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子供なんて要らないと思ってた|エッセイ

私の場合の話です。子供を持つのも持たないのも個人の自由であることを前提に読んで下さい。


この人と生きていきたい

一緒にいるときの自分がとても自然だったから、夫と結婚しようと思った。
お互いが親への恨みを持っていて、結婚したものの子供はつくらない方針だった。
特に夫は反出生主義者。私も子供は要らないと思っていたし、夫婦2人で居られるだけで幸せを感じていた。

夫の家族を増やしたい

体調を崩した時、私がいなくなったら夫は誰のために生きていくんだろうと悲しくなったのをよく覚えている。私は夫を裏切らないし、夫もきっとそうだろう。夫は私以外の人間なんていなくてもいいと思ってるようで、それまではそれでよかった。でも…いつまでもこのまま、夫は私以外に心を開かないまま人生を終えていくの?と考えたら、涙が出てきた。自分勝手な理由だけど、夫の味方を増やしたいと思った。
そして、夫に子供が欲しいと打ち明けた。夫はきっと裏切られたと思っただろう。
こんな辛い世の中に生み出してしまったら子供が可哀想だ。生まれたくなかったと言われたら、なんて言って詫びればいいかわからないと泣いていた。子供に自分と同じ思いをさせたくなかったんだと思う。
恨まれたら謝ろう、苦しんでたら寄り添おう。できるだけのものを与えよう。産んで育ててやった、なんて頼まれてもないことを押し付けないようにしよう。この世に生み出すのは、私達の自己満足だ。

反出生主義者が親になった

結論をいうと、夫はすごくいい父親をしている。反出生主義の人は、親へ求めるハードルが高い。たまに息苦しさを感じるが、その分子供のことをよく考えていると思う。
私も夫も、親にしてほしかったことを子供にすることで、幼い頃の恨みを少しずつ昇華している。
ある日ぽつりと「息子はいいな、俺もこういう親が良かったよ」と呟いた夫を見て、夫の辛さが少しでもよくなったらいいなと祈った。
子供はすごく可愛い、育児も楽しめている。でもやっぱり根っこでは、夫のための家族だ。心の底でどう思ってるかはわからないが、夫は子供を可愛がっているので、きっと生きる理由の1つにはなっているはず。私の自己満足に家族を巻き込んで申し訳ないが、我が家はきっとこれでよかった。

こういう家族もあっていい

結婚する理由も、子供を持つ理由もなんだっていいんだと思う。みんなそれっぽい理由を欲しがるけれど、自分の子供に会いたい…ただそれだけで子を持ってもいいと思う。我が家もできるだけのものを子供に与えたいと思うが、私の両親も夫の両親も、私達に与えたものが精一杯だった。
手放しに生み育ててくれてありがとうとは言えないかもしれないが、ここに居てよかったとは思っている。
子供たちもそう思ってくれるならいいのだが、恨まれたとしてもしょうがない。それでも私は、夫と自分の子供に会いたかった。
生まれてきてくれてありがとう。あなた達に会えて、私はすごく幸せです。

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