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「百歳」 柴田トヨ



「ねえ きっといい風が吹いてきますよ」



「百歳」 柴田トヨ



柴田トヨさんの「くじけないで」
を読んで、こんなことを書きました。

〝気持ちいい風が、自然と空虚な心に
吹いてきて、ひだまりの中にいるような
あったかさを感じるのです。〟


「百歳」を読み終わったあとも、この
「気持ちいい風」が心の中をゆっくり
撫でて通り過ぎてゆきました。


縁側でおばあちゃんのそばにいて
うたた寝をしているような、そんな
なつかしく、あたたかく、気がつけば
となりにおばあちゃんがいなくて、
自然と涙のあとがついていて・・・


むずかしい言葉なんてひとつもありません。
なのにこんなに深く心が震えるのでしょう。


トヨさんの人生が熟成され、
芳醇なまろやかさが、言葉
にのり、心の中に長い長い
余韻を残します。


その余韻は心地良い風になって、
心の奥深くに届きます。


この詩集には、東日本大震災の
被災者の方々に向けて、また
振り込め詐欺の被害者の方に
向けての詩がありました。


いずれも、「くじけないで」と
メッセージを贈っています。

道 (あなたにー)

好きな道なら
でこぼこ道だって
歩いて行けるわ
辛くなったら
少し休んで 空を見て
まっすぐ
歩いて行くのよ
付いてくるわよ
あなたの影が
がんばれって
言いながら
流行

世界の何処かで
今も 戦争が起こっている
日本の何処かで
いじめも起きている
やさしさの
インフルエンザが
流行しないかしら
思いやりの症状が
まんえんすればいい


トヨさん、ありがとうございました。
僕もこんなふうになったらいいなと
願いました。



【出典】

「百歳」 柴田トヨ 飛鳥新社


いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。