目隠しという、せかい。

あなたは寝るとき以外に自ら目隠ししたことってありますか?
もしくは、誰かに目隠しをさせたことはありますか?

僕は両方経験したことがあります。
いや、変な意味じゃなくて。というか変な意味で受け取ったあなたは、平日からどんな変なこと頭の中で考えているんですか?仕事に集中してください。

目隠しが仕事の効率を上げるかも。

そうそう、仕事に集中する上でも目隠しってとても有効です。この情報社会、自分が意図しなくてもスマホ、建物の景色、店の看板、人の会話、表情、清楚系美人30手前女子の表情を除く、不必要な情報を目にするのです。

実はただぼーっとしていてもだめ。自然に情報が入ってくるので、無意識に脳はその情報を処理しようと働いてしまうのです。情報をどこに記憶して、その情報は大切な記憶かどうかの判断など、脳は目を開けている間フル稼働してしまうのです。

私と同じ世代ならば週刊少年ジャンプ漫画「NARUTO」を見ていた方も多いはず。登場人物のはたけカカシは普段”写輪眼”という特殊な目を隠しながら生活しています。写輪眼を開眼しているだけで、ものすごく体力が削られてしまうためです。

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そう、我々はみんな”はたけカカシ”なのです。

目を開けているだけで、力を消耗してしまうならば私たちは情報を遮断しない限り力を温存する方法はないのです。

また、目隠しは想像力をふくらまします。
目隠しのいいところは、仕事の効率をあげるだけではありません。見えないから脳のイメージをかき立ててくれる点です。とある先輩はこう言いました。

「だーれだっ♪ってやつあるだろ?あれ、目隠ししないでやったらどうなる?てめーぶっ飛ばすぞって気持ちになるだろ?あれは、目を隠しているからいい。相手がかわいい女子かもしれないし、積極的なおねぇさんかもしれない。わからないからこそワクワクするんだ。」

これを話していた先輩の目はキラキラしていました。でも、わからくはないです。見えないってちょっと怖いけど、だからこそ、想像しますよね。

しかも、目が見えないときの想像って自分がこうあって欲しい、という願望を頭の中につくりませんか?自分がこれまでに実際に見てきた中で、最高にかわいい女性、セクシーな女性、ちょっと清楚だけど僕の前だけでは少し清楚でなくなる女性など、勝手に自分に最も都合の良い解釈を脳がつくり上げてくれるのです。

この時、気づいたんです。                      今一番自分が求めているものは、目を隠している時に頭の中に現れると。

これに気づいてから、僕はちょっと目隠しをする体験を人生の中で増やしてみることにしました。

目隠し合コン。

ある日、危ない会社の先輩が誘ってくれました。「なぁ?女性だけが目を隠したままの合コンがある、なぁ行ってみないか?」と。

私は真面目な人間です。そんな危ない、グレーゾーンな合コンなんて許せませんでした。むしろ女性が心配です。何されるかわからないじゃないですかそんなの。

でも、思ったんです。真面目で正義感あふれる人間だからこそ、社会の闇を知らないといけない。闇を知っているから、世の中をよくすることができる。

僕は強い正義感のもと、悪という連鎖を断ち切るために心を鬼にして「目隠し合コン」に参加することにしました。

当日会場。僕はいけないとは知りつつ、心拍数がバックバックでドキドキしていました。いざ、女性陣が現れると、スタッフが手をとりもち案内しながら僕たちの部屋に入ってきました。

目隠し女性陣「うわ〜、見えない〜♡よろしくお願いします〜!!」

女性陣はかなりテンション上がっていました。でも、本当にテンションが上がっていたのは我々です。目の前に目隠してる女性が並んで座っているのです。これは、やばいやつです。

会話がスタートすると、このイベントが”神イベント”だったことに気づきます。

女性陣が楽しそうに話すのです。 
え?普通じゃんって?いやいや。

みなさん合コンの最初にして、最大の障壁はなんだと思いますか?

「顔、ルックス」です。残酷な世の中です。

普段の合コンであれば、女性陣たちから「うわ、、今日ハズレじゃん、ノンスタイルの岩尾いるじゃん」とうい露骨な表情から始まるのです。嘘だと言い張る女性へ、目の前にクロちゃんしかいなかったらどうします?帰りますよね。

でもどうでしょう、この目隠しした女性陣の楽しさ。僕は経験したことがありませんでした。そう、目隠しというシンプルな方法で最大の障壁を僕らはクリアしてしまったのです。天才だろイベントの人。

彼女たちは勝手に盛り上がっていきます。なぜなら勝手に頭の中で”僕らの声”という情報だけで、我々の見た目をつくっているから。そう、目隠ししている彼女の前にいるのは、紛れもない彼女たちの理想の男性なのです。

これは、、利用しない手はない。(僕は決して思ってないです。)
と考えた先輩の声が突然、声優の山口勝平さんの工藤新一みたいな声に変わりました。学生時代練習しいたそうです。

目隠し女子「え、イケボやん!かっこいい///」
先輩「バーロー、ったりメーだろっ」

この時ぼくは思いました。オレオレ詐欺は決して許されない犯罪だということを。見えない相手にイケメンじゃない人が、イケメンのように振舞っている先輩を見て、こいつだけにはなりたくないって思いました。

でも、先輩を責めないでください。これまで合コンでチヤホヤされたことがないから、人生最大の幸福をまさに体感しているのです。僕には止めることはできませんでした。

かくいう私は、ちょっとだけ声を幼くしてみました。かわいい系を装ったのです。実はそういうの得意です。

狙いはもう一つあります。ぼくは童顔なので、目隠しをとったときあまりギャップがないように見せた方が強い。咄嗟にそう思ったのです。うそはつかないが、3割は盛っていい。それが僕の基本方針でした。

真実という残酷さ。

いよいよ、目隠しを外すタイミングがやってきました。実はこのイベントここが最大の盛り上がりポイント。これまで話してきた相手の顔が最後に見れるのです。盛り上がらないわけない。

でもぼくは気づいていました。ここはタイタニックの船上だということに。

人は自分の過ちをいずれ償わなければなりません。先ほど話題に上がったオレオレ詐欺もそう。いずれは警察に捕まり、裁きを受けることになります。

先輩は目の見えない彼女たちに、イケボを使うことでハードルをエベレストよりも高く設定したのです。目が見えない分、より高い理想像を想像していたに違いありません。
そう、あの時あの瞬間、氷山に向けてこの船は進んでいたのです。

頭の中であの有名なテーマが流れていました。

One true time I hold to
In my life we'll always go on♪

和訳
心に抱いておく 真実の愛の時だった
命ある限り 私たちは共に生きつづけてゆくの

(セリーヌディオン MY HEART WILL GO ON

目隠しを解き放ったとき、僕たちはにはキレイな空が見えていました。
ああ、あの小鳥たちのように空を自由に、心を解き放って飛び立ちたい。

さて、そろそろお別れの時間がやってきました。
すべての女性に一つだけお願いがあります。それは、合コンや初デートの時に思い切ってメガネやコンタクトレンズを外すということ。

別に危険なことではないんです。世の中の大抵な問題は見えてしまうから、見なきゃよかったって思うことです。見えない間、あなたは理想の夢の中で過ごすことができます。ぼやけてたっていいんです。あなたはあなた。わたしはわたし。

何が言いたいのか。男は顔ではないのです。私はそう信じたい。
おっと、上司にこれを書いているところ見られました。(ガチ)
それでは、また次回。

しゅう独白シリーズ 第二稿

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