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【詩】大扉の壊れた城を賢者はmeditationの来るべき段階だと言ったが、わたしには表紙の取れた古い日記にしか見えなかった。

真夜中に研ぐものは
骨までを切るナイフがいいに決まっている。
雲の奥に引っ込んで光る気もない雷の
モノフォニーにのせ
ナイフで斬るのは、
あなたや
あなたや
あなたや
あなたや
あなた、ばかりではありません。
わたしを
わたしを
わたしを
伐って、
早三百年。

あの谷の村をわたしが追い出された夕方から
燃えさかる西空美しいあの暮れ時から
ナイフ遣いがだいぶ上手になりました。
大扉の壊れた城を、賢者はmeditationの来るべき段階だと言ったが、
わたしには表紙の取れた古い日記にしか見えなかった。
わたしを
わたしを
わたしを
わたしを
わたしを
伐って、
ほら五百年。
じぶんが種になってしまったことも忘れるくらい、
みごとに種になれました。
い香りのする森が中に眠っている種だと
忘れるくらい、
堅い種になれました。




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[つけたし]
詩中にでてくる「meditation」とは、瞑想のことです。




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