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コーチの社会分析 Note【高校生達の挑戦。「防災」をマインドセットから変えていけ!】

はい。「地方創生ではなく地方創世」というコピーで綴る。
今日のテーマは「防災」です。
 
本当は防災の日あたりに書くのが良かったのですが、諸事情で今日からの9月後半にペースをあげて予定分を掲載していきたいと思います。

☆東日本大震災を通じて学んだこと

これは防災に限らないのですが事前の「予測」と「予防」。そして事後の「適応」と「行動」という二つのカテゴリーをわけて考える必要があります。しかし実際にこの国の「防災」は「災害が生じてからどうするか?」という「適応」と「行動」にばかりフォーカスされてしまっているように感じます。防災士としての視点からも、ここが根っことして大きな課題であるように見えているわけです。
 
私達は2011年の東日本大震災以降、毎年のように大きな災害があり、そして世界的な感染病という経験もしてきました。その振り返りで必ず共通していたことは、災害がいつどこでどのように、どれくらいの規模で起こるかはわからない。自然(地球)をコントロールすることはできないし、予測だってままならないという現実でした。

当たり前だという人も多い、その当たり前の大前提に対して、きちんと向き合っていないということ。つまり、私達がより重要視し、日常の行動におとしこんでいかなければいけないことは「予測」と「予防」。自分たち自身でコントロールできる準備の質をいかに負担なくあげておくかということです。
 
実際に2011年で起こったワンシーンを改めて想像してみてください。皆さんも聞いたことが一度や二度ではないと思いますが、

・避難所には「車で行かない」

という金科玉条のルールがあります。このルールを守ることばかりを知識として植え付けてしまった為に、その結果として何が起こったか。

津波が防波堤を今にも越えてこようという時に、避難しようとしていた高齢者達が避難所への移動を諦めてしまうという現象が発生したのです。
 
これは、車のない高齢者が高台にある学校や一時避難所に到達するためには、何百段という階段を登らなければいけなかったり、車で走ることを前提にした斜度の坂道を徒歩で上がっていかなければいけなかったからです。「無理だ・」と判断した高齢者達は家の二階上がったり、屋根に上がってあとは祈るしかありませんでした。そして、その祈りも届かずに20mという大津波は人々をのみ込んでいってしまったのです・・。

☆高校生チームの挑戦!

そして今年。高校の探求学習で「防災」をテーマにとチームで僕のところに話を聞きに来たメンバー達。彼ら、彼女らは、こうしたリアルな体験、経験を継承しながら「本当の目的」とその為に必要な「本当の準備」とは何だろう?と探求していくことになりました。

*現在の経過は上記リンクから。箕輪町・町長は自ら足を運んで体験をして、ブログに乗せてくれました。ありがたし!
 
避難時に車で使わないというルールが出来た根拠や理由には一定の合理性があります。しかし、高齢化が進む日本では、このルールによって失われた。これからも有事の際に失われる可能性のある命があることも事実です。
 
そしてこの国ではこうしたケースで二項対立をさせて「ルールだから仕方ない」という側を正当化することがまた多いわけです。これ、実はとても非民主的な考え方です。人は誰でも老いることで膝や腰の状態が衰えていきます。階段を登れない、坂を歩けない人は切り捨てていい。そんなルールと社会であっていいはずがない。そう感じ、考えられれば、両方を満たし、救う何かを見つけることが出来るわけです。

*災害警戒レベル

☆根底の考え方を変えてみる 

さて(上記の図を見つつ)これまでの経験も踏まえ、現在は警戒レベル3で高齢者避難という図式になっています。
 
けれど「これ、本当に有効なのか?」と考えることが高校生チームの一歩目でした。
 
台風などの「予測」がある程度出来るものに対してはこの警戒レベルには一定の信頼度があります。けれど、土砂災害などは段階を踏んでくれるとは限りませんし、雨の降る夜中でこうした警報のアナウンスを聞き逃すケースだってあるでしょう。また、場所によっては避難所までの道程でこうした土砂災害のエリアを通らなければいけない地区もあります。避難中に巻き込まれるような悲劇は避けたい。
 
つまり、この図が逆に「レベル3までは動かない、動かなくていい」という解釈、認識を与えてしまう側面もあるということです。
 
かくして、彼らの『伊那北高校避難所化計画』では、学校の夜をもっと気楽に日常使い出来るという発想をそこに入れていくことになりました。上記記事で

▽数の力を頼れる高校生が運営者
▽教室に少人数で避難させる
▽災害発生が予想される段階で開設する
などを盛り込み、練ってきた。無理なく気軽な感覚で避難してもらう構想。
 
としているのは、台風や大雨といった「予測」ができる夜には、警戒レベル関係なく市民同士が学校で一夜を過ごす。
 
そんな【状態目標】を描いています

 
それを誰が責めるでもなく、学校をもっとも知っている高校生達が管理運営する一夜を日常にしていく。そうすれば、孤独な夜を過ごすこともなく、利用した市民は学校で夜を過ごした体験から自分なりの避難方法や避難で必要なもの、あるとより楽に過ごせる何かを準備することが出来ます。
 
暖を取り、対話をして、寄り添って一夜を過ごす。そんな新しい防災の形へ挑戦するこのチーム。ぜひ、応援してあげてください!

*音の少ないアルミシートはとても役立ちます。パリパリ、バリバリと音がして使いづらかったり、動くだけで鳴る音がストレスになってしまったり。そんなシーンは「災害だから仕方ない」「遭難時だから仕方ない」ではありません。こうしたちょっと良いに変えるだけでまったくかわります。費用対効果でのアイテムには、自分自身でコントロールできる対感情という側面にも使っていきたいところです。

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