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たくさんの人に育ててもらっている話

自分で産んで育てる以外は育児ではないと思っていた。

その意識がかわったのは最近だ。
以前、会社の仲良しの先輩が「自分だけで子供を育てているなんて思っちゃだめよ。保育園の先生も親も近所の人も、育児に関わってないように見える人も…。たくさんの人があなたの子供を育ててくれているよ」
と話してくれたが、その時はよくわからなかった。

実母とはあまり仲がいいとは言えず、里帰りせずに息子を産んだ。コロナ禍もあり、息子と母が会ったのは息子が走れるようになってからだ。義両親と息子が会ったのも2歳の頃。保育園や夫には感謝していたが、育児の大半は自分がしていると思い込んでいた。

子供の社会性が育ってきて、やっと先輩の言葉の意味がわかってきた。
まずは保育園の先生、しつけはしているつもりだったが「3つの指でスプーンを持つの。先生に教えてもらった」と息子が下からスプーンを持つようになっていた。
次は私の兄、誕生日プレゼントで服を買ってくれたのだが、ことあるごとに息子が「このかっこいい服ママのお兄ちゃんが買ってくれたやつ?かっこいいでしょ!」と言うようになった。
伯父に憧れていて、大きくなったら伯父のように自転車に乗ると言っている。

私だけで育児しているわけじゃないんだと気付くと、色んなことが見えるようになった。
息子と娘が無料で予防接種が打てるのは、税金を納めてくれる人達のおかげだし、私が育児休業している間仕事をしてくれる人がいるから、私は子供たちとゆっくり向き合うことができる。
アニメやゲームに関わる人も、私の息子を育ててくれている。子供も大人も夢中になれる素敵なものを世に出してくれて、本当にありがたい。
私に何も関係のない人たちですら、すれ違ったときに育児に関わっている。
ルールを守ってくれれば「ほら、みんなちゃんと横断歩道を守っているね」と息子に言い聞かせできるし、ルールを守ってなくても「あ!ルール破ってる!」と息子が気付くきっかけになる。

すべての人が、育児に関わってくれているのだ。

兄夫婦は子供がいない夫婦だ。もう結婚して15年以上になるはずだ。
兄たちは親にネグレクトされていた私を支えてくれた。服や本を買い与え、生活できるように家事を教えた。自立の力は兄夫婦から貰ったと言っても過言ではない。
その私が夫と結婚して、今では子供を育てている。

少し大げさかもしれないが、私が育てる2人の子供達は、私達に関わった全ての人が間接的に育ててくれているのだ。
若い頃はひとりで大人になったような気がしてたけど、視野を広く持てるようになれてよかった。

感謝の気持ちはできるだけ忘れないようにしたい。

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