とにかく「合わない」幼馴染の話。


いつも彼の話ばかりしているので、今日はある女友達の話をしようと思う。



同い年の女の子が隣に引っ越してきた

わたしが幼稚園の頃、我が家が建った。しばらく隣は空き地だったけど、少しして同世代の家族が引っ越してくることがわかった。
それも同い年の子が来ると聞いた時は、嬉しかったことを覚えている。

お隣さんで、これから幼馴染と呼ぶことになるであろう友だち。
他の幼稚園の友だちに比べると、やっぱり特別な関係。
母親同士も仲良くなり、これからもずっと仲良くしていくんだろうと疑わなかった。

しかしその子には家族ぐるみで仲の良い男女4人グループがいるようで、わたしたちよりそちらとよく遊んでいた印象。


中学になればもうわかる違い

幼稚園、小学校の低学年まではたまたま連続で同じクラスだったけど、その後はずっと違うクラスだった。
登下校は一緒だったけど、小学生にとって生活の中心はやっぱり学級の中。集団の中での立ち位置や、対人の性格などはあまりわからなかった。
小学校高学年頃から、彼女は可愛い子としてチヤホヤされ始めた。ぶくぶく太っていったわたしとは大違いで、すらっとして健康的で可愛かった。

そんなわたしたちは中学生になった。
相変わらず登下校は一緒だったんだけど、

彼女、男の話ばかりする。

あれ?と気づいたときには、行き帰りの話題はクラスの男子のことばかりだった。
わたしなんかに言わせれば、男子の話ばかりしていたら「ブスのくせに男好き」と噂されるんじゃないか…とこわくてそんな話できない。
彼女は平気でたくさん男子の話をした。
ということはつまり、男子とよく話すということだ。
わたしは中学ではほぼ同性と話した記憶しかない。
可愛い子はそういうことで悩まないのか、と思った。

そんなある日、彼女に聞かれた。
「◯◯は彼氏作らないの?せっかく中学生になったんだから、わたしは作りたいなあって。」

うーんもうだめかも、と思った。
なんか使う言葉がわたしのいる世界の感じと違う。
何の悪気もなく言ってるんだろうな。
彼氏は作ろうと思えばできるもんなんだな。

その後彼女にはすぐ、初めての彼氏ができた。
今まではわたしと下校していたのに、彼と下校するようになった。
周りは大層冷やかしていた。
彼女は照れながらも嬉しそうだった。

わたしはみじめで泣いた。


彼女とわたしは同じ部だったけど、彼女は顧問にも気に入られていた。
勉強だってそれなりにできる彼女。
わたしはきっと彼女にずっと勝てない。


マドンナになった彼女

わたしたちは高校も同じだった。

わたしは帰宅部。
彼女は、男子運動部のマネージャーになった。

わたしなら、マネージャーなんてしたら絶対男好きって言われるから、そんなの最初から選択肢に入れない。
それに自分は可愛くないから、もしなろうとしたって誰も喜ばないしむしろがっかりされる、とそこまで考える。

彼女はただそのスポーツが好きで、世話を焼くのも好きなんだろうな。
自分の容姿でどうこう言われることは考えないんだな。

彼女は学年の男たちみんなに下の名前で呼ばれるような有名人になった。
気づけば中学のときの彼とは別れ、高校内カースト上位の別の部活の男子と付き合っていた。

この人こわいものないんだろうな。
彼女のような人の隣の家に住んでいる幼馴染が、わたしのような人間であることが恥ずかしくなってきた。
きっと彼女は悪気なく、周りの男にわたしのことを幼馴染と紹介するんだ。
その度にまわりの男たちは、「へ〜、この子の幼馴染なのに可愛くないんだ。」と思うことだろう。
ここまで被害妄想するわたしに、彼女の友だちは恐らく向いていない。

だんだん疎遠になっていった。


大人になっても変わらない

大学は別々になったため、滅多に会わなくなった。珍しく遊ぼうとしたとき、待ち合わせに遅れると言われて待っていたら、また新たな彼氏を紹介してくれたりした。

成人式、彼女が写真を撮ろうと言ってくれたからその場所に向かったら、マネージャーの彼女を部員たちが取り囲み、髪の毛を直してあげていた。


彼女は変わらない。
わたしのコンプレックスも変わらない。
いつまでも彼氏ができないわたしとは、話が合わないようだし。


薄々気づいていたけど、わたしにとってこの人のエピソード、周りの男との記憶しかなくて何も面白くない。
この人自身に全然興味が持てない。
せっかく隣に住んでいるのに、こんなにも住む世界が違って、面白くないことがあるんだ。

漫画・アニメ・ドラマ・映画であんなに美しく描かれているのにな、幼馴染。
せっかくすぐ近くにいるのに、何かあったら夜に相談しに行く、なんてことは今日まで一度もなかったな。


でもわたしも大学を卒業する頃には彼氏ができ、自分にしかできない能力でしっかり仕事をしているため、彼女に対してのコンプレックスは無くなってきた。
それに彼女、どうやら女友だちが少ない。
わたしは友だちに恵まれたので、気にせず生きていこう!と前向きだった。


そんな折、彼女が結婚した。

お相手は高校の部活の仲間。部員とマネージャー同士の、絵に描いたような夫婦の誕生。


結婚は周りよりかなり早かった。
ここでも先をいくんだね、とまず思った。
結婚ぐらいは先を越したかったな。


これからも一生差を感じ続けると思う。


家の距離が近いが故に、友だちとしての距離はより遠く感じるね。


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