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余裕のない現代にアンパンチ【プロポ】221002

数年前に、たしかネットニュースで見たのだと思うが、

『テレビ番組で、釣った魚を神経締めする様子を放映したところ、多くのクレームが寄せられた』

というものがあった。

神経締めとは、魚の鮮度を保つために、脊髄にワイヤーを通す締め方らしい。


この記事を読んだ時に、私は、二つの大きな危機感を覚えた。
今回はその前半編。


昨今、テレビ番組がおもしろくなくなった、とよく聞く。

私はテレビは野球中継ぐらいしか観ないので、ここ数年どんな番組があるのかはよくわかっていないのだが、おもしろくなくなった主たる原因は明白だ。

いわゆる、「コンプライアンス」「自粛」「規制」などの言葉を用いて語られるような、『放送してはいけないものの増加』だろう。

昔は、特にお笑い番組では犯罪すれすれの企画も少なくなかったが、そういったものにはすぐにクレームが届くようになってしまった。

SNSの普及による、いわゆる「炎上」という現象も大きく影響しているのだろう。

「疑わしきは罰せよ」
ではないが、

「疑わしきは、やめさせよ」
または、
「疑わしきは、やめとこう」

という色の強い社会になってしまった。


神経締めをするとき、魚はもちろんビチビチと動く。
その様子が、「動物虐待だ!」というクレームを生んでしまったのである。


しかし、あまりにも過敏すぎではないだろうか。

先日、往年のツッコミ道具である「ハリセン」が放送コードに引っかかったという話もツイッターか何かで目にした。

『やってはいけない』が、あまりに多くなりすぎている。


アニメ「ドラえもん」で、おなじみの

ジャイアンがのび太をボコボコにして、土煙が舞う

のび太がタンコブやキズだらけになっている

というシーンも、おそらく現代ではクレームの的になりそうだ。


最近のドラえもんで、このシーンがあるのか、知っている人がいたら教えてほしい。



アニメ「アンパンマン」での、決着シーン、

『アーンパンチ!』

『ハーヒフーヘホー!』

も、そろそろ危ういかもしれない。


「うちの子がアンパンチを真似して暴力をしてしまったらどうするんですか!」

こんなクレームが、普通にあり得そうだ。



しかし、今後、アンパンチが放送コードに引っかかったら、毎回どうやって決着をつけるのだろう?



『アン抱きしめ』?


「バイキンマン、そんなことしちゃ、だめじゃないか。(ギュッ)」

「ハヒ…フヘホ…(一筋の涙)」



または、

『アン投票』?

「バイキンマンは悪くない2票。バイキンマンが悪い376票。こういう結果になったから、もうやめてね。」

「それならしかたないヒフヘホね。」



『アン論破』?

『アン泣き落とし』?

『アン無言の圧力』?


テレビが今後どうなっていっても、私は別にいいのだが、

世界から『おもしろみ』が失われていくのは困る。



~余裕のない現代にアンパンチ~


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