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映画感想:インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(ネタバレ有り)

 僕はさほどインディ・ジョーンズという映画シリーズに対する熱量が無いと思っていたのだが、それでもこれまでに作られた四作がどういう映画で、あの場面が面白くて、あの場面が子供の頃トラウマだった、というのを克明に覚えていることに気付いた。それほど偉大な映画シリーズだったのだなあと今になって感じたので、今作を観に行くことに。

 結論は、とても面白かったです。ただ、やっぱり僕自身に熱量がそこまで無いのと、今作がそもそも老境に入り、時代に追いつけなくて取り残されそうになっているインディの話だったので、テンションはそこまで上がらなかった。
 そういう話だからと言われればそれまでだが、全シリーズにあった砂漠やジャングルでのワクワクするような冒険が無かったのはやっぱり残念。それっぽいシーンもお約束的にあったのはあったし、つまらなくはなかったけど、大して目新しさも無かったので、楽しさ満載のアクションは過去作の方が優れていたと思う。それだけスピルバーグが凄いということなのかもしれないが。(僕は世間的になんとなく評判の悪いクリスタルスカルも好き)

 でも、さすがジェームズ・マンゴールドというか、人間ドラマの部分はとても良かったです。てっきり、『LOGAN/ローガン』の時みたいに古いアメリカというもの(映画自体のメタファーでもある)を冷淡に突き放して描くのかと思いきや、それを要所要所で見せつつも、最後にはインディに居場所を与えて冒険はまだまだ終わらないよ、という結末にしたのは感動した。全体的に平坦な印象でも、終わり良ければすべて良し。タイムトラベルが絡んできた時点で、またこのネタか……と少々身構えたのだが(最近そういうのばっかりだったので)、インディを歴史に取り残さないように、過去に生きないようにと、現実に、現代に戻って来させ、息子を失った悲しみと、疎遠になっていたマリオンと向き合わせてくれたので、心の中で思わず「ありがとう……」と呟いた。インディというヒーローを歴史に埋もれさせないというド直球のメタファーだったが、あの結末が何よりも素晴らしかったので、それまでのそれっぽいお約束が続く平坦な印象など吹き飛んでしまった。最後に、あのメインテーマが高らかに鳴り響いた瞬間、インディというヒーローの最後の花道を見ることができて良かったなあとしみじみ思った。

 結果として、ジェームズ・マンゴールドへの信頼度が上がった作品でした。DC映画には愛想が付き始めてきたが、新体制下で『スワンプシング』を監督するというので、それはそれで楽しみに待とうと思います。『LOGAN/ローガン』の時に、「シリーズの整合性だの繋がりだのガタガタ言ってくるようなら俺に監督させるのは間違いだぜ」という旨のことを言ってのけたジェームズ・マンゴールドが昔から監督を熱望していたというので、どれほどの作品になるのかが楽しみで仕方がない。

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