追いかけるべきKPI設計がおかしいんじゃないか、と思ったわけです。

逆に言うと、マーケティングはビジネスの成果を見据えたリード獲得とリード育成をすべきなので、そこまでのマーケティング&セールスプロセスを見える化し、マーケのどこを最適化すれば成果を最大化させることができそうなのか、を施策として実行すべきだと腹落ちさせたわけです。

【妄想力を働かせる】

App Annieという会社は、その名の通りアプリの市場データを提供するビジネスからスタートし、現在はモバイルウェブのデータやSDKデータ、ASOデータにもプロダクトを広げ、今後さらにアプリの枠を出てモバイル全般に関するデータを提供していく事を考えています。

当初はアプリで直接的にマネタイズしている、つまりアプリ内課金モデルの企業が主要なクライアントでした。ゲームが代表的ですね。

そこから次第にマーケットを広げ、2017年頃からは製造業や金融業、鉄道や小売といった業界が「新規事業戦略やCX改善、顧客コミュニケーションやエンゲージメント設計」等といった文脈で弊社のデータを活用する機会が増え、ビジネスを広げられるようになってきました。

グローバル全体の方針としても、いわゆるGDPのでかいC向け業界にビジネスを広げていくということになっていた事もあり、それらの業界の企業にどんな価値を提供できるのか、潜在化されているビジネスニーズを顕在化させる活動が重要になってきました。

一方、マーケティングを見ると、この5年間大きな戦術は変わっておらず、例えばSEOやSEMひとつとっても、買ってるキーワードは変わってなく、言い換えると「モバイルやアプリに興味関心のある」人たちがググった結果としてうちのHPやコンテンツに入ってくる、という導線だけを設計していた事になります。

大手企業の60才前後の役員クラスの人たちとコミュニケーションを取るために、マーケティングとして何をするのが良いのか、その人たちは何に触れ、何を見て、どんな導線で生活しているのかを妄想しないといけません。なぜなら弊社の中にはそれらに関するデータはおろか、蓄積された経験が無いからです。

妄想して、仮説ベースで考えるくらいしか材料がないのですが、外の方々に壁打ちをさせてもらう事も重要だな、と思いました。幸いにも前から役員レベルの方々相手にビジネスをしてきたこともあり、ある程度仮設は作れるので、一通りの妄想は外部の経験豊かな方々からも「それでOKなハズ!」という心強いコメントをもらえるだけで精神的に安心したのを覚えています。

主だったのはやはりメディア活用でしょうね。
記事広告の類ではなく、様々なメディアに「取り上げてもらう」こと。それもデジタルメディアのみならず、紙媒体はさらに重要。当然といえば当然ですが、特に紙媒体については年に1度か2度、取材をしてもらう程度だったので、これでは読み手の頭に残るはずもありません。

まずは選り好みせず、とにかく様々なメディアに出続ける活動をするという地道な活動が重要だと考えています。

〜次回に続く〜

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

50

向井俊介@App Annie

アメリカ本社の世界最大手のアプリ市場データプロバイダー、App Annieにて日本法人の代表を務めています。 ここに記載のある内容はあくまでも個人の意見や示唆であり、会社のオフィシャルなコメントやメッセージではありません。

考察

1つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。