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CHIMERA ~嵌合体~ 第二章/第四話 『変』        

パウル教祖 説法 動画資料(翻訳)


「我々、人類はその存在自体が罪で構成されている・・・・・・」

「摂食以外で同族を殺す生物がこの地球上に、他にいるだろうか。殺すのが目的で攻撃する動物が、他にいるだろうか。特に意味もなく同種を殺せる存在が、他にいるだろうか・・・・・・」

「原始の時代であれば、まだ我々はこの地球ほしと共存していたと言えるでしょう。どのような存在である対等だったとも言える・・・今はどうだ?余分に製造と商売のためだけに、”保険”として必要外の食料をも確保するために殺される動植物たち。分解しない物質と合成された液体や気体。汚染された大気と海。様々な『毒』で無暗に死にゆく動物や植物たち」

「ショップにキレイに並べられた『見た目のいい物』しか買われない世界『ルッキズム』。栄養価も味も全く変わらないのに、醜く歪んだというだけの植物は破棄され続けている。出荷、梱包のコストや人類の勝手な都合の時期、部位、利益にならない”もの”たち」

「廃棄物の処理にすらコストをかけたがらない。卵を産めないだけでミキサーで挽肉となるヒヨコの雄たち。ミルクの生成にだけと改良された乳牛。糸を出すだけとなった蚕。繁殖を奪われた種の無い果物たち。肝臓を肥大化させるために餌を喉が千切れるほど詰め込まれ、ゲージに縛り付けられ埋められ育てられるアヒルやガチョウ・・・・・・」

「現代に限った話ではない。世界中で人類の都合が合わずに惨殺が行われてきた『口減らし』『堕胎』『Deformitätデフォミティ』などの多くの歴史・・・・・・」

「何の権利があり、命を奪うのか。何の権利があり、その優劣を付けるのか。何の罪もない命が、なぜ奪われなければいけなかったのか。誰か答えられるか?生かされる為だけに殺される命があっていいのだろうか?弱肉強食ではなく『弱殺強悦』ではないだろうか?一部の人間の保身と安全、安心のために殺される。そんな世界が正しいのか?こんな生物が崇高か?どこが万物の霊長だ?!」

「我々は罪人であり、その自覚を持たなければならない。その自覚もなく搾取を続けている者たちは大罪であり、地獄へと落ちるであろう。産業革命を生み出した現代の罪人たちに制裁を!」

デフォミティこそが神に近い存在なのだ。デフォミティこそ神に選ばれた存在であり、神に選ばれし者達は幸福である。そのハンディキャップは神からのメッセージである。乗り越え生きることで必ず天国へと誘われるであろう。神からのメッセージを読み解くのだ。神のお告げは我々の言葉で語りかけてはくれない・・・自然の事象として、メッセージを残してこられるのだ。そう、君たちがそのように存在しているかのように、君たち自身がその事象の一部なのだ」



パウル教祖 説法 動画資料(翻訳)②


「神の教え、試練を与えてもらえなかった不運で哀れな人々よ・・・神は慈悲深いお方です。神は仰っています。試練は自ら課すことも可能であると」

「欲張ってはいけません。怠けてはいけません。疑心であってはいけません。不安に思ってはいけません。嫉んではいけません。比べてはいけません。欺いてはいけません」

「優位性を感じたなら、降りなさい。余裕があれば、分け与えなさい。余分を持ってはいけません。動けるのなら精一杯、動きなさい。考えれるのなら、人の分まで考えなさい。見て、聞いて、喋れて、感じれるのならそれを怠けずフル活用しなさい」

「人類の歴史が全て物語っています。保身や安全、安心が欲しくて武器や兵器を欲しがる。それが大虐殺へと攻撃に使う。緩衝地という名目で、自分達以外の人種、人が奴隷となり戦わせお互いに殺し合わせている。そして反乱を呼び自滅していく」

「自分達”だけ”が安全ならいい、自分の所”だけ”が平和ならいい。自分”だけ”が痛くなければいい。自分の家”だけ”が安泰ならいい・・・・・・」

「自分は如何にして楽ができて、そして如何に金を貰い、食料を貰う。その分、他者が苦労し貧困する。それを、自分とは無関係だからと傍観しているだけが無実だと勘違いをしている。そんなことを神が許されるわけがない」

「もう、畏き者ならお解りでしょう。現代の大半が許されざる罪に溢れています。護身用の銃のために、無実な子供が死んでいます。資本に乗っ取り、経済と企業の余裕のために、貧困が生まれ多くの人が餓死や栄養失調で死んでいます。多くの資産家の娯楽のために、多くの強制労働者が搾取されています。家族を守るために、別の家族が絶滅しています。自身が搾取される側にならないために、他者を捧げています」

「個々の力は微々たるものです。弱者を救済をせよとは言いません。ただ、自らが知らざる罪を犯さないように精進しなければなりません。精進するために、日々の修行をしなければなりません。修行をするために、余裕や余分を捨てなければなりません。無駄を無くしなさい。無意味を消しなさい。無暗な心とものに侵されないために、自らの手で捨てなさい、それが全ての始まりです・・・・・・」



午後のニュース


「約三年もの間、一人の女性が登山へと向かい行方不明となっていたのですが、先日発見され無事に保護されました」

「行方不明となっていた女性の名前は『江頭 京子』さん。32歳」

「彼女は『ハイランダー症候群』という非常に稀な奇病を患っていて、見た目はまるで小学生のように見えますが、大人の女性です」

「彼女の証言によりますと、登山に向かった山のふもとにある『摂政の真理』という宗教団体に拉致されていたと供述しています」

「『摂政の真理』とは新興宗教でして、関係者の調べによりますと『ディグ・ニダ教』から分派し新たに設立したばかりの教団らしく、関係性や経緯を捜査していますが未だに教団側は黙秘を続けています」

「ハイランダー症候群とは、体内の細胞の分裂が活発に働き一定の年齢からその後『老化しない』という症状でして、世界的にも稀なケースのため治療法はおろか、難病指定すら難しい状態です」

「日本国内ではこの症状の患者は京子さんただ一人でして、行方不明となった三年前にも話題となりました」

「とにかく、当局では一時も早く心身ともに休養しご家族との安心した時間を過ごして頂き、ご回復を心より願っています」



Michelle Miller(ミシェル・ミラー)
Diary(日記)


November 20 「survival」


 私が意識を取り戻してみると、そこは病院のベットの上でした。
 あれから何があったのか、記憶が曖昧でタケダの最後の顔までは思い出せてきたのだが・・・・・・

 どうやら私は全身に重度の怪我を負ったらしく緊急入院されて一か月以上意識不明だったそうだ・・・・・・
 最初に気が付いてからも、何度もなんども、意識を失うように眠っていた。

 看護師に話を聞いた所、車での事故で頭蓋骨にヒビが入る程の頭部への打撲創で、それによる一時的な記憶障害だそうだ。

 顔や手も損傷していて、これを書いている現在もまだ包帯でぐるぐる巻きのミイラ状態。なんとか通常の意識が保たれるようになり、今ではなんとか食事も可能だ。まだ流動食だけど・・・・・・

 現在の回復状態にまでなった所で、この日記を持ってきてもらう様にお願いして一通り読み終わったところ。
 日記に書かれている部分はなんとなくだが、部分的な場面がフラッシュバックのように思い出せてきた。在日米軍として配属され、父親を捜しに日本へきたところからの、特に最近の記憶が部分的で場面、ビジョンが点だけで線で繋がっていかない。つまりまだ思い出せていないシーンが多くあるからだろう。日記に書かれている所まではなんとか思い出しつつある。しかしまだ釈然としないのだが自分の拙い筆跡で書かれている訳だし事実なんだろうと、納得しながら読んでいるような状態だ。心でじゃなく頭で理解していく、そんな感覚。

 オリバーとその後は・・・どうなった・・・・・・

 森の奥深くのいかにも怪しい研究所の警備と、訳の分からない生物の生け捕り及び討伐に駆り出されて・・・という漠然とした感覚も分かるようになってきた。

 この日記の最後、タケダという人物に助けられて、その人物の顔までも思い出してきたのだが、なぜだかオリバーの姿や形、顔といったものが特に不鮮明だ・・・少し恐怖感すら感じる。まるで脳が拒否しているかのように・・・・・・
 


 NOV. 21


 また熱が上がってきた。今日は安静にしておこうと思う。


 NOV. 24 「parts」


 毎日、何度も顔や頭、腕などの包帯を交換してくれている。
 事故で左手の小指と人差し指を失ったらしい。その私の”部品パーツ”は見つからず、繋げることは出来なかったらしい・・・・・・

 大手術が必要だったらしく、私の意識が回復してからはずっと鏡を見ていない。私の顔や身体はどうなっているのだろうか。
 今日、いつもの看護師に聞いてみると回答は濁らされた。担当医が病室まで見回り回診に聞くと

「もっと回復してからにしましょう」
 とのことだ。

 まだ手術が必要だそうで、術後の状態を見て医者が指示を出すことになっている。意識は現在、これを書けるほどなのだが何が必要なんだろうか。

 不安だ・・・・・・


 NOV. 25 「feed」


 今日は日本の警察から事情聴取があった。

 日記を読む限り、誰も信用できない。だからまだずっと記憶が無いフリをしていたけど・・・・・・
 そもそもこの日記を私が意識を失っているあいだに誰も、どの機関の人間も読まなかったのか?

 この病院のバックがどこかにもよる・・・国営か?私営か?

 場合によればまた逃げ出さなくてはならない。身元がバレるようなものは持っては居なかったが国営である警察が来たということは身元を調べられるのは時間の問題だろう。

 いや・・・・・・

 乗っていたのは、そして事故をした車は軍用車両だった。それに兵士が一人で持てる分の銃や弾薬を持参していたわけだし、すでに身バレしていると考えておいた方がいいし、この日記も確実に一定数の人間に読まれているはずよね。

 やっぱり、『泳がされている』

 間違いない。この日記はどこか隠しておくことにする。

 




○○○○年
 〇月 〇日

所 長 Ilya Ivanov 殿 

報告者 Gordon G. Gallup

捜索報告書


⑴ 浅倉被疑者と実験体X-3の捜索
 例の宗教団体の各拠点には見張りを付けている状態。今のところ目立った動きはしていない。何名かを教団内へスパイとして送り込んではいるものの、確信まではいけていない模様。潜入捜査員が深部までには時間が要する。
 強行のタイミングを引き続き指示を待つ。


⑵ Michelle Miller二等兵
 ○○県にて事故を起こし重体。一命は取り留めているものの、○○県○○病院で入院中ということが警察機関から報告が入る。担当医、及び病院内への情報操作に入る許可を求む。
 軍事病院へと転院させるか、現在入院中の私立病院にて確保とするか。当病院の方針次第で判断する。
 ミッシェル元隊員の日記を一度回収済み。当人は引き続き”おとり”として、警察関係者の誰があの日記を見たか。そしてその既読者本人の真意も確認していきたい。日記に記載のタケダ隊員の質疑も追って報告する。


⑶ 実験体C´(オリバー)
 カルト集落、残党への尋問をするも実験体オリバーのその後は不明。
 上記、事故現場では入院中並びに関係者の証言では重症のミッシェル以外の目撃は無い状況。事故車は警察の調べが完了し次第、押収予定。回収後、車内に残された体毛等の組織の収拾と解析をし明かとしたい。
 ミシェル元隊員の日記記述では最終まで同行していたと記載がある。
 現在は単独逃走の線を追っている。樹海の捜索は継続されたし。





分析科長 近藤 紀子 映像記録日誌⑧


◉REC

⑶追加された別途保管されている霊長類ヒューマンジー等の検体と遺伝子情報

これは・・・・・・

中央アジア《SRC》から輸入したチンパンジー種のDNAに、サル痘エムポックスウイルス』が検出された・・・・・・

しかも
このウイルスのDNA構造は明らかに組み換えられている!
いや、そもそも敵対しているSRCからなぜ検体提出されているの??

・・・・・・

これらに関しては私たちの専門分野でもあり、世界トップクラスを自負しているのだが・・・いや、そんな巧妙に作られた訳でもないので一般知識さえあれば解る程度の状態だった。
ウイルスが人工的かどうかはゲノム解析しなくても解ることよ。

エムポックス遺伝子は二重構造で、更にコードが断片的なのが所謂「天然物」だ。
人工的に作られた場合、しかも簡易にするにはリンカ―断片をリカーゼ酵素でつなぎ合わせていき、作り手の都合に合わせたベクターを既存の断片と繋いでいく。

ベースとなるのはマクロファージや大腸菌が主に使われていて、断片をリング状にした『環状DNA』が作業コストを画期的に進歩したの。
つまり、”偽装”せずに低コスト、低効率で人工ウイルスを作った場合、環状DNAを見れば一目で解るってこと。
なので、このエムポックスは環状で明らかに人工的なのは確定だわ。

『どこかの誰かが意図的に作り日本に送り込んだ』??

一応、NHOへ報告するかしないかは、上に任せるわ。




○○○○年
 〇月 〇日

所 長 Ilya Ivanov 殿 

記述者 近藤 紀子

Monkeypox Chimera Virus
Report

記 

①特徴

 検体ゼロからサル痘エムポックスが発生。
 サル痘エムポックスのDNAをベースに、トキソプラズマ原虫を媒介として自身のDNA構造を変異させる。
 一定の潜伏期間、げっ歯類などの哺乳類を経由し原虫の性質を利用。この変異したマイコキメプラズマに感染した哺乳類は人類に対して積極的な接触を図る。
 マイコキメプラズマをシストした哺乳類に接触したヒトはオーシスト、もしくはその哺乳類を十分な加熱処理せずにシストした哺乳類の血肉を口径接種すると、ヒト体内にてシストし原虫内に潜んでいるエムポックス・キメラ・ウイルス(Monkeypox Chimera Virus)※以下、キメラウイルス(CHIMERA VIRUS)とする
がマイコキメプラズマ内から離脱し次の媒体(ヒト)へ意向し増殖しようと猛威を振るう。


②影響

 マイコキメプラズマに感染した哺乳類がヒトとの接触方法は種により様々なアプローチを見せる。

例1(友好的)
ヒトを認識下(ペットや家畜としてヒトに近い種)であれば好意的に接近し、通常以上にスキンシップを図ろうとする。

例2(戦意的)
ヒトを不認識、もしくは敵対して警戒意識が高い種の場合は攻撃的となり積極的にヒトを襲う

例3(欲情的)
性的なアプローチへと混同し性行為として感染を図ろうとする。

どのパターンも原虫や回虫類に見られる洗脳マインドコントロールにて脳内分泌物質を操作し無意識化での行動を取らせている。
例2でのヒトへの危険性が広がることが懸念される。

現状でどの経緯を辿ろうがヒトにキメラウイルスに感染すると致死率は比較的高く、60%前後。
現在ではヒトヒト感染にまでは至っていはいないが、変異するには時間の問題だと思われる。一刻も早くペットや家畜類などの規制や取り締まりの強化を検討されたし。


③出生

日本国内でのグランド・ゼロ地点は○○県とその周辺。至急ロックダウン要。
しかし、本研究所へ輸入された実験体のうちSRCエリアからウイルスの元と思われるエムポックスを発見。そのウイルスは「人工的」に作られた可能性が高い。ワクチン制作としての血清等と研究としてSRC側への協力要請が必要と思われる。そのデータもメールにて送信。
実験体への影響はこのエムポックスでの反応は無かった。無症状保菌者状態を維持できていると思われる。この部分も遺伝子操作されている。
過去の死亡した実験体にこのウイルスが影響していたかどうかは現在調べ中。追って報告します。





○○○○年
 〇月 〇日

将 官  牟田口 准将

始末書

この度は我が隊による「Michelle Miller元二等兵」逃亡の加担をしたと思われる二等兵2名、三等兵1名の不始末、誠に申し訳ございませんでした。

ミシェル元二等兵が処分精査中、謹慎中に当三名は被疑者への助力だけでなく嘘の供述や捜査の妨害にまで及び組織の形態、事態の拡大にまで発展させる結果となりました。

当三名は一人は除名、二名は中東の駐屯地へと部署異動を致しましたことを報告と共に謝罪の意を表したいと思います。

今後は警備体制の強化と問題がある兵士への監視、管理体制も見直しこのような事態が二度と起きないように尽力したいと思います。

以上。




○○○○年
 〇月 〇日

所 長 Ilya Ivanov 殿 

報告者 Gordon G. Gallup

Michelle Miller元隊員 捜索報告書

・Michelle Miller消失

某病院にて入院中だったミシェルですが、事務処理や裏工作を完了させ当派遣部隊を向かわせましたが忽然と消えたそうです。

容体
医療カルテを確認したところミシェルは何者かに襲われ、左指数本、左眼球、頬、唇、耳といった部位を「食われた」ような形式があり。この「何者か」とは同行していた実験体X-2オリバーではないかと推測される。
それが原因で事故を起こし頭部も強打。それらの影響で一時的な記憶障害が生じていた。最終診断記録にも記憶が戻ったという記述はない。

動機
入院後、二度目の皮膚移植手術が終了したばかりの状態でもあり単独での行動、逃亡、ではないと見ている。
例のカルト教団組織が一足早く動いたのかもしれない。

補足
ミシェル逃亡の手助けをしたと見られるもう一人の人物
武田 悟たけだ さとる」も三日前から行方が不明。
彼はミシェルがカルト集落から逃げ出せた後の逃亡に手を貸した人物で、彼の母親である「武田 園子たけだ そのこ」氏は軍の元情報部隊に所属。機密事項までは掌握していないと思われるがミシェルの日記では軍へのなんらかの疑念を持っている危険因子である。
今回のミシェル逃亡の関連性の有無は現在調査中で、武田一等兵の行方も捜索対象とする。




朝のワイドショー『グッド・モンチー』


「昨日未明、国内にて新たに発生したウイルス『サル痘』に感染していた男性が、都内の病院にて死亡が確認されました」

「サル痘とは昔、日本で流行した『天然痘』に似た発疹が発症するウイルスなのですが、元々、人間には感染しない種のものでした」

「1970年頃、初めて人間の感染が発見されてからはアフリカと中国の一部地域、限定的な範囲での萬栄の留まっていたのですが、近年、その広がりを見せています」

「症状としましては、発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が5日程度続き、発熱3日後に発疹が出現。皮疹は顔や手や足に多く現われ、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となります」

「人から人への感染事例は少なく、ネズミ等のげっ歯類と接触及び濃厚接触をしない限り感染はしないということで、WHOもエボラウイルスや天然痘などのバイオセキュリティーレベルBSL-4のところ、サル痘ウイルスはBSL-1という判断ですが、今回お亡くなりになられた方は海外への渡航は一切していませんでした」

「NWO及び各種専門家は、今回の感染経路を調べると共に国内全国民への無暗な動物との接触、特にハムスターやリス、イタチといった比較的小さな哺乳類には近づかず触らないように呼びかけています」



無線音声データ Xバンド8.2GHz


ガガッ・・・《・・・こちらE地点、ターゲットと思わしき人物がE居住地から黒のキャデラックの乗り込みました。尾行しますか?》
ザザッ・・・「・・・了解、追ってくれ」

ガッ・・・《・・・こちらK地点、怪しい人物がK建物から逃走。尾行します》
「了解」

ザザッ・・・《・・・B地点、こちらも同じく女性一名と子供と思われる一名が移動。追いかけますか?》
「・・・・・・」

《G地点、同じく・・・》《J地点も移動・・・》《D地点も・・・》・・・・・・





○○○○年
 〇月 〇日

所 長 Ilya Ivanov 殿 

報告者 Gordon G. Gallup

浅倉 祥子 捜索報告書

・カルト教団「ディグ・ニダ正教」

 
東京から名古屋にかけて各地に点在しているディグ・ニダの本部から各支部において、ターゲットである「浅倉」の捜索及び確保のため全拠点に張り込みをし目標の奪取の機を伺っていた。
 某日、一斉にまるでタイミングを取り決めたかのように、ターゲットである浅倉+実験体X-3(アルバート)らしき風貌のobjが逃亡を開始した。
 突入の指示を待っていた職員及び警備隊、派遣軍は教団の施設内部での確保を必要としない外部での確保のチャンスだと判断し、逃亡者を追って見事全員の教団員を確保したが、その中に浅倉とアルバートは居なかった。
 その後、各支部へ張り込みを開始するが各拠点は本部だけを残し次々と廃止及び閉団していき存在を消していった。


・教団内部へ送り込んだ当職員

 教団の各支部が消えていくと同時に潜入させていた諜報員の連絡も途絶える。最後の連絡では海外への拠点、及び居住地の移住もあるとの報告あり。
 何らかの方法でobj+被疑者も海外へ逃亡した可能性も視野に入れる必要がある。


・捕らえた教団員

 各拠点で確保した偽Xー2+浅倉は頑なに黙秘を貫いている。終始、悪態の言動しか見られず任意での聴取も限界が来て釈放を余儀なくされている状態。何らかの圧力と理由の設立など、急を要望したい。
 一応にそれぞれの身元、人物像は掌握した状態で彼女らやその付き添い人などの釈放はしている。通信系統は傍受し随時チェック体制は整えています。


追記
 当教団は現在、新規信者の募集はしていない状況。新たにスパイ要因を送り込むルートは第二世、三世信者の友人、知人を介して送り込む。比較的、若い諜報員となりその許可と審議も含め進言致します。




数年後……




○○○○年
 〇月 〇日

所 長 Ilya Ivanov 殿 

記述者 近藤 紀子

Micro Chimera Plasma
Report

記 

⑴動物実験結果
・ペット下や飼育環境にある動物の場合は以前にも記したように愛着行動が過剰になり、唾液などの接触感染の誘発やオーシスト、ノミや蚊など吸血種を媒介とし宿主の無意識化において、ドーパミンやエストロゲンが過剰に分泌。ある程度の知能生命体の場合、明確な行動の支配、マインドコントロールまでには至らないが脳内分泌物質操作により一定の感情操作が可能となる。

・野生下や成長過程、種によってはヒトに対して攻撃的、敵対行の反応を示す。ドーパミンに加えセロトニンの生成量が変化。概ね、大半の種で幼児期では保護本能によりヒトであっても愛着行動を継続するが、各動物年齢での成熟期に入ると攻撃的になり主に噛みつきや捕食行動、一般的な類人猿、ゴリラやチンパンジーでは性的アピールである対象に糞尿を投げ飛ばすという攻撃性と愛着行動のその両方が顕著に見られる。

⑵実験体における⑴の結果
クローン生成したモスマンの分裂体A、B』

・Aはそのままマイコキメプラズマごとクローン化。既存実験体と同じく自身よりも大きな個体へ例の「ホカホカ」行動が見られる。小さな個体へは捕食、並びに攻撃的対象。
・Bはマイコキメプラズマ感染を除去した個体を生成。結果「ホカホカ」
行動は見られなかった。

『歴代ヒューマンジーと第三世代』

・第三世代同士(保菌者同士)では特に攻愛ともに行動なし。
 無感染実験体やその他、哺乳類には過去と同様、積極性を発揮。これらから解るように、前回の大きな失敗原因としてはB体とE体に含まれるマイコキメプラズマの繁殖能力、洗脳能力が大きな要因、引き金となり無差別的な性行動と繁殖本能、攻撃的な捕食行動に至ったと考えられる。
 それに加え更に、繁殖力の強化の観点からトランスジェニックマウスから着想を得たトランスジェニックモンキーの生成。その遺伝子を活用した種による多様性も原因の一つだとも言える。

エムポックスサル痘キメラウイルスとの関係性』

 まだキメラウイルスについて全て解明はできていませんが、また追って報告致します。
 現時点で言えることは、人工的に作られたこのエムポックスはSRCからの検体から検出されていて、その元データが必須です。
 繁殖としての殆どの部分は上記マイコキメプラズマに現状は依存している。いわば『完全共存』の状態であり不活性時の潜伏媒体としての役割も果たしている。故にこのウイルス根絶の可能性は低い。
 繁殖の制限ではなく攻撃的毒素の緩和を視野に入れた『人類とも共存』の方向性で研究を続けるしか現状では解決方法が無い。ワクチン及び特効薬の制作にはやはり元データが必要となる。



場 所:極秘
日 時:令和○○年〇〇月〇〇日
出席者:極秘

mission execution meeting
議事録


議題:計画、実験、捜索の推移の決定

決議事項
1、計画の実行。
メディアを使い情報操作をし事態の収束を待つ。

2、実験の開始。
既存研究所を完全消滅し拠点を北陸地方へと移す。

3、徹底的な捜索。
浅倉を始め実験体X-2の確保に徹底注力。公安の外事警察に協力を引き続き得る。


討議事項

⑴計画の実行
・カルト教団『ディグ・ニダ正教』の収束と掌握が完了したため、プランBの実行。元凶の主犯をディグ・ニダ教の全面的な悪行と各メディアを使い印象操作をし、国家、並び軍事的行動や調査、国際問題などの体裁を保ちつつ研究を継続していく方針で決議。

⑵実験の開始
⑴上記をふまえ、北地での研究を次世代へとX-3(カブラ)や残された検体やDNAを使い発展させていく。
 内地での研究は本件で発生したキメラウイルスワクチンの制作。
 軍事として、実験体C´(オリバー)の討伐と表して未だに逃げ続けている浅倉、実験体X-2(アルバート)の捜索に重点を置き、オリバーはその軍隊出動の「必要悪」としての役割を担ってもらうために監視しつつも放置的処置とする。

⑶逃亡者の捜索
⑵上記をふまえ、国内では一斉捜査を開始。陸軍「チヨダ」の再要請。海外逃亡も視野に入れ引き続き公安外事、海保への圧力の維持。


会議音声データ 日本語翻訳版


※音声変換しておりますが、拝聴後は各自データ削除お願いします。

「例の教団員の徹底排除は大丈夫かね?」

「はい、少なくとも国内に残された団員は全て我々の管轄内でございます」

「・・・表層的な数字や結果で言っているのではない。ヒューミントとして間違いないのかね?」

「大丈夫です、○○上院議員殿。現在では大半の教団幹部は我々の職員で構成されています。残るは教祖であるパウル氏と一部の海外支部だけですが、パウル氏もほぼ”公開処刑”の準備は完了しております。後は機を待つのみ、です」

「公開処刑?日本人ではない犯罪者を日本国内で自由に処罰できるのかね?」

「正式には当然できません。・・・将軍、皆に説明したまえ」

「はい。ではまず、処刑、と言いましても我々や警察、裁判所といった国営施設団体が手を下すことはありません。この『ディグ・ニダ教』とは皆様もご存知なように、なかなかの裏社会に溶け込んだ団体でもありまして、彼らの密売する武器や合成ドラッグなどの縄張りや取引相手の関係上、敵対組織はごまんといます。彼らに引き渡せば喜んで公開処刑を条件に執行してくれると思われますし、この団体に洗脳されたご息女の中にはけっこうな財閥家の御父上の方も何人もいらっしゃいます。パウル氏が教団内で行っていた所業を丁寧にお伝えすれば、彼らの力をお借りすることも容易いかと」

「・・・なるほど」

「後、現段階でみなさまの疑問の中には『なぜまだ実行しないのか』と思われている方々もいらっしゃるかと思いますので先に説明させて頂きます。現状、この計画、研究においてもはや重要では無くなってはいますが”危険因子”として行方を追っている『浅倉 祥子』と『実験体X-2』の取引、身元引き渡し交換条件としての価値がまだこのパウル氏にはありますので、執行は利用価値がなくなった時点で執行したいと考えております」

「・・・うむ、分かった」

「現在、引き続き陸軍特殊部隊の別班「チヨダ」を編成し公安の外事警察と連携しながらターゲットを国内外共に追っています」

「研究と我々との接点がおおやけになることはないかね?」

「はい。そちらはすでにメディアへの指示にて当初から誘導が出来ていまいて、一部の陰謀論者やネットでは図らずとも逃げ出した実験体B´や彼ら元々の信仰である『奇形信仰』により概ね教団へ疑いが世論で支配的となっています。教団員や反日勢力が今更、真実や”逆にでっち上げ”をどう謳おうが、もはや状況は変わらないでしょう。一部、過去の実験体の写真も所長の許可も得たうえで”リーク”しましたので、その情報も”教団の研究資料”としてしっかり独り歩きしています」

「そこはしっかりしてくれたまえよ」

「はい。滞りなく」

「・・・で、その例の団体の掌握が可能になったのに、なぜホシは捕まえられないんだ?」

「潜入捜査させていた職員からの報告では、この教団のバックアップ及び商業利用している組織に守られる形となっているようで、かなりその先は難攻しております」

「・・・我々のグループに属していない組織、ということかね?そこは」

「・・・はい、恐らく。ここまで手ごわいとなれば、反対組織かテログループのどれかかと」

「そこはこれからの課題だな」

「まぁしかし、これから考えられることでしたら浅倉が持っている情報と実験体X-2による|last battalion enemies《ラスト バタリオン エネミーズ》ですが、設備、専門家及び知識、何より”軍資金”の差で我々が圧倒します。そのような最悪のケースに陥ったとしても勢力図は微動だにしないでしょう。一部の党首、リーダー、外交官などはその展開の方が”都合がいい”と仰られる方々もいらっしゃいまして、その点はまた更に”上層会議”にてご決いただければと・・・・・・」

「・・・・・・」

「そもそも、そのような組織に構っていたり、さっきの宗教団体もわざわざ掌握する必要はあったのかね?捨て置けばよかっただろう。そうして変な予算を使おうとしているのではないのかね??」

「・・・今回の事件にて何人もの信者を尋問や逆洗脳し使い捨てスパイ要員としての教育をと考え、捕らえていたりしていたのですがここ数か月以内で捕らえた女性信者の数十人が身籠っていまして、”半数”が無事出産をしました。が・・・その全てが『奇形児』にて、その出で立ちはまるで我々のヒューマンジー実験体の面々と似通った外見や特徴を有しております。現在はそれらの解明やDNA分析の結果待ちでございます」

「浅倉が、もう勝手に独自で実験を再開していたということかね?」

「いえ、それは有り得ないと考えられます。我々と同じ設備や実験データ、ナノテクノロジーAI等が既にあったのであれば別ですが、彼女が逃亡してからこの二年弱でそれらを整えれるとは思えません。そう思える根拠としましては、国内での事例としてそのような規模の金の動きや物流は無かったことにあります。そういった国内の大きな動きは表、裏、共に把握している部署にて確認済みです。これが、海外事例なら話は別ですが・・・・・・」

「もう一体のほうはどうなったのかね?」

「オリバーという実験体はC-2から生まれた個体なのですが、ひと言で申し上げますと”自然に還った”ということになります。こちらも作戦の範疇なのですが現状『ディグ・ニダ教』の掌握は完了しておりますが分派した細かな新興団体や反対組織がまだまだいますので、これからいい意味での布石に転ずることも視野にいれながらも、国内の安全という名目にて軍事行動にも移れますし国内での浅倉と実験体X-2捜索も安易に可能になる一石二鳥な状態です」

「・・・つまり、何もしないってことかね?それで大丈夫なのか??」

「問題ありません。これはイワンノフ所長のお考えでもありまして、研究の一環になるそうです。ここまで”還る”ケースも想定外だそうでして経過を見たいと強く熱望していらっしゃいます。もちろん、何か問題が生じればいつでも消去しても構わないと頂いておりますので、国際問題や政治的なプロパガンダ、軍事計画に支障や利用があればいつでも軍の方に言って頂ければ迅速に対処致しますので」

「うむ・・・・・・」



サンディNIPPON・WEEKニュース


「昨年から猛威を振るっています『M・ウイルス』ですが、空気感染はしないと言われていましたが、飛沫や間接的な接触による感染の可能性が大いにあると、各専門家の研究にて明らかとなりました」

「M・ウイルスは、発熱からリンパ節腫脹、3日以内に発疹が顔や手足に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となります。発疹する部位にもよりますが、顔の口や鼻といった粘膜部分に発症した場合、くしゃみや咳による飛沫感染に注意が必要です。マスクの着用や無暗に触ったりしないようにし、飛沫による感染に気をつけていただく必要があります」

「手に発症した場合には直接の接触だけでなく、発症者が触った物にも注意が必要で、こまめに手の洗浄と90%以上の度数によるアルコール消毒といった対応が重要だと発表されました」
「昨日、ワクチンの作成に尽力するという総理の会見があったばかりであり、来週の国家予算会議に注目が集まっています」


速報・警報ニュース


「緊急、速報ニュースです」

「○○県○○群、周辺エリアの民家、住民が突然、何者かに襲撃されました」

「多くの住民が重軽傷を負い、近隣の病院に次々と被害者が運ばれています。現場では凄惨な状況が散見されるそうで、その被害人数はまだハッキリと分かっていません。○○群にお住まいの人数は約5,000人ほど住んでおり、そのうち住民被害者の推定では100人以上の被害が考えられています。対応が遅れるほど被害者は増える一方な状況です」

「生存者や目撃者の話では『猿』のようなものに襲われたと証言しており、現地警察だけでなく専門家や軍も動き出しています」

「この村では自然のサルなどの被害は一年前から始まっていたそうで、当初は一般的な自然被害程度として処理されておりクマやイノシシ被害と同じように農作物が荒らされたり数件の傷害事件、事故となんら変わらなかったのですが、今回の被害は甚大かつ大規模で○○群周辺では多くの民家、住民が襲われ行方不明者も多数出ていて、救出と捜索作業が続いています」

「明確なことはまだ何も分かってはいませんが狂暴化したそのサルのような動物など、その数は軽く100は越えている模様で、地元の猟師や警察では手に負えなくなっているほど繁殖し、今回の被害にて軍の出動要請が決定しました」

「中心点である○○群○○村だけでなく近隣にお住まいの方々は警察や軍関係者の指示に従い、不要な外出はさけて戸締りや外部からの侵入を防ぐように厳重に注意してください」

「・・・・・・」

「・・・え、只今現場の救急病院前から中継が繋がりました。○○さーん」

「・・・・・・え、あ、はい。えー・・・現場の○○です。次々と救急車がやってきています。映像として見せることはできませんが、みんなとにかく酷い怪我をして運ばれてきます。ここは○○村ではありませんが○○群の隣の○○市でして、恐らく現地の病院などでは収容しきれずにこちらまで運ばれてきているということで、至急、我々はこちらへやってきました。えー・・・あ、見て下さい、また運ばれてきました。現場の○○村へは流石に危険だということと交通規制がすでに敷かれていて入ることすらできませんが、多くの被害者が村々から逃げるようにやってきています。本日、先ほど現場から逃げてこられたと思われる方々にインタビューができましたので、そちらからどうぞ」


被害者A
「いきなり窓ガラスが、ガッシャーン!て割れたと思ったらなんか黒いものが飛び込んできて、最初はもう何がなんだか分かりませんでした」

被害者B
「バイク乗ってたらもう、いきなりこう首元んとこになにか飛びつかれてそのまま大コケしてさ、とにかくビックリして。で、その時はなんとか擦りキズ程度だったんだけどその道の先にさ、なんか倒れている人とそこに群がっている”なにか”が見えて、最初はオオカミみたいな?野犬的なヤバい系かと思ったんだけどよぉく見てみるとなんかサルみたいな、チンパンジーみたいな?感じのが5、6っ匹ぐらい、真ん中に倒れている人の上に乗って騒いでたんだよ。飛び跳ねたりこう、両腕を組んだ状態でなんかドラムを叩くみたいな動作をしたり。その人もピクリとも動かないから、マジヤベぇ!って。んでさ、その人の腕を引きちぎって振り回してそこら中に血が飛び散って、血の気が引くってこうゆう感じかと思いながら必死に急いでバイク起こして、そのままダッシュでここまで逃げてきたよ」

被害者C
「ああ・・・あいつら・・・・・食っていた。母を・・・寝たきりだったんだ。足が悪くて。居間に寝ていた、母を・・・・・・あいつらぁ、なんなんだ・・・ただのサルとかでは無かった。いくら追い払っても、威嚇してもダメだった。猟銃がいる。たのむ。母の仇を。俺の手の、指の代わりに、誰でもいい。あつらに引き金を引いてくれ!!」

被害者D
「なんか、俺は見たんだ・・・金色の・・・なんか色んなサルの軍団の中心に佇む、二本足でまるで人のように立ってどこかを指差して、まるで指揮しているかのように・・・あれは間違いなくボスって感じだった」

「・・・はい、いかがでしょうか。みなさま各自で逃げのびてこられて、口々になんらかの自然動物被害を訴えています。・・・あ、見て下さい!また被害者らしき人が、今度は徒歩でやってきています。えー、え?酷い・・・だ、大丈夫ですか?!直ぐお医者様をお呼びします!だれか!スタッフ誰か呼んできて!」

「どうしたんですか?何があったんですか?!」

「・・・・・・」

「すいません!スタジオにお返しします!」

「・・・・・・」

「・・・えぇ、非常に、大変な事態だということが伝わりました。○○さん、ありがとうございます、どうか、どうかお気を付けていただいて、人命救助にも我々スタッフ一同は尽力していきたいとも思います。凄惨な場面や状況もお見せすることにもなりましたが、現場での実情もしっかりと報道し伝えることも今、私たちが出来る最大の助力だとも思っております。どうか皆様、冷静な対処と迅速な判断で状況を見てください。決して諦めたりパニックにならず、一人で行動はしないようにお願いします」

「先週も、○○県で山からクマが民家へ降りてきてしまい数名が怪我をし、一名の命が犠牲となった事件を当番組もお伝えさせて頂きましたが、今回はそれ以上の被害が出てしまいました。これは事故と言えるのでしょうか。災害や天災といった類でしょうか。はたまた、”人災とも言える”のではないでしょうか。自然が、地球が、私たち人類の生活、テクノロジー、エゴ、そしてみんなが同じこの星、土地、に住む同居人としての意義を問われている、そんな出来事が次々と起きています」

「新種のウイルスや細菌の脅威、遺伝子異常や放射能汚染といった防ぎようのない運命。戦争や差別といった人間同士の争い。私たちは、今の世界といった外だけでなく自分自身という内面にもひとり一人が問い掛け自問し、意識し、考えなおす必要があるのではないでしょうか」

「地球が、自然が、動物たちが、虫たちが、私たちに何かを訴えてきている。それを聞き取り理解し、対応していくことが私たち人間の利点でもあり今まで壊し崩してきた責任でもあります。今、私たちが何ができるのか。試されているのかもしれません・・・・・・」


CHIMERA ~篏合体~ 第二章 『有為転変』

END


目撃者の証言から描いた絵

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