フードエッセイ『アイスクリームが溶けぬ前に』 #1|もがめ食堂(吉祥寺)
最近、「食堂」という看板や名前を見つけると、胸が高まる。
それと同時に、知らない土地でご飯処を探すとき、
自然とマップで「食堂」がつくお店を探している自分がいるのも事実だ。
今日は久しぶりに東京に来て、お昼ごはんをどこかで食べたいと思い、普段の習性で周辺のマップをみる。すると、『もがめ食堂』というなんとも可愛らしい名前があるではないか。
最近の習性に加わりつつある、
「見つけたらその場所へ行け」チャレンジ。
自然と足がお店のほうへ向かっていた。
店内は、8席ほどのL字カウンター。しかも、オープンキッチンだ。
数々ある定食メニューから、普段家では絶対作らないチキン南蛮を頼む。
外食することはほとんどないが、外食の際は、内食や自炊で食べないであろうメニューを選ぶように、勝手に作戦立てている。
注文をすると、カウンターキッチンならではの、チキンをあげる音、包丁で食材を刻む音、他のお客さんが頼んだ鯖の塩焼きを焼く音が耳に入る。それはすべて違う音量、音高だけれど、コンチェルトのように重なって、どこか聴いたことがあるなぁと考えていたら、家の夕飯を待っているときの音だ。
心地よい、ワクワクするあの音たち。
盛り付けになって、調理音が静かになった。
いよいよ、チキン南蛮定食とのご対面。
出てきた瞬間、これは優勝だ…!と、
テーブルの下でガッツポーズしたくなる。
おばんざいで4品、メイン、お味噌汁、ごはん(おかわり2杯まで無料)
これで税込1,210円。今回のエッセイのエピソード代もあるのに、この値段は良心的。お腹も心も満たされるってやつ。
今回の定食、いろんな歓喜に出会えた。
小鉢に酢味噌合えあるんか!とか、カボチャの煮物やわらけぇとか、お味噌汁にいろんな具が入ってるしちゃんと作ってくれてる、、みたいな心の中の歓喜たち。もちろん、鳥の唐揚げも美味しいし、タルタルとのマリアージュが最高よ。
てな感じに、食堂のカウンター越しで、いろんな感情が渦巻く「おひるごはん」をエッセイぽく、不定期に配信しようかな。気まぐれだけど、アイスクリームが溶けぬ前に、熱が冷めぬうちに。
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