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“正中線を取る”の発展段階

“相手の正中線を取る“

武をしていると必ず聞く言葉でしょう。

正中線を取れれば有利に攻防を進められます。

つい先日の月に一度の身体操作の練習会。

男性看護師の方に認知症の患者さんに殴られたり蹴られたりするので適切な対処法を教えて欲しいとのことで。

攻撃してくる患者さんが怪我をしてはいけない
看護師さん側も怪我をしないようにしたい

しかも患者さんは高齢な方が多く、下手に力を加えると倒れて怪我をするかもしれない。

かなり雁字搦めの条件ですね。

そこで私が提案したのは、患者さんからの突き、蹴りに対して正中線は崩さないまま脱力して受け流す方法(システマを参考にしています)。

打撃が当たってから“抜く”ことで、攻撃側は当たっているのにスカしている感覚になります。

下手に耐えるとより攻撃が苛烈になったり、患者さんが自分の攻撃の威力で自分を傷つけてしまう可能性があるから。

その際に男性看護師の方に胴体部分を好きに殴ってもらって実演したのですが、正中線に当てられても脱力が間に合えば流せるんですよね。

つまりいくら正中線を捉えて打撃をしようとしても、流す技術を持つ者同士や、防御が硬くて正中線にそもそも入らせてくれない者同士だと有効打を与えることは非常に難しくなるということ。

その打開策に何があるのか、を今回の練習会で考えるきっかけに。

西洋的な発想で言えばフェイントでタイミングをずらしたり、コンビネーションで防御をこじ開けたり、反応できない速度で攻撃したり、が現段階の私の思いつくこと。

では東洋的な発想ではどうなるか。

一つ目は抜重による重心移動や手先からの移動により相手の反応をワンテンポ遅らせること。相手からしたらコマ落ちのように感じたりしますね。

二つ目は相手の姿勢を崩すこと。姿勢が崩れれば居着いて攻撃を避けられず、防御も遅れ、受け流しも間に合わなくなる。

二つ目は武道系の漫画で達人キャラがよくしているイメージがありますね。

漫画『ツマヌダ格闘街』では「相手を据え物にして打つ」と14巻にありますがまさにこれではないかと。

つまり正中線の取り合いは、どう相手の正中線を無防備な状態にするのか、に発展していくのではないか、と。

あとはどの戦略(武道格闘技)を選ぶのかは好みの問題。

もちろん攻防はこれだけとは言えませんが正中線を捉えた打撃は芯を捉えているので大ダメージになります。

実際、脱力による受け流しをお伝えした男性看護師はちょっと打撃を早くしたり、正中線を狙って突きを打っても受け流せるようになり、有効打を与えることが難しくなりました。

自分の方が反射神経やスピード、ハンドテクニックが相手よりも優れているのなら、フェイントやコンビネーションを選べばいいし、

相手よりも体格やパワー、スピードが劣っているなと思ったら、反応をワンテンポ遅れさせる動きと崩しを組み合わせたり。

“正中線の取り合い”はこのように発展していくんではないかなぁと。

来月の練習会まで実験と検証、ですな。

ではでは。

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