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介護業界は、新卒採用に力を入れるのはやめましょう

介護業界は新卒採用に力を入れるべきではないと思います。
子供の頃から介護の仕事に憧れていた(例えばお爺さんやお婆さんの介護をしてくれた介護士がメチャメチャ優秀でカッコよく見えたなど)人などは、新卒採用でも良いかもしれませんが、そんな人は稀だと思うし、そういう人は向こうから門を叩いてくる筈です。

そうではなく就職フェアや就職説明会で「介護の仕事はこれからどんどん必要になってくる仕事で成長していく業界。超高齢化社会にいち早く到達した日本は介護に関しては先進国。これから高齢化社会を迎えるアジア各国にもその知識とノウハウを輸出できる希望の持てる業界」というような詭弁で若い人を集めたりすべきではないです。そして同じ口で「技能実習生」など限りなく自国都合の制度を使ってアジアの若者を働かせようとしたりするのもどうかと思います。大体、いくら高齢者の数が多いと言っても、介護が主力産業になるような国はそもそもなんだか変ではないですか?? 

たしかに介護現場の人手は足りません。私も介護業界で働き始めた時から「人手不足」が介護業界のあらゆる問題の原因ではないかと感じました。そして外から眺めていた時よりも中に入ってみて、思ったよりも嫌な仕事でも、誰でもできる仕事とも思いませんでした。むしろ楽しくやりがいは感じやすいけれど、さまざまな向き不向きがはっきり分かれるような業務が混然一体となっている業界だなと感じました。そして向き、不向きに合わせた業務分担で行えば、ほとんどのキツさは回避できるのに人手不足で現場を回すことで精一杯で、そのため向いてないことも無理やりやらざるをえないことがキツいと感じました。だからどうしたら人手不足の問題を解決できるかをずっと考えてきました。

それからもう一つ大きく感じたことは、学校に通っていた時と同じ閉塞感です。社会と切り離された感じ。入居者と生徒の扱われ方も似ている気がします。いい生徒といい入居者。そして困った生徒と困った入居者。リラックスした自然な人間関係が築けない感じは社会と切り離された場所特有の現象のように思います。切り離された場所に来てくれているボランティアさんはちょっと意地悪な言い方をすると「慰問にきている」みたいな感覚です。もちろんそれはボランティアに来る人の問題ではなく施設側が社会的に閉じてしまって特殊な場所にしてしまっている証左です。

介護の仕事は多くの人が思うように稼げる仕事ではありません。
でも世間で言われているほど低賃金・低待遇だとは私は思っていません。
介護業界は急速にホワイト化してきています(少なくとも私が所属している会社はそうなっています)。

そういう意味でも新卒社員で介護の職員を探したり正社員の待遇改善をして正社員を増やそうとするよりも、パートタイムの時給をしっかりと上げて、スキマ時間のある人が気軽に働けるような体制にしていく方が施設の健全性が担保されていくのではと最近は考えています。

他のところでも書きましたが、高齢者から学ぶことは多いです。そして「老い」や「死」あるいは「寝たきりに近い生活」を生きる姿から学ぶことも多いです。空いている時間や休みの日にちょっと働くことは多くの人にとってプラスの学びがあると思います。そのことがしっかりとアピールできれば、暇な時にちょっと働いてみようかなぐらいは思ってもらえるような気がするのです。

以前、働いていた施設で土日だけパートで働きにくる人がいました。その人は本業はプログラマーで平日は、ほぼリモートでPCと向き合ってばかりなので生身の人に会いたくて土日に働いていると言っていました。そういう人も潜在的には多くいるのではないでしょうか。

そして若者を新卒採用で介護業界に取り込もうとするのには反対ですが、アルバイトで高校生や大学生が介護の仕事をするのは全然アリです。ぜひアルバイトに来てください。高齢者施設の職員高齢化問題も深刻なので、一時いてくれるだけでも空気がフレッシュになります。マジでぜひ。

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