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今宵、編(へん)な人たちと、本の深みへ。 『シュッパン前夜』立ち上げのご挨拶

あるとき、ふと思ったんです。
「このままだと、10年後も同じことをしながら、ぼやいているだけだな」と。
 
出版不況が叫ばれて早10数年。たしかに、出版各社においては時々大ヒットこそ出るものの、業界を全体的に見ればいい話は聞きません。
 
複数の出版社とつながりを持つ編プロに所属する私からすると、こんな状況なのに、出版各社が小競り合いみたいにちまちまとベストセラーの奪い合いをしていても、業界全体は尻すぼみになるだけではないか? と感じていたのです。
 
 「いずれ誰かが変えてくれるだろう」。たかだか編プロのイチ編集者である私は、当然このように漫然と待ち続けていました。
 
 ところが皆、私と同じように誰かが変えてくれるのを待っているだけだったのです。
 
 誠実に仕事と向き合っている編集者なら、誰しもこのままではいけないということはわかっています。ただ、変えるのは「自分ではない」と思っていただけ。
 
 おそらく、なにもなければ、この待ちの状態は変わらないと思いました。
 
「やってみるか」と思い立ったのは2019年の終わり頃でした。
 
 普段はライバル関係にあるそれぞれの出版社の有志を集め、共同でなにかしらのコンテンツをつくれば、新たな一歩になるかもしれない。
 
 そこで、日頃仕事で懇意にしている出版社の編集者さんたちに声をかけたところ、快く承諾していただけました。皆、思いは同じだったのです。
 
 コロナの影響で多少スタートが遅れはしたものの、毎月協議を重ね、できることから始めようということで立ち上がったのが、今回のメディア『シュッパン前夜』です。
 
 ガチの編集者は基本的に裏方思考なので、あまり表舞台に出ていくことを好みません。しかし、今回はあえて前に出て、これまで自分たちが見てきた本づくりの舞台裏や、こだわり、編集以外にも書籍制作に関係する陰の天才たちにスポットを当て、つくり手だからこそわかる「本の深み・読者とは違った見方での面白さ」を紹介していきたいと思います。
 
 このメディアをきっかけに、出版関係者にとどまらず、読者とのコミュニケーションの輪を広げていければ幸いに思います。
 
 この先どうなるかはわかりませんが、出版界に新たな夜明けが来ることを祈りながら。今宵、本の深みへ〜『シュッパン前夜』。
 
発起人 編プロのケーハクさん


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