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被殻出血の運動機能改善に大切なこと

重度の下肢運動機能障害をきたした被殻出血患者の運動機能改善予測には、

①年齢

②皮質脊髄路走行領域の損傷度

③SIASの体幹垂直性機能

が重要な因子となる。


①年齢

ラットやヒトにおいて、加齢は脳卒中発症後の運動機能回復を阻害する因子であることが報告されている。


②皮質脊髄路走行領域の損傷度

脳卒中発症により内包後脚に損傷をきたした場合でも内包前脚や内包膝が損傷していない症例において、それらの領域を賦活させることで運動感覚機能の回復が得られたと報告している。

つまり、皮質脊髄路のみならず周辺組織まで損傷が及んでいる場合は、可塑性変化による機能回復が見込まれにくいため予後が不良になると示唆される。


③SIASの体幹垂直性機能

座位保持能力の定量的評価である。

抗重力伸展活動を伴う座位保持において重要となる体幹・下肢近位筋の筋活動は、主に皮質網様体路によって支配されている。

皮質網様体路は、補足運動野・運動前野から放線冠(傍脳室白質中央やや前方)、内包後脚前部を下行し、脳幹網様体にて網様体脊髄路となり、体幹・四肢近位筋に至る。

つまり、座位保持における体幹垂直性の低下は、皮質網様体路の損傷をきたしていることが推察され、下肢近位筋の機能改善が阻害される可能性が示唆される。

重度の下肢運動機能障害をきたした被殻出血患者における運動機能の改善に関与する予測因子 澤島佑規 他 

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