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浪人一年間で読んだ本ベスト3を勝手に紹介したい。

一年間の浪人生活が今年の3月に終わりました!
長いようで長かった。(長いよ)(まじで)
辛いようで辛かった。(辛いよ)(そりゃ)

でも意外と感情の起伏は穏やかに過ごせました。
それは浪人一年間で本をたくさん読んだおかげかもしれません。

本は心の栄養。
本は心のリポビタンD。
本は心の橋本環奈。
といったところでしょうか。

本と言っても“小説”。ノベル。フィクション。

ここでは、ぼくがこの一年間で読んだ本(26冊)の中から、シンプルに面白い!!!!なんじゃこれ!!!無理!!!!全人類読めよ!!!!!おい!!!!これ!!!!!もう!!!!って思った本を3冊だけ紹介したいと思います。させてください。おこがましいですが。させてくださいよ。

ただの自己満足。それでも誰か一人でも読みたい!って思ってくれて、本屋さんに行って、紙の感触とか、分厚さとか、店員さんの機嫌とか吟味しながら、その本を購入して、ひっそりと一人で読んでくれる人がいたら、嬉しいなとか思います。


3位 『革命前夜』須賀しのぶ(文春文庫)

はい。
これ。
めちゃくちゃ面白いです。
震えます。興奮します。震えます。

舞台はベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。社会主義体制下の薄暗い雰囲気、人間の狂気が染み付いた国で、主人公はバッハの音楽を求めて日本から単身ピアノ留学にやって来る。そこで出会う登場人物が、まあ癖の強いこと。誰を信じ、誰を疑うべきか、常に警戒心を忘れてはいけない。たくさんの人と出会い、あらゆる事件に巻き込まれながらも、確実に成長していく。読んでいる自分も、なんだかすっごく精神的に成長していく気がしてくる。もう、ラストは怒涛のどんでん返しと、ぶわぁーーー!!!っていう感動の嵐。綺麗に物語がまとまって、薄暗い雰囲気のなかにも、一筋の眩しい光が差し込んでくる感覚が染み渡って来ます。気持ちいいです。

この本のすごいところは、社会主義体制下の国の雰囲気を直に感じられるところです。社会主義なんて、歴史の授業でしか学んだことがなかった僕にとって、その印象が大きく変わる本になりました。信用していた人が、実は密告者で、突然裏切られて拘束されたり、陰で反政府運動を立ち上げたり、日本で生きていたら絶対に経験できないような灰色の世界を体験できます。歴史を学ぶとはこういうことか、と実感しました。ちょうど、大学入学共通テスト(旧センター試験)の選択科目で、僕は世界史Bを取っていたので、大いに勉強にも活かすことができた気がします。暗記に偏って、やり込めばやり込むほど無機質になってきてしまう歴史の勉強の合間に、このような本を読んでみるのも、めちゃくちゃアリだなと思います。(罪悪感もあんまり無いと思うよ。)

もう、ピアノの旋律の描写がとても美しく、小説なのに音楽が聴こえてくるような、いや、耳で聞くより音楽を楽しむことができちゃう所など、他にもすごい要素が詰め込まれていて、ここには書ききれないのですが、是非この本を手に取って、読んでいただきたい。ベルリンの壁崩壊前の東ドイツを直に体験して欲しい。そう、強く思います。



2位 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎(新潮文庫)

どうも、伊坂幸太郎大好き人間です。2位に選ばせてもらったのは、伊坂幸太郎のゴールデンスランバーでございます。色々な感情が入り乱れ、1日じゃとても読みきれない。あぁ、どうすればいいんだ。うぉ!!よくやったぞ!!!は??なにしてくれとんじゃ!!まじか、どうしよう、、はあ??なにそれ最高じゃないか!!!えぇ、なんで!?!?うわ!!ええ!なに!!?!!?…………………………………………

舞台はみんな大好き仙台です。仙台出身の日本の大統領の凱旋パレード中(現実では日本は大統領制を採用していない時点で全くのフィクションなのですが)、日本の大統領は空から爆弾を積んだラジコンヘリに暗殺されます。それはまだまだ序章に過ぎません。なんと、なんの身に覚えもない無実の主人公が、大統領暗殺の容疑をかけられて、警察から追われることになるのです。なーんだ、ただの警察と主人公の追いかけっこの物語か、と思ったそこのあなた。ちょっと待って。甘く見てはいけません。そんな単純な話を伊坂幸太郎が作るわけないでしょう。とにかく、スケールが大きすぎるんですよ。空間的にも、時間軸的にも、でかいです。物語が進むにつれて、これは追う警察と逃げる主人公だけの話ではない、もっと見えない巨大で強大な敵との勝負なのだと気づき始めます。そして、逃げる側も負けてない。昔の思い出、狂気的殺人鬼、家族、アイドル。さまざまな人を味方につけて逃げます。逃げまくります。

上の文章だけでこの本の凄さが伝わるとは思っていません。この物語はやばいです。本格的ミステリーであり、キラキラ青春小説であり、心がキュっとなるラブストーリーであり、ハラハラドキドキのアドベンチャー要素もあり、社会風刺の要素もありと詰め込まれに詰め込まれてます。そして、全て読み終わったあと、スカッとする訳でもないです。必ず、なにか心の中に沸々としたものが残ると思います。それは人によって違うかもしれないけど、絶対読んでよかったと思えるはずです。是非。

ちなみに、タイトルの「ゴールデンスランバー」はビートルズの曲から来てます。読了後に聴くと、泣くぞ。



1位 『青の炎』貴志祐介(角川文庫)

はい、ついに一位です。
ここまで飛ばさずに読んでくれた人は何人いるのでしょうか。まあ、1位だけ読もうって人がいてもいいです。ありがとうございます。1位は個人的に飛び抜けてすごいので、気合入れて書きます。

すっごい手短に言いますと、この物語では、主人公が人を殺します。それも頭の悪い殺し方ではなく、綿密に慎重に、自然死に見せかけよるように、誰にも気づかれないように、警察の捜査もすり抜けられるように、完全犯罪を目指します。これまで、犯人を推理して突き止める側(コナンくん側、シャーロックホームズ側、櫻井翔側)が主人公の物語しか知らなかった僕にとって、人を殺す側(黒い影の人側)が主人公の物語は新鮮で、ドキドキハラハラが最高潮に達しました。むしろ、人を殺す側の方が、心情の変化の起伏が激しいので、読んでいる方も感情が強く揺さぶられてジェットコースターじゃ済みません。これからの人生、自分が誰かを殺す経験なんてゼロですから(当たり前)、この小説を読めば誰かを殺した経験が合法的に手に入る点で、お得ですね。(?)

ちょっと勘違いしてほしくないのは、この主人公、人を殺すんですが、全然サイコパスじゃないんです!むしろ、家族想いの心優しい普通の高校生の男の子。だからこそ感情移入もしやすいのですが、人を殺したあと、普通の男の子がどのように変わっていってしまうのかもみどころです。そして、急なんですけど、めちゃくちゃ濃度の高い青春ラブストーリーが物語の中にぶっ込んでくるし、興奮しますよ。

あれ?物語のあらすじ全然書いてなくね?って思った人います?そうですね、あらすじ書いちゃうとほぼネタバレになっちゃいそうで怖いんです。これだけは言えるってこと言いますと、主人公が最初に人を殺した時点で、本の残りのページ数どれだけあると思います?うん、半分以上ページが残ってるんですよね。

え?!?!いま、人殺しましたけど!?完全犯罪達成しましたけど!!??クライマックス感出てますけど?!?この人殺すためにかなり準備してきて、読んでいるこちら側もかなりの体力消費しましたけど、まだそんなに物語続くんですか!!!??ええ??嫌な予感しかしないんですけど!!

ってなりました。やばいです。濃すぎる。

この本に出会ったのは、浪人期の9月。勉強もなんだかやる気出なくなってきちゃって本ばっかり読んでました。[後味の悪い小説]と検索して見つけたのがこの本です。伊坂幸太郎とか後味の良い作品ばかり読みがちだったので、後味の悪いものも読みたいと思って探してました。そしたらこんなやばい本見つけちゃった。中身こんなエグい話だと思わなかったので、予備校の自習室とかで読んでましたが、途中から、こんなやばい本、こんなとこで読んで大丈夫??って感じで、現実世界の自分の心臓の鼓動もなんだかめちゃくちゃ速くなって、時々無意味に周り見渡して大丈夫か確認しながら読んでました。

でも、読み終わった後、僕は個人的にスッキリしました。後味は悪くなかった。確かに、切ない結末ではある。切ない、切なすぎるけど、なんだろう、恐ろしく爽やかで、死ぬほど気持ちがいい終わり方でした。こんな体験この本以外にできない気がします。人を殺す予定のない方、是非読んでください。万が一、人を殺す予定のある方、""絶対""読んでください。予行練習です。人を殺すとどうなるのか教えてくれると思います。

感情が一番強く揺さぶられたという点で、一位に選びました。とってもおすすめ。

最後に、

浪人生へ
これを読んでる浪人生いるのかな?知らないけど、もしこれを読んでいるあなたが浪人生だったときのために書きます。浪人1年間長いです。いま、大学入って振り返ってみたら、あっという間だったなって思うこともあるけど、やっぱり浪人生の一年は特に大きな刺激もなくて勉強漬けで、長く感じます。個人的には浪人中、一年長いな〜って感じてました。特に8月、9月なんて、最初の頃の悔しい気持ちから湧き出るやる気も薄れてきて、予備校とかでの生活も慣れて、かといって本番まで微妙に長い時間が残されていて、受験勉強に本腰が入らない時期かもしれないです。うん、そんなときは小説読もうや!!現代文の勉強だと思ったらつまらんくなるから、何も考えず、暇つぶし程度にね。「あんた、なんでこんな時期に小説なんて読んどるの?」って誰かに言われた時だけ「これも現代文の受験勉強やし、これ今年の共通テスト出るげんて、邪魔せんといてや」って返そう。紙の本なら、スマホと違って罪悪感もないでしょ。

個人的に浪人一年経験した身として、浪人生にとって一番大切だと感じたのは「勉強すること」じゃないです。「先生の話をしっかり聞くこと」でも、「禁欲すること」でもない。とにかく、なにがなんでも、生きて、試験当日まで生きのびて、試験を受けることです。どんだけがんばって勉強したところで、途中で全部放り投げて、試験を受けることができない事態になるのが最悪です。それよりも、途中少しダラけたり脱線してもいいから、1月、2月の試験を受けてください。そんな気張らず過ごそうや。どうせ、受験直前にはみんな焦るし、みんな焦って勉強してるの見てたらこっちもやる気出てくるし、そんなもんよ。大丈夫。人生、生きてさえいればなんとかなるもん。

最後、趣旨ずれちゃった気するけど、僕のお気に入り小説紹介でした。大学入って小説読むペースが落ちちゃったのが少し悲しいです。そう考えると浪人期は時間いっぱいあって贅沢だったのかな、とも思います。

これを読んでる大学生!!
夏休み暇か?小説読もうや!!

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