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自傷癖

手が綺麗って褒められることが多かった

指が長い

爪が綺麗

手が薄っぺらくて女性的で

ネイルが似合うとも言われた。

大きくて豪華なアクセサリーが映えるとも言われた。

そんな手が好きだったから、
手遊びが増えたのかもしれない。



だからストレスが溜まると、

爪を向いたり

ささくれを作ったり

真っ先に、手を、犠牲にしていくことが多かった。

褒められている所を傷つけていくことが、
救いとしての根っこだったのかもしれない。

気の合わない先輩との飲み会で酒を飲んで、
下を向いた時によく気がついた。

黒くて太いパンツの上に、
自分で向いた指の、
細くて細かい皮がよく落ちていること、

その下で、根を張った指の皮達が、
テーブルの上での明るさを支えていたんだなと。
ここまで書いて何故か泣きそうになった。


助けてくれていたんだ自分を。


でも、


そのささくれや伸びた皮を、

人前でレジ打つ鬱仕事の中で

指が汚くて惨めだと思った。

ボロボロの指でお釣りやレシートを渡すその指を
惨めだと思った。

泣きたくなった日もあったかもな。


救いになっていたその根を
否定する自分を
________________


汚らしいこの手を非難しているのか
その手を否定する自分を非難していたのか

その二つには差がないのではないかと思う。

そんなまどろっこしい自分が嫌だったのか

今も、根を張る。

20年以上生きている未だに分からないでいる。

こんなことを書きながら
無意識に指先を傷つける自分がいる。

お父さん指と呼ばれる指
お母さん指と呼ばれる指ばかりを傷つけている

小さな親不孝に安らぐ自分に、
また指を痛め付ける。

大きくて、ピンク色のその爪に
嘲笑われているような気がして、
また、
ささくれを作っては惨めに思う。

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