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無人島に教科書を持っていくとしたら

今朝の日経新聞1面右下コラム「春秋」の冒頭を引用します:

無人島に1冊だけ本を携えていけるとしたら何を持っていくか。思春期の空想で、飲み屋の与太話で、一度は問うたり問われたりしたことのある質問だろう。自分にも心に決めた書物がある。では、宇宙船でたった一人、地球外に放り出されるとしたら、その時は……。

日本経済新聞2023年8月1日1面コラム「春秋」より

次のパラグラフで、それは「高校時代の物理の教科書」だと続く。
(まあ、確かに、『天体の動き』は物理なんだろうけど……)
しかし、「宇宙船でたった一人、地球外に……」の部分にリアリティーがない。
そもそも、マクラで使った「無人島に……」はどうした? こちらの方がありうる状況設定でしょう。

── 無人島に漂着した時に持っていたい本は何だろう?

・無人島生活を楽しく送るため
・ひとりでも退屈しないため
ならば、好きな作家の小説だったり、それこそ話題豊富な「新明解国語辞典」だったり ── が挙がるかもしれない。

でも、まず我々は、無人島で生きていかなければならない。
飲用可能な水源を探し、火を起こし、食料を確保しなければならない。
(そこでは「物理の教科書」は役に立ちそうにないな……)
物理はどちらかといえば「現象解明」より「定量化」が得意だけれど、無人島でのサバイバルでは「現象解明」や「物質合成」「相転移」の方が重要だろう。
(やはり、そこは「化学の教科書」の出番ではないか?)

でも、あなたは言うかもしれない。
「いやいや……それよりも、植物や動物が食用可能かどうか、有毒なのか、あるいは薬用成分があるか、など生物学の知識でしょう」
……なるほど、なるほど。

朝ドラ「らんまん」のモデル・牧野富太郎博士が編纂した『植物図鑑』の類を持って行くのが一番いいのかもしれませんね。

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